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商談・営業スキル

法人営業のコツは段階ごとに次へ進める条件を決めること|止まった段階の直し方

法人営業のコツは段階ごとに次へ進める条件を決めること|止まった段階の直し方

▼ この記事の内容

法人営業のコツは、見込み客の選定・初回接触・商談・提案から受注までを段階に分け、段階ごとに「次へ進めてよい条件」を先に決めることです。成果が伸びないときは、段階間の移行率と止まった案件の振り返りから直す段階を1つに絞り、その段階の条件と進め方を見直します。

「法人営業のコツ」を調べると、新規開拓の手法、トークの工夫、心構えの一覧が数多く見つかります。ところが手法を並べて読んでも、自チームの案件が選定・初回接触・商談・提案のどこで止まっているのかが分からなければ、今月どこを直すかは決まりません。

法人営業では、窓口の担当者だけでなく上長や関係部署など、相手企業の複数人が判断に関わることが少なくありません。担当者の反応がよくても、相手の社内で検討が止まる場合があります。さらに「商談に進んだ」の判断が担当者ごとに違うままだと、案件の数字を段階別に並べても、どこで止まっているのかを比べられません。

この記事では、法人営業を「見込み客の選定」「初回接触」「商談」「提案・受注」の4段階に分けます。そのうえで、段階ごとに次へ進めてよい条件の例と、移行率・滞留期間・止まった案件の振り返りから直す段階を見極める手順を説明します。最後に紹介するのが、営業会議で記入して使える段階別の設計・点検シートとその記入例です。

法人営業のコツは段階ごとに次へ進む条件を決めること

段階ごとの条件を事前に決めて進める

法人営業で段階ごとの条件を先に決めるのは、案件を次へ送る判断を担当者の感触から切り離し、どこで止まっているかを案件の記録で比べられるようにするためです。見込み客の選定・初回接触・商談・提案から受注の4段階それぞれに次へ進めてよい条件を置き、止まっている段階を確かめてから、その段階だけを直します。

条件を決めていないチームで起きやすいのが、「商談に進んだ」の判断が担当者ごとに変わる状態です。ある担当者は面談の日程が決まった時点で商談に数え、別の担当者は相手の予算を聞けてから商談に数えます。案件数を段階別に並べても、担当者によって数えている中身が違うため、どの段階で案件が止まっているのかを比べられません。

条件を先に決めておくと、営業会議では担当者の感触ではなく、条件に照らして「この案件は次へ進めてよいか」を確かめられます。止まっている案件なら、欠けている条件がそのまま次に手を打つ候補です。案件の報告も、「決裁者は分かったが、検討時期がまだ分からない」のように、欠けている条件を挙げる形にそろえられます。

条件の中身は、商材、取引規模、営業体制によって変わります。単価が低く、窓口の担当者が自分で判断できる商材なら、商談と提案を1つの段階にまとめても運用に支障はありません。複数の部署が導入に関わる商材なら、商談段階の条件を細かく分けたほうが止まっている箇所を見つけやすくなります。段階ごとの条件の例は後のセクションで順に説明し、最後に1枚のシートにまとめます。

相手企業では複数人が判断に関わる

ONLYSTORYの公開コラム「法人営業とは?やり方・流れ・アプローチ手法を基本から解説」では、法人営業では商談相手の担当者が決裁権を持つことは少なく、社内の複数人の承認が必要になるため、決断までの期間が長くなる傾向があると説明しています。[1]

この傾向を営業側の進め方に置き換えると、担当者の反応がよいことと、相手企業の中で検討が進んでいることは別の出来事です。初回の面談で担当者が強い関心を示しても、上長や関係部署に説明する材料がそろっていなければ、案件は相手の社内で止まります。営業担当者から見ると「感触はよかったのに返事が来ない」状態になり、何が足りないのかが見えにくくなります。

段階ごとの条件は、担当者の反応と相手企業の検討の進み具合を分けて確かめるために置きます。商談の段階では決裁に関わる人と判断基準を、提案の段階では社内承認に必要な材料と日程を確かめるというように、相手側で誰が何を判断するかを条件に含めます。

決裁の進め方は、相手企業の規模や商材によってさまざまです。小規模な企業や少額の商材では、窓口の担当者がそのまま決める場合もあります。「必ず決裁者に直接会う」と一律に決めるのではなく、案件ごとに相手の社内で誰が判断に関わるかを確かめ、その答えに合わせて条件を当てはめます。

参考:法人営業とは?やり方・流れ・アプローチ手法を基本から解説|ONLYSTORY

営業プロセス全体を4段階に分ける

ONLYSTORYの同じコラムは、法人営業の流れをターゲットリストの作成、アポイントの獲得、訪問、商談、アフターフォローとして示しています。[1]この記事では、この流れを踏まえて「見込み客の選定」「初回接触」「商談」「提案・受注」の4段階で整理します。

訪問を独立した段階にしないのは、訪問が初回の面談になる場合も、商談そのものになる場合もあるためです。訪問という手段ではなく、その場で何を確かめたかで段階を分けると、対面とオンラインの面談が混在するチームでも同じ基準で案件を数えられます。受注後のアフターフォローは、次の取引や追加提案につながる別の論点として、この記事では扱いません。

段階この段階で決めること次へ進めてよい条件の例
見込み客の選定接触する企業と優先順位自社で決めた対象条件に合っている
初回接触アポイントの目的課題の仮説について話す合意が取れた
商談相手の決裁の進め方の把握決裁者・判断基準・検討時期を把握できた
提案・受注相手の社内承認の進め方相手の社内承認に必要な材料と日程がそろった

表の条件は一般的な例なので、自社の商材と取引の進め方に合わせて言葉を書き換えて使います。提案と受注を分けたほうが実態に合うチームなら、5段階にしてもかまいません。段階の数よりも、チームの全員が同じ条件で「次へ進んだ」と判断できることを優先します。

段階の区切りが決まったら、各段階の条件を満たしていない案件でまず何を確かめるかも決めておきます。選定なら対象条件のどれに当てはまらないか、商談なら決裁者・判断基準・検討時期のどれが分かっていないかを確かめます。この確認の中身が、後のセクションで段階ごとに扱う内容です。

参考:法人営業とは?やり方・流れ・アプローチ手法を基本から解説|ONLYSTORY

手法改善より条件整備を優先する

法人営業がうまくいかないとき、テレアポのトークや提案書の見せ方など、目に見える手法から直したくなります。しかし、どの段階で案件が止まっているかが分からないまま手法を変えても、変えた手法が止まっている段階に合っていたのかを後から確かめられません。

商談の数は足りているのに提案へ進まないチームが、アポイントの取り方を変えても、止まっている商談段階はそのまま残ります。逆に、対象条件に合わない企業へのアポイントが多いなら、先に見直すべきは商談の進め方ではなく選定の条件です。段階ごとの条件がそろっていれば、案件の数字から直す段階を1つに絞り、その段階に合う手法を選べます。

「相手の立場で考える」「振り返りを続ける」といった心構えは、どの段階にも当てはまる一方で、今月どこを直すかは示してくれません。条件を決める作業は、こうした心構えを「この段階では何が確かめられていれば次へ進むか」という確認項目に置き換える作業でもあります。確認項目になっていれば、新しく加わった担当者にも同じ基準で案件の進め方を伝えられます。

成果を出している担当者の動き方は、BtoB営業で成果を出す人の行動として別の記事で整理しています。その行動をチームでそろえる段になったら、それぞれの行動がどの段階のどの条件を満たしているかに当てはめます。そうすると、ほかの担当者へ伝える内容を段階ごとに分けて整理しやすい形になります。

商談・営業スキル BtoB営業で売れる人がやっている15のコツ

見込み客選定:対象と優先度の決め方

対象企業の条件を明確に定義する

見込み客の選定では、自社の商材が役立つ企業の条件を言葉にして、チームで同じものを使います。業種や規模だけでなく、相手が抱えやすい課題や、自社との取引状況まで書き出しておくと、担当者ごとに接触先の選び方がずれにくくなります。

条件が言葉になっていないチームでは、担当者が「話を聞いてくれそうな企業」や「知っている企業」から接触先を選びがちです。その結果、アポイントの件数は同じでも、担当者によって接触先の中身が大きく異なります。後の段階で案件が止まったときも、選んだ企業が合っていなかったのか、接触や商談の進め方に原因があったのかを切り分けられません。

条件の種類書き出す内容の例確かめる方法の例
業種自社の商材を使う業務がある業種企業サイトの事業内容、過去の受注先の業種
規模導入の効果が出やすい従業員数や拠点数の範囲企業サイトの会社概要、採用情報
抱えやすい課題自社の商材が解決する業務上の課題を持ちやすいか業界の動向、既存顧客が導入前に抱えていた課題
取引状況新規か、過去に接点や取引があるか社内の顧客記録、過去の問い合わせ履歴

表の項目は書き出すときの切り口の例で、自社の商材に合わせた入れ替えが前提です。業種や規模で絞りにくい商材なら、「特定の業務を社内で行っている」「特定の仕組みをすでに使っている」といった業務や環境の条件を中心に置きます。条件の数を増やしすぎると当てはまる企業が極端に少なくなるため、最初は外せない条件を中心に絞って書きます。

条件は一度決めて終わりにせず、受注した案件と失注した案件を振り返るたびに見直します。受注した企業に共通する特徴が条件に入っていない場合や、条件に合う企業でも毎回同じ理由で失注している場合は、条件の書き方を変える合図です。

優先順位は接触できる根拠で決める

対象条件に合う企業が多いときは、「今接触する理由があるか」で優先順位を付けます。今接触する理由とは、相手の社内で自社の商材が必要になりそうな変化が起きていること、またはすでに何らかの接点があることです。

相手側の変化としては、組織の再編、拠点の新設、採用の強化、新しい事業やサービスの開始などが挙げられます。こうした変化は、これまでの業務の進め方を相手の社内で見直す機会です。既存の接点としては、過去の問い合わせ、展示会やセミナーでの名刺交換、既存顧客からの紹介などがあり、相手が自社をまったく知らない状態から話を始めずに済みます。

自社の商材にとってどの変化や接点が優先の根拠になるかは、過去に受注した案件から確かめます。受注した案件を並べ、最初に接触した時点で相手の社内にどんな変化があったか、どんな接点から話が始まったかを書き出すと、自社の受注につながりやすかった根拠が見えてきます。書き出した根拠は、そのまま優先順位の基準であり、担当者が接触先を選ぶときの共通の判断材料です。

過去の受注件数が少ないチームでは、書き出した根拠を仮説として扱います。数か月ほど運用し、優先度を高くした企業とそれ以外の企業で、初回接触から商談へ進んだ案件の割合を比べてから、基準を残すか変えるかを決めます。

選定完了は対象条件への適合確認

見込み客の選定を終えて初回接触へ進めてよい条件は、その企業が自社で決めた対象条件に合っていることです。接触リストに載っていることではなく、条件の各項目に照らして合っているかを確かめたうえで、次の段階へ送ります。

条件に合うかを確かめずに接触先を増やすと、初回接触の件数は増えても、商談や提案へ進む案件の割合が下がる場合があります。後の段階の割合が下がったときに接触や商談の進め方より先に確かめたいのは、選定の段階で条件に合わない企業が混ざっていないかです。選定の段階を飛ばして後の段階を直しても、接触先の中身が変わらなければ同じ止まり方が繰り返されます。

条件に合うかどうか判断できない企業で記録しておきたいのは、どの項目の情報が足りないのかです。規模や業種は企業サイトで確かめられても、抱えている課題は外から分からないことが多いため、その項目は初回接触で確かめる事項として次の段階へ引き継ぎます。こうしておくと、初回接触で聞くべきことが接触の前から決まります。

条件に合わない企業から問い合わせが来た場合も、選定の条件をその都度ゆるめるのではなく、例外として扱った理由を記録します。例外として進めた案件がその後受注に至ったなら、対象条件そのものを見直す材料です。選定の段階で条件をそろえたら、次は初回接触で何を確かめれば商談へ進めてよいかを決めていきます。

初回接触でアポ目的と商談条件を統一

アポ成功を件数ではなく進捗合意に

初回接触の目的は、アポイントの件数を増やすことではありません。次の面談で何を話し合うかについて、相手と合意することが目的です。アポイントが取れたかどうかは、日程が決まったことではなく、話し合う中身まで決まったかで判断します。

件数だけを目標にする運用では、面談の目的や次に確かめる事項が合意されているかを別に確認します。日程だけが決まっている案件と、話し合う課題や同席者まで決まっている案件を分けて記録すると、初回接触の設計を見直す材料になります。

目的を合意に置くと、アポイントを依頼する時点で確かめる事項が変わります。日程と一緒に確かめたいのは、相手がどの業務を担当しているか、こちらが話したい課題に相手が関心を持っているか、次の面談に誰が同席するかです。確かめた内容を案件の記録に残しておけば、面談の前に準備すべき資料や質問も決まります。

件数を見なくてよいわけではありません。件数は選定した企業にどれだけ接触できたかを把握するために使い、合意が取れた件数は別に数えます。両方を記録しておくと、接触の件数は足りているのに合意が少ないのか、合意の割合は高いものの接触の件数そのものが少ないのかを区別でき、初回接触の段階で直す対象を選び分けられます。

商談進捗の条件は課題仮説の共有

初回接触を終えて商談へ進めてよい条件は、営業側が立てた相手の課題の仮説について、次の面談で話し合うことに相手が合意していることです。日程だけでなく、話し合う課題の中身まで相手と共有できた案件を、商談の段階へ送ります。

課題の仮説とは、選定の段階で確かめた対象条件や相手の社内の変化をもとに、「この企業では、この業務でこうした問題が起きているのではないか」と置いた見立てを指します。仮説が当たっている必要はありません。相手から「その問題はないが、別の業務で困っている」と返された場合も、次の面談で話し合う課題が決まった点で条件を満たします。選定の段階で外から確かめられなかった課題の項目は、この仮説のやり取りの中で確かめます。

記録する項目記録の例空欄のときに確かめること
話し合う課題の仮説拠点が増えたことで、拠点ごとの業務の進め方がそろっていないのではないか選定時の対象条件と相手の変化から、仮説を立てたか
仮説への相手の反応関心を示した点、否定した点、別に挙がった課題仮説を相手に伝えたうえで、返答を聞いたか
次の面談の同席者窓口の担当者に加え、業務の責任者が同席する予定相手側で誰がその課題に関わるかを聞いたか
次の面談の日時と目的課題の現状を聞き、影響の大きさを確かめる日程と一緒に、面談で話し合う中身を相手と確認したか

日程は決まっていても、仮説への反応や面談の目的が空欄のままの案件は、初回接触の段階に残します。そのうえで、面談の冒頭で目的と話し合う課題を相手と確認し、合意が取れた時点で商談の段階へ移します。空欄の案件を商談の件数に数えないのは、段階ごとの件数と割合を実際の進み具合に合わせるためです。表の項目と例は、自社の商材と相手の業務に合わせて書き換えて使います。

接触手段の改善は条件を決めてから行う

電話、メール、紹介、展示会など、接触手段ごとの改善は、この段階の条件を決めてから取り組みます。条件が決まっていれば、どの手段で課題の仮説についての合意が取れているかを、同じ基準で比べられるためです。

比べるときは、手段ごとに接触した件数と合意が取れた件数を並べ、合意に至った割合を見ます。接触の件数が多い手段ほど合意も多いとは限りません。合意の割合が低い手段では、断られた理由や、日程は決まったものの目的が決まらなかった理由を記録しておくと、その手段で何を変えるかを決める材料になります。

電話やメールでの切り出し方、受付での取り次ぎ、断られたときの対応といった具体的な進め方は、法人営業のアポイントの取り方とテレアポの改善手順を解説した記事で扱っています。手段ごとの割合を比べて電話での接触を直すと決めた場合は、そちらの手順を参照しながら、合意に至った割合が変わったかを同じ条件で確かめます。

商談・営業スキル 法人営業アポの取り方|テレアポのコツと改善手順

面談の冒頭で目的をどう伝えるか、課題の仮説をどのように話題に出すかといった話し方は、営業トークのコツをまとめた記事で、状況の把握から始める流れとして整理しています。初回接触で合意した課題の仮説を持って商談へ進んだら、次は相手の企業で誰がどの基準で判断するのかを確かめていきます。

商談・営業スキル 営業トークのコツは順番より状況把握|つまずく原因と上達法

商談で相手の決裁ルール・基準を把握

商談完了は決裁者・基準・日程の確認

商談の段階を終えて提案へ進めてよい条件は、3点を把握できていることです。1つ目は相手の企業で最終的に誰が決めるか(決裁者)、2つ目は何を基準に比べて決めるか(判断基準)、3つ目はいつまでに決めるか(検討時期)です。相手の課題を詳しく聞けたことだけを理由に、案件を提案の段階へ送ることはしません。

課題を聞けた時点で提案書を作り始めると、窓口の担当者は内容に納得しても、決裁者が重視する基準とずれた提案になることがあります。費用を抑えることを最優先にしている決裁者に機能の多さを中心とした提案が届けば、担当者は社内で説明しきれず、案件は相手の社内で止まります。段階別に案件を並べると提案の段階で止まっているように見えますが、実際に欠けていたのは商談の段階で確かめるべき情報です。

確かめる項目把握できたと判断する目安空欄のときに次の面談で確かめること
決裁者最終的に決める人の役職に加え、承認に関わる人とその順番が分かっている担当者が社内で誰に、どの順番で説明するか
判断基準費用、導入の手間、既存業務との相性など、相手が何を優先して比べるかが分かっているほかの選択肢と比べるときに、相手が何を優先して見るか
検討時期予算を組む時期や導入したい時期など、日付とその理由が分かっているいつまでに決める必要があり、その理由は何か

3点のうち1つでも空欄のままの案件は、商談の段階に残します。空欄の項目が、そのまま次の面談の目的です。担当者の推測で埋めた項目は「未確認」と記録し、相手から聞いた内容と分けておくと、営業会議で案件を見直すときに、本当に把握できている案件だけを提案の段階に数えられます。

条件の細かさを決めるのは、商材と相手企業の規模です。窓口の担当者が自分の判断で導入を決められる単価の低い商材なら、決裁者の欄に「窓口の担当者本人」と記録すれば足ります。複数の部署が導入に関わる商材では、判断基準を部署ごとに分けて記録しておくと、どの部署の基準がまだ分からないかを案件ごとに比べられます。

BANTなどのフレームワークで確認漏れを防ぐ

決裁者・判断基準・検討時期を漏れなく確かめるには、既存のフレームワークを観点として借りる方法があります。営業ラボの法人営業スキル解説「法人営業に求められるスキルとは?質を上げるコツや向いている人材について解説」では、法人営業で使えるフレームワークとして、BANT、MEDDIC、DMUマップといったものを紹介しています。[2]

同解説の説明をもとに、それぞれが何を確かめる観点なのかと、商談段階の完了条件(提案へ進めてよい条件)との対応を並べると次の表のとおりです。

フレームワーク確かめる観点対応する完了条件
BANT予算、決裁権、ニーズ、導入時期決裁者(決裁権)、検討時期(導入時期)
MEDDIC決裁権限者、意思決定基準、意思決定プロセスなど決裁者(決裁権限者)、判断基準(意思決定基準)
DMUマップ導入が決まるまでの意思決定のルートを相関図にする決裁者と、承認に関わる人の順番

出典:法人営業に求められるスキルとは?|営業ラボ

3つをすべて使う必要はありません。自社の案件記録で空欄になりやすい完了条件を見て、その空欄を埋める観点だけを選びます。判断基準が分からないまま提案へ進む案件が多ければMEDDICの意思決定基準を、承認の順番が見えない案件が多ければDMUマップを面談の準備に加える、という選び方です。どの観点を優先するかは、商材と相手企業の意思決定の仕組みによって変わります。項目を埋めること自体を目的にすると、相手の話を聞く前に質問を順番に読み上げる面談になるため、観点の出番は面談前の準備と面談後の記録の確認です。

BANTの項目ごとに、相手に負担をかけずに聞く言い回しは、BANTを使ったヒアリングの質問例をまとめた記事で扱っています。予算や決裁権を面談のどの場面で聞くかに迷う担当者が多い場合は、完了条件の空欄と照らし合わせながら、そちらの質問例を面談の準備に使います。

営業AI・営業DX BANTとは?営業の案件管理に使えるヒアリング手法と質問例・活用ポイント

参考:法人営業に求められるスキルとは?質を上げるコツや向いている人材について解説|営業ラボ

相手の社内フロー確認は窓口とともに

窓口の担当者が決裁者でない場合は、相手の社内で検討がどう進むかを、担当者と一緒に確かめます。担当者を飛ばして決裁者へ働きかけるのではなく、担当者が社内で誰に、どの順番で説明するのかを一緒に描いていきます。

社内の承認の順番や関係部署の事情を最もよく知っているのは、窓口の担当者です。営業側が推測で決裁者に接触すると、担当者の社内での立場を損ね、その後の検討状況が伝わってこなくなることがあります。担当者を社内説明の進め役として扱い、説明に必要なものを営業側が用意する進め方のほうが、決裁者・判断基準・検討時期の3点を確かめるうえで現実的です。

面談では、「この件は社内でどなたに説明されますか」「以前に似た導入を決めたときは、どの順番で承認が進みましたか」のように、担当者自身の段取りを尋ねる形で聞きます。聞いた内容を案件の記録へ残すときは、承認に関わる人、承認の順番、それぞれが気にしそうな点に分けるのが基本です。この記録は、次の提案の段階で相手の社内承認に必要な材料を決めるときにそのまま使います。

社内の進め方は、相手企業の規模と商材によって大きく変わるものです。小規模な企業では、経営者が最初の面談から同席してその場で方向性を決めることがあります。規模の大きな企業では、部門の承認に加えて購買部門や情報システム部門の審査が入り、承認に関わる人の数も多くなりがちです。担当者自身も進め方を把握していない場合は、過去の類似した導入の経緯を社内で確かめてもらう、次の面談に上長の同席を相談するなど、担当者と分担して空欄を埋めていきます。

決裁者・判断基準・検討時期の3点がそろい、承認の順番まで見えた案件は、提案の段階へ進めます。提案の段階では、ここで把握した承認の流れに沿って、担当者が社内で説明するための材料をそろえていきます。

提案で社内承認に必要な材料を準備

提案完了は承認材料と日程の把握

提案から受注の段階で、契約の手続きへ進めてよい条件は、相手の社内承認に必要な材料がそろい、承認の日程が分かっていることです。提案書を渡したことや、窓口の担当者から前向きな感想をもらったことだけを理由に、この段階を終えたとは判断しません。

法人営業では、提案を受け取った担当者が内容を社内で説明し、承認を得てはじめて受注に至ります。提案書を渡した時点で営業側の作業は一区切りに見えますが、相手の社内で検討が始まるのはそこからです。承認に必要な材料が欠けていれば、担当者は説明の途中で追加の資料を求められ、案件は返事を待つまま動かなくなります。

承認に必要な材料含める内容の例そろったと判断する目安
比較検討の観点ほかの選択肢との違いを、商談で把握した判断基準の順に並べたもの相手の判断基準の各項目に、提案がどう答えるかを書けている
費用と効果の説明契約総額、支払いの条件、費用に見合うと考える理由と、その確かめ方担当者が費用の根拠を自分の言葉で説明できる
導入の進め方開始時期、相手側で必要な作業とその担当、導入後に確かめる時期相手の担当部署が自分たちの作業量を見積もれる
関係部署の懸念への回答情報システム、法務、購買などの部署が確かめそうな点への回答商談で聞いた懸念のそれぞれに回答が用意されている

日程は、相手の社内の会議日や決裁の締め日を担当者から聞いて記録します。材料がそろっていても、次の決裁の場がしばらく先であれば、受注の見込み時期を決めるのはその日程です。日程が分からない案件は「未確認」と記録し、次の連絡で確かめる事項にします。材料と日程の両方がそろった案件だけを受注の見込みとして数えると、営業会議で見込みの数字と実際の進み具合のずれを見つけやすくなります。

材料の範囲は、商材と相手企業の規模に合わせて変えるのが前提です。単価が低く、窓口の担当者が自分で決められる商材なら、見積書と導入の進め方がそろえば条件を満たしたと扱えます。複数の部署が承認に関わる商材では、商談の段階で記録した承認に関わる人ごとに必要な材料を分けて並べ、どの部署向けの材料が残っているかを案件ごとに確かめます。

窓口の社内説明用に提案内容を整理

提案書は、窓口の担当者が営業のいない場で社内に説明するための資料として作ります。営業が面談で話す順番のまま作った資料は、担当者が決裁者へ説明し直すときに使いにくいため、担当者がそのまま社内の会議へ持ち込める形に整えます。

決裁者や関係部署の多くは、営業の説明を直接聞かないまま判断する立場です。担当者が限られた時間で要点を伝えられるよう、ページ数の多い提案書は必要な箇所を抜き出さずに済む構成かを確認します。承認の場で何を判断してほしいかも、資料に明記します。

整える形の例は2つあります。1つは要点を1枚にまとめた資料で、相手の課題、提案の内容、費用、導入の進め方、承認の場で判断してほしいことを並べます。もう1つは、承認に関わる人が口にしそうな反対意見と、それぞれへの回答をまとめた一覧です。どちらも、商談の段階で記録した承認に関わる人と、それぞれが気にしそうな点をもとに作ります。

反対意見は、担当者と一緒に洗い出します。「今の方法で困っていないのではないか」「費用に見合うのか」「現場の作業が増えないか」のように、担当者が社内で聞かれそうな問いを挙げてもらい、回答を書くのは営業側の役割です。書いた回答は担当者に読んでもらい、社内で通じる言い回しになっているかを確かめてから渡します。

資料が担当者の説明に使える形になったかを確かめる場は、提案後の面談です。「社内ではどのように説明される予定ですか」と尋ね、要点を担当者自身の言葉で話してもらいます。説明に迷う箇所は材料が足りていない箇所なので、承認の日程より前に補う対象です。

最終合意の方法と手続きを担当者と確かめる

材料と日程がそろった案件で最後に確かめるのは、最終合意の方法です。誰が、いつ、どの手続きで導入を決めるのか、契約書や発注書の手続きをどの部署が進めるのかを、担当者と一緒に確かめます。

この確認を後回しにすると、社内承認は下りたのに、発注の段階で購買部門の審査や稟議の書式の差し戻しが入り、契約の時期が遅れることがあります。社内承認と契約の手続きを分けて案件の記録へ残しておけば、承認が下りた後に必要な作業と担当が見えます。この記録は、受注の見込み時期を営業会議で説明するときの根拠にもなります。

承認の材料と日程がそろっても、相手に迷いが残っている場合は、その理由と次に確認する事項を話し合います。質問の言い回しに迷うときは、不安を確認し、次回行動を合意する質問例を面談の準備に使えます。契約の判断と、確認者・期限・送付資料についての合意を分けて整理します。

商談・営業スキル 商談クロージングとは?流れ・タイミング・質問例と失敗回避を解説

最終合意の場で「もう少し検討したい」と返された案件は、提案の段階に戻して、どの材料が足りなかったのか、日程が変わった理由は何かを記録します。社内承認の材料のうちどれが欠けていたかで記録しておくと、同じ理由で止まる案件が続いているかを後から数えられます。

ここまでの4段階で、それぞれの完了条件がそろいました。各段階の条件を満たした案件と満たせずに残った案件を分けて記録していれば、次のセクションで扱う段階間の移行率と止まった案件の振り返りに、その記録をそのまま使えます。

改善段階を見極める:移行率と停滞分析

段階別移行率で停滞箇所を特定

直す段階を決めるには、各段階に入った案件のうち、その段階の完了条件を満たして次へ進んだ案件の割合(移行率)を出します。同じ段階の過去実績と比べて移行率が下がった箇所や、滞留期間が延びた箇所を確認対象にします。改善対象は、止まった案件で欠けていた条件を確かめてから決めます。

Sales Markerの解説「法人営業で新規開拓を成功させる方法|効果的なアプローチとテクニック」は、新規開拓の代表的なKPIとして4つを挙げています。成約率(受注率)、商談成立率、見込み客創出率(リード獲得率)、顧客獲得コスト(CAC)です。[3]この記事では、選定から初回接触、初回接触から商談、商談から提案、提案から受注の4か所で、実績の割合を並べて比べます。

比較の基本は、自社の同じ段階の過去実績です。商材、取引規模、対象企業の条件に加え、集計期間と案件を追跡する期間もそろえます。段階によって完了条件が異なるため、ほかの段階より移行率が低いだけでは問題とは判断できません。同じ段階で以前より率が下がった場合に、案件の構成や欠けていた条件を確かめます。

移行率を出す前に、分母と分子、案件を追跡する期間をチームで決めます。「商談から提案への移行率」なら、分母は集計対象期間に商談段階へ入った案件、分子はそのうち所定の追跡期間内に決裁者・判断基準・検討時期を把握し、提案段階へ進んだ案件です。商談段階の完了条件を満たした案件だけを分母にすると、商談段階で止まった案件が集計から外れます。追跡期間を満たしていない案件の結果は暫定値として分け、割合と件数を併記します。

移行率を売上目標から逆算して、段階ごとに追う指標を組み立てる手順は、法人営業のKPI設計の手順をまとめた記事で扱っています。このセクションで扱うのは、すでにある実績から直す段階を探す使い方です。

営業AI・営業DX 法人営業のKPI設計|成果が出る指標の選び方と5つの設計ステップ

参考:法人営業で新規開拓を成功させる方法|効果的なアプローチとテクニック|Sales Marker

滞留期間で隠れた停滞を検出

移行率は、案件が次の段階へ進んだかどうかを示す数字です。次へ進むまでに長くかかっている段階や、結論が出ないまま残っている案件は、移行率には表れにくくなります。そこで、案件が同じ段階に留まっている日数(滞留期間)もあわせて見ます。

滞留期間を出すための前提は、案件がその段階に入った日の記録です。前の段階の完了条件を満たした日を、SFAや案件管理表の日付欄に残します。日数の数え方は、進んだ案件なら次の段階へ入った日との差、残っている案件なら今日までの日数です。段階に入った日の記録がない案件は、推測で日付を埋めず、「記録なし」として件数だけを数えます。

見方は2つです。1つは、過去に次へ進んだ案件がその段階に何日ほど留まっていたかを段階ごとに出すことです。もう1つは、いま残っている案件の日数を、過去の日数と並べることです。過去に進んだ案件の多くが収まっていた日数を大きく超えている案件は、止まっている案件の候補として抜き出します。どこからを「長い」とみなすかは、自社の過去の案件をもとにチームで決めます。

たとえば、提案から受注への移行率が前の期と同じでも、未受注案件の滞留日数が延びていれば、受注時期が後ろへずれている可能性があります。ただし、率が同じでも母数が変われば受注件数は変わり、影響がどの期に出るかも滞留日数だけでは決まりません。案件ごとの受注予定日と承認日程を照合し、予定どおりの承認待ちと、予定を超えた案件や日程未確認の案件を分けて振り返ります。

停滞案件を条件別に分析する

移行率と滞留期間で気になる段階が見えたら、その段階で止まった案件を2〜3件選びます。そして、その段階の完了条件のうちどれが欠けていたかで振り返ります。数字から段階の候補を絞り、個々の案件から欠けている条件を見つける、という順番です。

振り返りでは、完了条件の項目ごとに「確かめていた」「確かめていない」「確かめたが相手も決めていなかった」を案件ごとに記録します。商談段階なら、記録の対象は決裁者・判断基準・検討時期の3つです。数件を並べると、判断基準は把握できているのに検討時期が分からないまま止まっている、といったように、同じ条件で止まっている案件が複数あるかが見えてきます。

失注や保留になった案件も振り返りの対象に含めます。失注理由を「価格が合わない」「時期が早い」といった相手の返答だけで記録すると、どの段階のどの条件が欠けていたのかが分かりません。相手の返答と、その時点で欠けていた完了条件は、別々の欄に記録します。「時期が早い」と返された案件で検討時期が未確認のままだったなら、原因として疑うのは提案の中身より商談段階の確認です。

欠けていた条件が、前の段階に由来する場合もあります。商談で判断基準を聞き出せなかった案件の多くが、そもそも自社で決めた対象条件に合っていない企業だったなら、直す段階は商談ではなく見込み客の選定です。止まった段階と直す段階が一致するとは限らないので、欠けていた条件をたどり、前の段階から順に確かめます。

失注の記録の付け方や、振り返りの結果を次の打ち手に変える進め方は、失注理由を改善に変える振り返りの進め方として別の記事で整理しています。振り返りの場が担当者の反省会になりがちなチームでは、そちらの記録項目を参考に、欠けていた条件を案件ごとに書き出す場として進め方をそろえます。

営業AI・営業DX 営業の失注分析とは?失注理由を改善に変える5手順とレビュー質問例

改善は1段階に絞ってから実行

移行率、滞留期間、止まった案件の振り返りの結果を合わせて、直す段階を1つに決めます。複数の段階を同時に変えると、次の営業会議で数字が動いても、どの変更が影響したのかを確かめにくくなります。直す段階を1つに絞るのは、変えたことと数字の動きを対応させて確かめるためです。

よくある症状と、疑う段階、確かめる完了条件を次の表にまとめます。

見えている症状疑う段階確かめる完了条件最初に見直すこと
商談の前の段階に入る案件が少なく、受注の母数が足りない見込み客の選定自社で決めた対象条件に合っているか対象企業の範囲と、優先順位の付け方
接触した企業から面談の合意が取れない見込み客の選定、または初回接触接触先が対象条件に合っているか、接触の目的が伝わっているか接触先のうち対象条件に合わない企業の割合
アポイントは取れるが、商談で課題の話に入れない初回接触課題の仮説について話す合意が取れていたかアポイントの際に合意した話題の記録
商談の数はあるが、提案へ進まない商談決裁者・判断基準・検討時期を把握できたか3つの条件のうち未確認のまま残りがちな項目
提案後に返事が止まる、受注の時期がずれる提案・受注相手の社内承認に必要な材料と日程がそろったか窓口の担当者が社内説明に使える材料と、承認日程の記録

1つの症状が複数の行に当てはまる場合は、前の段階から順に確かめます。前の段階の条件がそろっていない案件が混ざっていると、後ろの段階の移行率もぶれるためです。表の症状と段階の対応は一般的な例なので、自社の振り返りで欠けていた条件が別の段階を指していれば、振り返りの結果を優先します。

振り返りの結果、担当者が面談の場で必要な確認を切り出せていないと分かることもあります。その場合の打ち手は、手順の見直しとあわせて、実際の面談の場面を使った練習に戻ることです。練習の場面の選び方や評価の付け方は、営業ロープレ練習の進め方を扱った記事で確認できます。

商談・営業スキル 営業ロープレ練習の進め方|お題と評価基準で実商談につなぐ運用設計

直す段階を決めたら、その段階で何を変えるかと、次の営業会議でどの数字を見るかを同じ場で決めます。見る数字は、今回と同じ定義の移行率と滞留期間です。次の会議で数字に変化がなければ、変えた内容が欠けていた条件に合っていたかを、止まった案件の振り返りに戻って確かめます。ここまでの完了条件、見る数字、止まった案件の確認点をまとめたのが、次のセクションの1枚のシートです。

直す段階が決まっても、その段階の移行率が売上目標のどこにつながるのかを示せなければ、上長や関係部署と改善の優先順位をそろえにくくなります。売上目標から段階ごとに見る数字を決める手順は、次の資料で確かめられます。


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法人営業の段階別 設計・点検シート

シート項目は完了条件・数字・確認点

段階別の設計・点検シートは、これまで説明した4つの段階を1枚の表に並べ、段階ごとに「完了条件」「見る数字」「止まった案件の確認点」「今月直すか」の欄を設けたものです。営業会議でこのシートを開けば、どの段階の話をしているのかをチーム全員が同じ言葉で確かめながら議論できます。

各欄の役割は次のとおりです。「完了条件」は、その段階を終えて次へ送ってよいと判断する条件を書く欄です。「見る数字」には、次の段階への移行率と、案件がその段階に留まっている日数(滞留期間)を、自社の過去の実績から記入します。「止まった案件の確認点」には、振り返りで案件ごとに確かめる項目を、完了条件と同じ言葉で書きます。

「今月直すか」の欄は、4つの段階のうち1つにだけ印を付けるためのものです。欄の言葉は、自社の商材と取引の進め方に合わせて書き換えてから使います。提案と受注を分けて5段階にしているチームなら、行を1つ増やし、それぞれの段階に完了条件と確認点を書き入れます。

段階別 設計・点検シートの記入例

4つの段階を埋めた記入例が次の表です。完了条件と確認点は、各段階のセクションで説明した内容をそのまま転記しています。見る数字の欄には数値を入れず、自社の過去の実績を記入する欄として空けています。

段階完了条件見る数字止まった案件の確認点今月直すか
見込み客の選定自社で決めた対象条件に合っている選定から初回接触への移行率:自社の過去実績を記入
滞留期間:自社の過去実績を記入
対象条件のどの項目に合っていなかったか/情報が足りず判断できなかった項目は何か□
初回接触課題の仮説について話す合意が取れた初回接触から商談への移行率:自社の過去実績を記入
滞留期間:自社の過去実績を記入
アポイントの際に合意した話題は何か/課題の仮説を相手に伝えていたか□
商談決裁者・判断基準・検討時期を把握できた商談から提案への移行率:自社の過去実績を記入
滞留期間:自社の過去実績を記入
決裁者・判断基準・検討時期のうち、どれが未確認のまま残っていたか□
提案・受注相手の社内承認に必要な材料と日程がそろった提案から受注への移行率:自社の過去実績を記入
滞留期間:自社の過去実績を記入
窓口の担当者が社内説明に使える材料はそろっていたか/承認の日程は分かっていたか□

見る数字の欄では、分母を集計対象期間にその段階へ入った案件、分子をそのうち所定の追跡期間内にその段階を完了して次へ進んだ案件にそろえます。「提案から受注」だけは、承認材料と日程がそろった案件ではなく、契約や発注が確定した案件を分子にします。過去実績との比較では同じ段階・対象条件・追跡期間を使い、割合の横に件数も書き添えます。

確認点の欄を完了条件を分解した問いの形で書くのは、振り返りで答えをぶれにくくするためです。表の確認点は一般的な例なので、自社の振り返りで繰り返し見つかる欠け方があれば、その項目を足します。記入したシートは次の営業会議でもそのまま使い、同じ定義の数字を横に書き足していきます。

営業会議でのシート活用順番

シートは、営業会議で次の4つの順番で使います。一度の会議ですべてを終える必要はなく、初回は段階と完了条件をそろえるところまででもかまいません。

  1. 段階の区切りと完了条件をチームで読み合わせ、各担当者が「次へ進んだ」と判断している基準との違いを出し合う
  2. 段階ごとの件数・移行率・滞留期間を、決めた定義どおりに記入する
  3. 移行率が下がった段階や滞留期間が延びた段階から、止まった案件を2〜3件選び、確認点に沿って振り返る
  4. 直す段階を1つ決めて「今月直すか」に印を付け、何を変えるかと、次回の会議で見る数字を決める

最初の読み合わせでは、担当者ごとの判断基準の違いがそのまま出てきます。課題を聞けた時点で商談を終えたと考える担当者と、決裁者まで確かめてから提案へ進める担当者が混ざっていれば、同じ「商談から提案への移行率」でも中身が違います。数字を記入する前に完了条件をそろえておくのは、この違いを数字に持ち込まないためです。

直す段階を決めた後の作業は、次回の会議で同じ定義の移行率と滞留期間をシートに書き足し、前回と並べることです。数字に変化がなければ、変えた内容が欠けていた条件に合っていたかを、止まった案件の振り返りに戻って確かめます。シートを会議のたびに更新していけば、どの段階でどんな変更をしたかの記録も1枚に残り、担当者が入れ替わっても同じ基準で点検を続けられます。

まとめ:段階ごとの条件を決めて直す段階を1つに絞る

法人営業のコツは、見込み客の選定・初回接触・商談・提案から受注までを段階に分け、段階ごとに「次へ進めてよい条件」を先に決めることです。条件の例は、選定では自社で決めた対象条件に合っているか、初回接触では課題の仮説について話す合意が取れたかです。商談では決裁者・判断基準・検討時期を把握できたか、提案では相手の社内承認に必要な材料と日程がそろったかを見ます。

成果が伸びないときは、段階ごとの件数から移行率と滞留期間を出し、自社の過去の実績と比べます。次の作業は、止まった案件を、その段階の完了条件のどれが欠けていたかで振り返ることです。そこから直す段階を1つに絞っておけば、次の会議で同じ定義の数字を並べ、変えた内容が欠けていた条件に合っていたかを確かめられます。

次の営業会議では、まず設計・点検シートの4段階と完了条件をチームで読み合わせるのがおすすめです。読み合わせでは、担当者ごとに「次へ進んだ」と判断している基準の違いを出し合います。条件の言葉は、自社の商材と取引の進め方に合わせて書き換えてかまいません。

直す段階が決まったら、その段階で追う数字を売上目標とつなげておくと、次の営業会議で変化を確かめやすくなります。数字の決め方を手順で確かめたい場合は、次の資料が参考になります。


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この記事を書いた人
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谷本潤哉
元電通、2016年創業。株式会社FAZOM代表取締役。自らの組織崩壊を原点に、営業プロセスを数字で再現する独自メソッド「メトリクスマネジメント」を体系化。累計200社超の営業組織を支援し、売上向上・新人の早期戦力化など成果を創出。