▼ この記事の内容
営業の話し方のコツは、相手の返答から次に聞くことや伝える内容を選ぶことです。冒頭・質問・説明・反論への応答・次回合意で、相手が求める内容を確かめます。上司と部下で同じ場面の返答を変えて練習し、実際の発言と応答を記録して、次に直す言葉を決めます。
営業の話し方を部下に教えるときは、相手の返答と部下の応答を並べて確認することから始めます。相手が費用を尋ねているなら、費用と適用条件に答えているかが確認するポイントです。
「もっと相手に合わせる」という指導を具体化するには、どの発言を受けて、次に何を尋ねるか、何を説明するかを決める必要があります。話す速さや丁寧さに加え、相手が求めた内容に答えたかを振り返ります。
冒頭・質問・説明・反論への応答・次回合意の場面ごとに、返答に合わせる判断基準と会話例、避ける言い方を整理します。営業マネージャーが部下と返答を変えて練習し、次に直す応答を決める方法まで確認できます。
営業の話し方は相手の返答に合わせて変える
営業の話し方を練習するときは、相手の返答と、その後に営業担当者が言った言葉をセットで確認します。説明してよい内容が分かったら答え、まだ分からない点があれば質問する、という選び方から始めます。
相手の発言を受けて次に確かめることを選ぶ
営業の話し方を直すときは、相手が何に答え、何をまだ確かめられていないかを確認します。「分からない」という返答だけで意欲が低いとは決めず、説明を求めているのか、質問の対象が伝わっていないのかを確かめます。
質問を続けるか、説明へ移るかは、相手が求めた内容を基準に選びます。困りごとの対象が曖昧なら対象を確かめ、確認したい内容が具体的なら、その内容に答える順番です。相手がすでに答えたことを、予定した質問だからという理由で聞き直す必要はありません。
練習例として、相手が「費用を知りたいです」と答えた場面を考えます。会社紹介を続ける前に、提示できる費用と、その金額が適用される条件を確認して説明します。人数や利用範囲によって金額が変わる商材なら、不足する条件を尋ねるところから練習します。
上司は、部下が選んだ応答について、相手のどの発言を根拠にしたかを確認します。根拠が表情や沈黙だけなら、相手の意図はまだ確かめられていません。練習では返答を変え、質問や説明も変わるかを見ます。
場面・返答・応答を並べて振り返る
部下との振り返りでは、会話の場面、相手の返答、部下が実際に言った応答を並べます。「もっと相手に合わせる」という指導を、どの発言を受けて何を言い換えるかまで具体化するためです。
最初に、振り返るやり取りが冒頭・質問・説明・反論への応答・次回合意のどこに当たるかを確かめます。練習する場面を選ぶ目安として、それぞれで確認する仕事を次の表にまとめます。
| 会話の場面 | 返答から確かめること | 上司が確認する行動 |
|---|---|---|
| 冒頭 | 相手が何に関心を持ち、何を確認するために話しているかを確かめます。 | 予定した説明を始める前に、話す目的を相手と合わせたかを見ます。 |
| 質問 | 返答のどこまでが具体的で、何がまだ分からないかを確かめます。 | 相手の発言を受けて、次に尋ねる内容を選んだかを見ます。 |
| 説明 | 相手が概要・詳細・言い直しのどれを求めているかを確かめます。 | 求められた内容に応じて、伝える情報や言葉を変えたかを見ます。 |
| 反論への応答 | 価格・必要性・比較の何が気になっているか、話を続ける意思があるかを確かめます。 | 理由を聞かずに反論せず、明確な不要の意思を受け止めたかを見ます。 |
| 次回合意 | 相手が次に確認する内容と、連絡することへの意思を確かめます。 | 検討するという返答を、次回の面談への同意と取り違えていないかを見ます。 |
表は、全場面を順番通りに進めるための台本ではありません。説明の途中で相手の疑問が分かったなら質問へ戻り、必要な内容を確かめます。振り返りでも、予定した説明を終えたかより、返答を受けて必要な応答を選んだかを確認します。
話し方に加えて、案件を次へ進めてよい条件もそろえる場合は、法人営業の段階ごとに次へ進む条件を決める方法で、営業全体の確認事項を整理できます。段階の条件と会話中の発言を照らし合わせ、必要な情報を相手から確かめたかを見ます。
商談・営業スキル 法人営業のコツは段階ごとに次へ進める条件を決めること|止まった段階の直し方
次の練習は、振り返りで応答を選べなかった場面から始めます。冒頭で相手の関心が分からなかったなら、会社紹介を長くする前に、何を確認するための商談かを合わせる言い方を考えます。まずは、話し始めの返答に応じた確認から見ていきます。
商談の冒頭で関心と話す目的を確かめる
商談の冒頭では、相手が今日何を確認したいかを確かめ、説明する順番を合わせます。具体的な関心が示されたらその内容を優先し、まだ分からなければ、話を聞く目的から確認します。
関心がある内容を返答から見極める
相手が「費用を知りたいです」「導入後の担当者の仕事を確認したいです」と答えたら、その言葉を説明の出発点にします。関心のある話題が分かっても、購入する意思まで確かめたことにはなりません。まず、求められた内容に答える練習をします。
営業側が会社紹介から始める予定でも、相手が費用を求めたなら、費用の説明を先に置きます。金額を示すために人数や利用範囲の確認が必要な商材では、必要な理由を添えて尋ねます。説明に必要な条件だけを確かめ、用意した質問をすべて聞いてから答える進め方は避けます。
次の表は、商談の冒頭を想定した練習用の会話例です。実際に使う際は、自社の商材について確認できている内容に合わせます。予定と異なる質問を受けたときに、説明の順番を変えられるかを見ます。
| 相手の返答 | 確かめること | 応答例 | 避ける言い方 | 上司が確認する行動 |
|---|---|---|---|---|
| 「今日は費用を知りたいです」 | 金額を案内する条件がそろっているかを確かめます。 | 「費用からご説明します。金額が利用人数で変わるため、想定人数を確認させていただくことは可能でしょうか」 | 「費用は最後にお伝えします。まず会社の沿革からご説明します」 | 費用を先に扱い、不足する条件だけを尋ねたかを見ます。 |
| 「導入後、担当者が何をするのか知りたいです」 | 担当者の作業について、説明できる範囲を確かめます。 | 「担当者の方に行っていただく作業からご説明します。作業の順番と、弊社が対応する範囲を分けてお伝えします」 | 「便利な機能が多いので、まず機能を全部ご紹介します」 | 機能の列挙に戻らず、誰が何をするかを説明したかを見ます。 |
| 「費用と運用の両方が気になっています」 | 相手が先に確認する必要がある内容を確かめます。 | 「費用と運用ですね。どちらから確認するとご判断に役立つか、ご相談させていただくことは可能でしょうか」 | 「では、こちらの資料の順番で進めます」 | 相手の返答を待ってから、説明の順番を決めたかを見ます。 |
練習後、上司は説明の順番を変えた箇所と、その根拠になった相手の発言を部下と確認します。相手が求めた内容にその場で答えられない場合は、分からない点を明示する応答も練習します。推測で埋めたり、答えられないことに触れず別の説明へ移ったりしないことを確認します。
関心が分からないときは話す目的を確かめる
「まず話を聞きたいです」という返答だけでは、相手が詳しい提案を求めているかまでは分かりません。説明を聞く意思と、具体的な関心を分けて確かめます。「話は不要です」と明確に伝えられた場合は、質問や説明を重ねず終了します。
関心がまだ定まっていない相手には、答えを無理に選ばせず、概要を聞いてから判断する余地を残します。「気になる内容を確認させていただくことは可能でしょうか。まだ決まっていなければ、概要からご説明します」と尋ねる練習です。相手が概要を選んだら、会社紹介を長く続けず、何についての提案かを伝えます。
| 相手の返答 | 確かめること | 応答例 | 避ける言い方 | 上司が確認する行動 |
|---|---|---|---|---|
| 「まだ詳しく分からないので、まず概要を聞きたいです」 | 今は概要の説明を求めていると受け止めます。 | 「承知しました。まず、どのような業務を対象とする提案かをご説明します」 | 「では、会社紹介から資料の全ページをご説明します」 | 相手が選んだ概要から話し始めたかを見ます。 |
| 「情報収集で、導入するかはまだ決めていません」 | 情報収集の段階で、何を知る必要があるかを確かめます。 | 「情報収集の段階ですね。今の業務と比べるうえで確認が必要な内容を、ご相談させていただくことは可能でしょうか」 | 「では、導入時期を決めましょう」 | 導入の意思を前提にせず、相手が必要とする情報を尋ねたかを見ます。 |
| 「説明は不要です。今日はここまでにします」 | 会話を終える意思として受け止めます。 | 「承知しました。本日はここで終了します。お時間をいただき、ありがとうございました」 | 「せっかくなので、最後にメリットだけお伝えします」 | 追加の質問や説明をせず、会話を終えたかを見ます。 |
相手がうなずいたり「はい」と答えたりしても、その反応だけで話す目的が一致したとは判断しません。説明を聞いていることと、提案を検討すると決めたことは別です。上司は、部下が相づちを受けて急に詳しい提案へ進めていないか、前後の発言を確認します。
訪問の準備から見直す場合は、初回訪問前に調べる情報と質問の準備も確認します。事前の約束がない訪問では、商談の冒頭とは別に、受付で用件を伝え、取次ぎや退出を判断する手順を確かめます。
商談・営業スキル 飛び込み営業のコツは訪問前・訪問時・訪問後で押さえる|準備から振り返りまで解説
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練習では、同じ話し始めに対して、相手役が「概要を聞きたい」「情報収集です」「説明は不要です」と返答を変えます。部下が説明を始める、目的を尋ねる、終了するという応答を選び分けたかを確認します。会話を続ける目的が合ったら、次は返答の具体さに応じて、尋ねる内容を絞っていきます。
質問は返答の具体さに応じて変える
質問への返答に業務や場面が含まれていれば、その内容を確かめてから追加で尋ねます。対象が曖昧な場合は、何についての話かを絞ります。答えが分からない場合と、話したくない意思が示された場合も分けて受け止めます。
具体的な返答を受けた質問例を確認する
相手が具体的な困りごとを話したら、まず発言の要点を確かめます。業務や発生場面が分かっていても、原因や影響まで確認できたとは限りません。相手がすでに答えた内容を踏まえ、次に必要な情報を尋ねます。
ONLYSTORY(オンリーストーリーさん)の営業トークの解説では、聞き取りの要所で相手の発言の要点を繰り返し、理解が合っているかを確かめる方法を紹介しています。[1]助言の要点は、営業側の理解を相手に確かめることです。聞いた言葉から原因を推測して言い切ることとは区別します。
次の表は、担当者間の引き継ぎを題材にした練習用の会話例です。相手がどこまで話したかによって、場面を尋ねるか、影響を尋ねるかを変えています。実際の会話では、すでに説明されたことを重ねて聞かないようにします。
| 相手の返答 | 確かめること | 応答例 | 避ける言い方 | 上司が確認する行動 |
|---|---|---|---|---|
| 「担当者が替わると、お客様への対応が遅れます」 | どの引き継ぎ場面で遅れたのかを確かめます。 | 「担当者が替わる際に、対応が遅れるのですね。最近起きた場面について、確認させていただくことは可能でしょうか」 | 「引き継ぎ資料が足りないのが原因ですね」 | 相手が述べていない原因を足さず、具体的な場面を尋ねたかを見ます。 |
| 「引き継ぎ後に確認事項が見つかり、前の担当者へ聞き直しています」 | 聞き直しが、その後の対応にどう影響したかを確かめます。 | 「引き継ぎ後に、前の担当者へ確認されているのですね。その確認が終わるまでのお客様への対応について、確認させていただくことは可能でしょうか」 | 「それでは、お客様からの苦情が増えていますね」 | 聞き直しという事実と、まだ分からない顧客への影響を分けたかを見ます。 |
要点を確かめた際に「遅れるのは引き継ぎではなく、上司の承認です」と訂正されたら、営業側の理解を直します。「承認を待つ場面で遅れるのですね」と受け止め、引き継ぎについての質問を続けないようにします。最初に考えた解決策へ話を戻す前に、相手が訂正した対象を確認します。
練習では、相手役が要約を肯定する場合と、訂正する場合を用意します。上司は、部下が訂正された内容を次の質問に反映したかを確認します。質問の数や話の滑らかさだけでなく、相手のどの発言を受けて尋ねたかを振り返ります。
参考:売れる営業トークのコツと話し方|ヒアリングからクロージングまで|ONLYSTORY|ONLYSTORY
曖昧な返答を受けた質問例を比べる
「いろいろあります」「よく分かりません」という返答には、すぐに解決策を当てはめず、何がまだ分からないかを確かめます。対象が広すぎるのか、相手が把握していないのかで、次の応答は変わります。「話したくありません」と伝えられた場合は、その話題の質問を止めます。
対象が広い返答には、最近の業務場面など、答える範囲を絞った質問を用います。「人手不足ですか、教育不足ですか」と原因を選ばせると、どちらでもない答えを受け止められません。次の練習例では、原因を先に決めず、相手が答えられる範囲を確認します。
| 相手の返答 | 確かめること | 応答例 | 避ける言い方 | 上司が確認する行動 |
|---|---|---|---|---|
| 「引き継ぎでは、いろいろ困ることがあります」 | 具体的に話せる場面があるかを確かめます。 | 「最近の引き継ぎで、対応に迷った場面について確認させていただくことは可能でしょうか」 | 「人手不足か教育不足のどちらかですね」 | 原因を選ばせず、起きた場面へ質問を絞ったかを見ます。 |
| 「担当外なので、詳しいことは分かりません」 | 相手が担当外と伝えた範囲を受け止めます。 | 「承知しました。詳しい手順は未確認として扱います」 | 「おそらく引き継ぎには問題がありますよね」 | 推測での回答を求めず、分からない内容を未確認のまま残したかを見ます。 |
| 「今の進め方で対応できていて、特に困っていません」 | 困っていないという回答を受け止め、必要な場合だけ現在の手順を確かめます。 | 「今の進め方で対応できているのですね。ご提案が業務に合うかを確かめるため、現在の引き継ぎ手順を確認させていただくことは可能でしょうか」 | 「気づいていないだけで、問題はあるはずです」 | 課題の存在を前提にせず、確認の目的を添えたかを見ます。 |
| 「社内の手順については話せません」 | その内容を話さない意思として受け止めます。 | 「承知しました。社内の手順についての質問は控えます」 | 「大まかでよいので、少しだけお願いします」 | 同じ内容を別の言い方で聞き直していないかを見ます。 |
表の質問をすべて順番に尋ねる必要はありません。相手が答えられない内容は未確認として残し、その情報がないと説明できない点も分けます。現在の手順を尋ねる例も、相手が確認に応じる場合に限って使い、断られたら重ねて質問しません。
上司との練習では、同じ質問に対して「対象が広い返答」「担当外という返答」「話せないという返答」を使い分けます。部下が対象を絞る、未確認として残す、質問を止めるという応答を選んだかを確認します。説明へ移る際は、聞き取れた内容を踏まえ、相手が知っていることと判断したいことに合わせて伝えます。
相手の知識と判断したいことに合わせて説明する
説明へ移るときは、相手が概要を知りたいのか、具体的な条件を確かめたいのかを踏まえて、伝える内容を選びます。説明後に「分からない」と返された場合は、情報を足す前に、何が伝わっていないかを確かめます。
概要を求められたときと詳細を求められたときの応答を比べる
概要を求められたら、何の業務を対象に、何を提案するのかから説明します。詳細を求められたら、相手が挙げた作業や条件に答えます。どちらの場合も、資料の順番より、相手が確認したいと述べた内容を優先します。
「概要は分かったので、担当者の作業を知りたいです」という返答には、全体説明を繰り返さず、担当者が行う作業を示します。反対に「何をするサービスですか」という質問には、細かな機能名だけを並べないようにします。相手がすでに理解した内容と、これから判断するために必要な内容を分けて扱います。
次の表は、説明する順番を変える練習用の会話例です。製品の機能や効果を示す例ではありません。練習前に自社の資料で対象業務、提供範囲、担当者の作業を確認し、応答例の後に説明する具体的な内容を用意します。
| 相手の返答 | 説明する内容 | 応答例 | 避ける言い方 | 上司が確認する行動 |
|---|---|---|---|---|
| 「まず、何をするサービスか知りたいです」 | 対象となる業務と、提供する内容を説明します。 | 「まず、対象となる業務と、弊社が対応する範囲をご説明します」 | 「機能が多いので、順番にすべてご紹介します」 | 機能名の列挙ではなく、何を提案しているかを伝えたかを見ます。 |
| 「概要は分かりました。担当者の作業を知りたいです」 | 担当者が行う作業と、提供側が受け持つ作業を分けて説明します。 | 「担当者の方が行う作業を、実際の順番に沿ってご説明します。弊社が受け持つ作業も併せてお伝えします」 | 「その前に、サービスの特徴をもう1度ご説明します」 | 概要へ戻らず、誰が何をするかを具体的に答えたかを見ます。 |
| 「今の手順と、どこが変わるのですか」 | 聞き取った現在の手順と、提案後の手順を対応させます。 | 「先ほど伺った手順に沿って、変わる作業と、そのまま残る作業を分けてご説明します」 | 「今より便利になるので、問題ありません」 | 確認済みの手順に基づき、違いと残る作業を説明したかを見ます。 |
詳しい説明を求められても、確認できていない提供条件まで答える必要はありません。「その条件で対応できるかは、現時点では確認できていません」と伝え、確認してから回答します。作業負担や効果についても、根拠がないまま「ほとんど手間はかかりません」と言い切らないようにします。
上司との練習では、同じ資料を使い、相手役の返答を「概要を知りたい」と「担当者の作業を知りたい」で変えます。部下がどの説明から始め、何を後回しにしたかを確認します。説明の長さだけで評価せず、相手が求めた内容に答え、判断に必要な条件を残しているかを見ます。
分からないという返答を受けた説明の言い直しを考える
「分からない」と言われたら、用語の意味、対象となる業務、比較する条件のどこが不明かを確かめます。同じ説明を大きな声で繰り返す前に、相手が理解できなかった箇所に合わせて、言葉や説明の順番を変えます。
分からない箇所が示されていなければ、「説明の中で、分かりにくかった箇所を確認させていただくことは可能でしょうか」と尋ねます。相手が「その言葉の意味です」と答えたら用語を説明し、「担当者が何をするかです」と答えたら作業を示します。相手の知識不足と決めつけず、返答に含まれる対象へ説明を戻します。
| 相手の返答 | 言い直す内容 | 応答例 | 避ける言い方 | 上司が確認する行動 |
|---|---|---|---|---|
| 「運用という言葉が、よく分かりません」 | 抽象的な言葉を、導入後に行う作業へ言い換えます。 | 「ここで運用とお伝えしたのは、導入後に担当者の方が日々行う作業です。その作業を順にご説明します」 | 「運用は運用です。難しく考える必要はありません」 | 同じ言葉を繰り返さず、誰が何をするかに置き換えたかを見ます。 |
| 「今の仕事の、どの部分に使うのか分かりません」 | 相手が話した業務と、提案の対象を対応させます。 | 「先ほど伺った業務の中で、今回のご提案が対象とする作業からご説明し直します」 | 「さまざまな業務に使えるので、ご安心いただけます」 | 利用範囲を広げて断言せず、確認済みの対象業務を示したかを見ます。 |
| 「今の方法と何を比べればよいか分かりません」 | 相手が判断に使う条件を確かめてから、同じ条件で違いを説明します。 | 「比較する際に、費用や担当者の作業など、先に確かめる必要がある内容をご相談させていただくことは可能でしょうか」 | 「今の方法より優れているので、比較は不要です」 | 営業側に都合のよい条件だけを選ばず、相手が重視する内容を確かめたかを見ます。 |
言い直した後は、「この説明で分かりましたね」と理解を決めつけず、まだ説明が必要な箇所を確かめます。「残っているご不明点を確認させていただくことは可能でしょうか」と尋ね、返答を待ちます。意味が伝わったことと、提案内容に納得したことは別なので、「分かりました」という返答だけで採用の意思まで判断しません。
保険の面談で説明後の確認を練習する場合は、顧客の意向を聞き取り、提案がその意向に合っているかを確かめる流れも参照できます。説明が伝わったかと、提案が顧客の考えに合っているかを分けて確認します。
商談・営業スキル 保険営業のコツとは?|初回面談の信頼づくりから意向把握、提案後の確認まで
練習では、相手役が用語、対象業務、比較条件のいずれかを分からない箇所として伝えます。上司は、部下が実際に変えた言葉や説明内容を確認し、同じ説明を繰り返しただけなら、その箇所を練習し直します。説明が伝わっても「費用が高い」「今は必要ない」という懸念が残る場合は、次に、その理由を確かめる応答へ進みます。
反論の背景にある価格・必要性・比較の理由を確かめる
説明後に懸念が示されたら、相手が何を判断できずにいるのかを確かめ、その内容に答えます。価格への疑問、必要性への疑問、他社との比較では、確認する内容が異なります。提案そのものを不要と伝えられた場合は、説得を続けず終了します。
価格・必要性・比較への応答例を見比べる
「高い」と言われたら予算や比較条件を、「必要か分からない」と言われたら対象業務を確かめます。「他社と比べたい」には、判断に使う条件を尋ねます。理由が分からないまま、値引きや他社への否定から答え始めないようにします。
価格への懸念でも、「予算を超えています」と「この金額に何が含まれますか」では答える内容が違います。前者は予算条件、後者は費用に含まれる範囲を扱います。すでに理由が示されている場合は、同じ質問を重ねず、示された条件に答えます。
次の表は、懸念の理由を確かめる練習用の会話例です。相手が説明や比較を続ける意思を示している場面で使います。実際の回答には、自社の価格、提供範囲、対応できる条件について確認済みの情報を用います。
| 相手の返答 | 確かめること | 応答例 | 避ける言い方 | 上司が確認する行動 |
|---|---|---|---|---|
| 「検討したいですが、想定より高いです」 | 想定していた予算と、金額を比べる条件を確かめます。 | 「想定されていた金額との違いを確認するため、ご予算と想定されていた利用範囲を確認させていただくことは可能でしょうか」 | 「値引きしますので、今決めましょう」 | 価格への懸念を受注意思と取り違えず、値引きを約束する前に条件を確かめたかを見ます。 |
| 「今の方法もあるので、必要かどうか分かりません」 | 現在の方法で対応している業務と、提案の対象が合うかを確かめます。 | 「今の方法で対応されているのですね。今回のご提案が必要かを判断するため、対象となる業務と現在の進め方を確認させていただくことは可能でしょうか」 | 「今は困っていなくても、必ず必要になります」 | 必要性を決めつけず、現在の方法で足りている場合も受け止めたかを見ます。 |
| 「他社の提案と比べてから判断します」 | 相手が重視する比較条件を確かめます。 | 「比較してご判断されるのですね。費用や対応範囲など、重視される条件を確認させていただくことは可能でしょうか」 | 「他社より弊社のほうが優れているので、比較は不要です」 | 他社の条件を推測せず、相手が選んだ条件について確認済みの情報で答えたかを見ます。 |
条件を確かめた結果、自社では予算や必要な対応範囲に合わないこともあります。その場合は、対応できない点を伝え、未確認の値引きや追加対応で埋めないようにします。練習では相手役が懸念の理由を変え、部下が同じ説明を繰り返さず、理由に合う回答を選んだかを確認します。
確認を続ける返答と話を終える返答を見分ける
確認を続けるかは、相手が追加の説明を求めているか、提案を不要と伝えているかで判断します。「必要性が分からない」という疑問と、「提案は不要です」という意思表示を分けます。明確な不要や連絡停止には、質問や再提案を重ねません。
「高いですが、費用の内訳を知りたいです」なら、内訳への回答を求めています。一方、「予算に合わないので、今回は見送ります」なら、判断を終えたことを受け止めます。「高い」という言葉だけを拾って同じ切り返しをせず、その後に何を求め、何を断ったかまで確認します。
| 相手の返答 | 受け止める内容 | 応答例 | 避ける言い方 | 上司が確認する行動 |
|---|---|---|---|---|
| 「高いと感じますが、まず内訳を知りたいです」 | 費用の内訳への説明を求めていると受け止めます。 | 「承知しました。提示した金額に含まれる項目と、それぞれの条件をご説明します」 | 「内訳より、導入後の効果を考えると安いです」 | 価格の印象を否定せず、求められた内訳に答えたかを見ます。 |
| 「今の方法で足りているので、提案は不要です」 | 提案を受けない意思として受け止めます。 | 「承知しました。今回のご提案はここで終了します。お時間をいただき、ありがとうございました」 | 「今の方法で困ることを、もう少し確認します」 | 不要の理由をさらに聞き出そうとせず、提案を終えたかを見ます。 |
| 「今後の連絡も不要です」 | 今後の連絡を止める意思として受け止めます。 | 「承知しました。今後の営業連絡は控えます。お伝えいただき、ありがとうございます」 | 「では、資料だけ送ります」 | 資料送付や日程提示を重ねず、連絡停止の意思を記録して社内で共有したかを見ます。 |
| 「社内の予算額は話せませんが、料金の条件は知りたいです」 | 予算額は話さず、料金の説明は受ける意思として受け止めます。 | 「承知しました。ご予算についての質問は控え、料金が変わる条件をご説明します」 | 「概算で構わないので、予算額だけお願いします」 | 断られた質問を止め、求められた説明に答えたかを見ます。 |
記録には、「今後の連絡も不要です」など、判断の根拠となった相手の言葉を残します。「価格を下げれば買うはずです」といった営業側の予想を、相手の意向として書かないようにします。連絡停止が示された場合は、担当者が替わっても同じ提案を送らないよう、その意思を社内で共有します。
上司との練習では、追加説明を求める返答、特定の質問だけを断る返答、提案や連絡を断る返答を使い分けます。部下が、答える内容と止める行動を相手の発言から選んだかを確認します。話を続ける意思が確かめられた場合は、次回に何を確認するかを相手とすり合わせます。
次回に確認する内容を相手とすり合わせる
「検討します」「資料を見たいです」という返答を受けたら、相手が何を確認するために検討するのかを確かめます。次回の面談を前提にせず、必要な情報と双方の準備、連絡することへの意思を順にすり合わせます。
検討したいと言われたときの応答を考える
「検討します」と言われたら、検討する内容が明らかかどうかで応答を変えます。確認する対象が分かっていれば必要な情報を用意し、まだ分からなければ、何を確かめて判断するのかを尋ねます。
「担当者の作業量を社内で確認します」と言われた場合は、相手が確認する対象をすでに示しています。そこで「何を検討するのですか」と聞き直すより、作業量を確認するために不足している説明があるかを確かめます。営業側から準備するものと、相手が社内で確かめることを対応させます。
次の表は、検討内容が具体的な場合と、まだ決まっていない場合を比べる練習用の会話例です。資料の送付を求められた場合も含め、相手の返答からどこまで合意したと言えるかを確認します。
| 相手の返答 | 確かめること | 応答例 | 避ける言い方 | 上司が確認する行動 |
|---|---|---|---|---|
| 「担当者の作業量を社内で確認してから検討します」 | 社内で作業量を確認するために、不足している情報を確かめます。 | 「担当者の方の作業量を確認されるのですね。社内でのご確認に向けて、弊社から補足が必要な内容を確認させていただくことは可能でしょうか」 | 「では、導入に向けて次回の打ち合わせを決めましょう」 | 検討する対象を受け止め、導入や面談への同意を先取りしていないかを見ます。 |
| 「何を確認するかも含めて、これから考えます」 | 今の説明で判断に必要な情報が足りているかを確かめます。 | 「これから確認する内容を整理されるのですね。整理するうえで、今の説明に不足している点があるか確認させていただくことは可能でしょうか」 | 「費用の問題ですね。値引きできれば進められますね」 | 検討理由を推測で決めず、相手が答えた範囲にとどめたかを見ます。 |
| 「まず資料を送ってもらえれば、こちらで確認します」 | 受け取りたい資料と、確認する内容が合っているかを確かめます。 | 「資料をご確認されるのですね。ご検討に合う資料をお送りするため、確認される内容を伺わせていただくことは可能でしょうか」 | 「資料を送りますので、その後の面談も予約しておきます」 | 資料を受け取る意思と、面談への同意を分けたかを見ます。 |
資料を受け取るという返答から分かるのは、資料の受領に同意したことまでです。面談への同意、予約確定、購入する意思は別に確かめます。練習では、相手役が「資料だけで十分です」と返した場合も用意し、部下が面談を前提にした応答を止められるかを確認します。
次回の確認事項として合意した内容を確かめる
次に行うことを確かめるときは、確認する内容、双方が準備すること、連絡への同意を分けて言葉にします。営業側の提案を述べただけでは合意にならないため、相手の返答を待ち、訂正された内容も反映します。
練習では、相手役が「担当者の作業を社内で確認します」と答え、営業担当者が作業の説明資料を用意する場面を設定します。「弊社から作業の説明資料をお送りし、担当者の方が対応できるかを社内でご確認いただく、という進め方で認識が合っているか確認させていただくことは可能でしょうか」と尋ねます。相手が「担当者が対応できるかは、上司が確認します」と補足したら、作業を行う人と対応可否を確認する人を分けて記録します。
準備する内容が合っていても、その後に営業側から連絡してよいかは別に確かめます。次の練習例では、こちらからの連絡を受ける場合、相手から連絡する場合、面談を希望する場合を分けます。
| 相手の返答 | 確かめること | 応答例 | 避ける言い方 | 上司が確認する行動 |
|---|---|---|---|---|
| 「社内で確認するので、その後に連絡をもらえればと思います」 | 連絡する時期と方法について、相手の都合を確かめます。 | 「社内でのご確認後にご連絡します。ご都合に合う連絡の時期と方法をご相談させていただくことは可能でしょうか」 | 「では、こちらの都合で来週お電話します」 | 連絡への同意を受けた後も、時期や方法を勝手に決めていないかを見ます。 |
| 「確認が済んだら、こちらから連絡します。それまでは連絡は不要です」 | 相手から連絡するという意思と、それまで連絡しない条件を受け止めます。 | 「承知しました。ご連絡をお待ちし、それまではこちらからの連絡を控えます」 | 「念のため、こちらからも確認のお電話を入れます」 | 相手が示した連絡の条件を記録し、追加連絡を約束していないかを見ます。 |
| 「社内で出た質問を、次の打ち合わせで確認したいです」 | 面談で扱う質問と、事前に準備が必要な回答を確かめます。 | 「次回は社内で出たご質問を確認するお時間として進めます。事前に回答を準備するため、現時点で分かっているご質問を確認させていただくことは可能でしょうか」 | 「次回は契約のお手続きを進めます」 | 質問を確認する面談への同意を、契約への同意に変えていないかを見ます。 |
連絡への同意があっても、連絡時期が決まらなければ未確定として残します。面談を希望する返答があっても、日時の合意がなければ予約確定にはしません。相手の返答がない項目を、営業側の予定で埋めないことが確認の要点です。
上司は、部下が記録した準備事項や連絡条件について、根拠となる相手の発言を確認します。「次回は前向きです」という感想だけなら、何を確かめることに合意したのかまでは分かりません。合意した内容と未確認の内容を分けたうえで、次は返答を変える練習を通じて、部下の応答を具体的に振り返ります。
返答別の練習で上司の確認行動をそろえる
練習では、同じ場面で相手役の返答を変え、部下が次の応答を選び直せるかを確認します。上司は話し方の印象だけで評価せず、相手の発言、部下の応答、そのやり取りで確かめた内容を並べて振り返ります。
同じ場面で相手役の返答を変えて練習する
まず、冒頭・質問・説明・反論への応答・次回合意の中から、部下が応答に迷った場面を選びます。商談全体を最初から再現する必要はありません。相手の返答を受けてから、質問するか、説明するか、話を終えるかを判断した箇所に絞ります。
場面が決まったら、営業担当者役と相手役で、会話の前提と自社商材の確認済み情報を共有します。相手役は、用意した返答に含まれない予算や購入意思を、その場の思いつきで付け足さないようにします。何を知っていて、何はまだ分からないかも決めておくと、担当者役の応答を同じ条件で振り返れます。
次に、同じ説明を終えた場面で、相手役の返答だけを変えます。以下は練習の進め方の例です。例文をそのまま覚えるのではなく、返答が変わったことで、答える内容と止める行動のどちらが変わるかを確認します。
- 相手役が「費用の内訳を知りたいです」と伝えます。担当者役は、確認済みの内訳と適用条件を説明します。
- 同じ場面に戻り、相手役が「社内の予算額は話せませんが、料金の条件は知りたいです」と伝えます。担当者役は予算額への質問を控え、求められた料金条件を説明します。
- もう1度同じ場面に戻り、相手役が「今回は見送ります。今後の連絡も不要です」と伝えます。担当者役は追加説明を止め、連絡を控えることを伝えます。
上司は、それぞれの返答で部下が実際に変えた言葉を確かめます。内訳を求められたのに効果の説明を続けた場合は、求められた情報へ戻る応答を練習します。明確に断られた後も説明を続けた場合は、話を終える応答を練習し、会話を長く続けたことを評価しません。
言い直した後は、最初と同じ返答でもう1度試し、指摘した箇所が変わったかを見ます。その後に別の返答へ変えれば、覚えた文を繰り返しているのか、相手の言葉から選んでいるのかを確認できます。流暢さだけで終わらせず、選んだ理由を発言と対応させて記録します。
発言と応答を記録し次の練習を決める
振り返りには、相手の発言、担当者の応答、確かめたこと、未確認のこと、次に練習する応答を残します。「説明が上手でした」「もっと深く聞きましょう」という感想だけでは、次にどの言葉を変えるかが決まりません。発言として確認できた内容から、練習する応答を選びます。
次の表は、練習後の記録を想定した模擬の記入例です。実際の顧客との会話や支援実績ではありません。相手が述べたことと、営業側がまだ確かめていないことを分け、次の練習で口にする言葉まで記入しています。
| 相手の発言 | 担当者の応答 | 確かめたこと | 未確認のこと | 次に練習する応答 |
|---|---|---|---|---|
| 「費用の内訳を知りたいです」 | 「導入後の効果からご説明します」 | 相手は費用の内訳の説明を求めています。 | 内訳に関する疑問は、まだ解消していません。 | 「承知しました。提示した金額に含まれる項目と、それぞれの条件をご説明します」と答えます。 |
| 「担当外なので、詳しい手順は分かりません」 | 「では、引き継ぎに問題があるということですね」 | 相手は詳しい手順を把握していないと伝えています。 | 実際の手順と、引き継ぎに問題があるかは未確認です。 | 「承知しました。詳しい手順は未確認として扱います」と答え、問題の存在を決めつけません。 |
| 「今後の連絡も不要です」 | 「では、資料だけ送ります」 | 相手は今後の連絡を断っています。 | 資料送付への同意はありません。追加で送付を勧める理由にはしません。 | 「承知しました。今後の営業連絡は控えます」と答え、資料送付や再提案を止めます。 |
記録を見た上司は、相手が実際に述べた内容を受け止めたか、分からないことを推測で埋めなかったか、拒否された行動を止めたかを確認します。未確認の欄を埋めるために、追加質問を増やすわけではありません。相手が話さない意思を示した内容は、その意思を受け止めたうえで未確認として残します。
自社の練習では、次の空欄表に実際のやり取りを記入します。担当者が言った言葉を先に残し、言い直す案は最後の欄へ分けます。改善後の例文だけを記録すると、何を直したかが分からなくなるためです。
| 相手の発言 | 担当者の応答 | 確かめたこと | 未確認のこと | 次に練習する応答 |
|---|---|---|---|---|
上司同士で評価が分かれたら、同じ記録を見ながら、どの発言を根拠に判断したかを確かめます。「話し方が丁寧でした」という評価と、「相手が求めた内訳には答えていません」という確認は両立します。次の練習では内訳に答える応答を選ぶなど、印象への評価と、直す行動を分けて合意します。
次の実商談でも練習した応答を使えたか確かめるには、試す場面と振り返る担当を決めます。練習後の確認までチームでそろえる際は、実商談の記録を使ってロープレの運用を見直す手順を参照できます。
商談・営業スキル ロープレが意味ないと感じたら|営業マネージャーの運用見直し
まとめ|次に練習する応答を決める
営業の話し方は、相手が何を知り、何を確かめたいと答えたかに合わせて変えます。冒頭・質問・説明・反論への応答・次回合意の各場面で、相手の発言を受けて次のひとことを選ぶことが練習の軸です。
まずは、部下が応答に迷った場面を選び、相手の発言と実際の応答を並べます。同じ場面で相手役の返答を変え、部下が質問や説明を選び直せるかを確認します。分からないことを推測で埋めず、明確な拒否には質問や提案を止めることも、振り返る行動に含めます。
練習後は、確かめたこと、未確認のこと、次に練習する応答を記録します。上司同士で評価が分かれた場合も、根拠となる発言を確かめると、次にどの言葉を直すかを具体的に話し合えます。
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