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営業研修の課題を5つに分けて診断する方法|研修で扱う範囲と確認手順

営業研修の課題を5つに分けて診断する方法|研修で扱う範囲と確認手順

▼ この記事の内容

営業研修を企画する前に、自社の課題が研修で扱えるものかを確認します。知識やスキルの不足と、営業プロセスや評価制度の問題を分けなければ、受講内容を選ぶ根拠が曖昧になります。

診断では、困っている営業場面、求める行動、判断に使う記録、改善を担当する人を整理します。研修で練習する範囲と組織で変更する範囲を分け、研修会社へ相談するための材料をそろえます。

営業研修の課題は研修前に切り分ける

研修企画の最初の作業は、カリキュラムを探すことではなく、現場で何ができていないのかを確かめることです。問題の原因と改善担当を先に分けると、研修で扱う範囲を決められます。

営業場面と求める行動から課題を具体化する

「提案力を上げたい」だけでは、必要な研修を選べません。初回商談で顧客の優先課題を聞けないのか、提案時に導入理由を説明できないのか、場面と行動を区別します。

企画担当者は、対象者、営業場面、期待する行動、現状を示す記録を並べて確認します。売上などの結果だけでは原因を特定できないため、商談メモや同行時の観察も用います。

研修テーマを先に決めず、説明できないことと、説明はできても実行できないことを分けるのが実務上の確認点です。対象者の経験差も、この確認結果から判断します。

研修を選ぶ前に診断票を作成する

診断票は「対象者」「困る営業場面」「求める行動」「確認記録」「課題分類」「改善担当」「研修に依頼する範囲」の欄で整理します。記録が足りない欄は、研修内容を確定する前の確認事項にします。

たとえば、顧客の予算を聞けない場合でも、質問を知らないなら知識・スキル、質問を使う時間が商談手順にないならプロセスの問題です。同じ現象でも担当する改善が異なります。

営業研修で解決しやすい課題と解決しにくい課題

研修で扱いやすいのは、知識の共通理解や、練習できる行動の習得です。手順や評価制度が未定義である問題は、その定義を決める担当者の作業と分けます。

知識と練習できるスキルを研修課題にする

商品知識、質問の組み立て方、提案理由の説明など、対象者が練習して確認できる課題を研修候補にします。受講前にどこまでできるかを調べ、目標となる行動との差を示します。

ロープレであれば、何を言えればよいか、相手の発言をどう確認するかを評価基準にします。経験年数だけで分けず、同じ場面で必要な練習が近い対象者をまとめます。

説明できるのに実商談で使えない場合は、研修を追加する前に、使用場面とレビュー方法を確認します。知識の講義だけを依頼するか、実践練習も含めるかが変わります。

権限や仕組みの不足を受講者の課題にしない

顧客情報へのアクセス権がない、価格判断の責任者が決まっていない、営業段階の移行条件が曖昧といった問題は、受講者の努力だけでは解消できません。営業企画や管理者が先に決める項目として整理します。

評価項目が研修で求める行動と矛盾する場合も、制度の見直しと研修を分けます。研修会社には未確定の条件を伝え、何を前提に演習を設計できるかを確認します。

仕組みとスキルの問題が併存する場合は、どちらか一方へまとめません。仕組みを決める担当と、練習を設計する担当を分け、実施順を合意します。

ロープレを研修へ組み込む場合は、何を良い発言として扱うかを先にそろえる必要があります。営業ロープレの評価基準を整える観点は、商談練習で見る発言と評価基準をそろえる方法でも確認できます。

商談・営業スキル 営業ロープレ評価基準|一般5分類とFAZOMの7軸・採点例

知識・スキル・行動・営業プロセス・評価制度に分けて診断する

営業研修の課題は、知識、スキル、行動、営業プロセス、評価制度に分ける「5レイヤー診断」で整理できます。課題名をそのまま研修テーマにする前に、どの層でつまずいているかを確認します。

  1. 知識: 説明できるか
  2. スキル: 練習場面で使えるか
  3. 行動: 実商談で使っているか
  4. 営業プロセス: 使う場面が決まっているか
  5. 評価制度: 求める行動が評価されているか

この順に確認すると、研修で扱うべき課題と、研修前に整えるべき課題を分けられます。特に営業行動の未定着は、知識やスキルだけでなく、レビュー記録と評価基準にも影響されます。

知識不足とスキル不足を切り分ける

説明できない状態は知識不足、説明できるのに商談場面で使えない状態はスキル不足として切り分けます。営業研修の企画では、最初に「知らない」のか「使えない」のかを分けると、研修内容を選びやすくなります。

たとえば、提案商品の強みを言語化できないなら、商品理解や競合整理を扱います。一方で、商品説明はできるのに顧客課題に合わせて話せないなら、質問、要約、提案のつなぎ方を練習します。

営業スキルを棚卸しする時は、役割や商談場面ごとに必要な行動を並べると判断しやすくなります。育成項目を整理する方法は、営業スキルマップで必要な行動を整理する手順でも扱っています。

営業AI・営業DX 営業スキルマップの作り方|項目例から現場運用まで5手順で解説

説明できても商談で使えない場合は、知識研修を追加するだけでは足りません。ロープレ、商談準備、同行後レビューを組み合わせ、学んだ内容を使う場面まで設計します。

行動が定着しない原因をレビュー記録で確認する

行動の未定着は、学んだ行動が次回商談、商談メモ、上司レビューに残っているかで確認します。受講者の記憶ではなく、実際の会話や記録に出ているかを見ると判断しやすくなります。

たとえば、顧客の現状課題を聞く行動を求めていても、商談メモに商品説明しか残っていない場合があります。この場合、行動を知らないのではなく、商談後に見る項目がそろっていない可能性があります。

確認する記録がない組織では、まずレビューの型を作ります。商談後に「使った質問」「顧客の反応」「次に直す行動」を短く残すだけでも、研修後の行動を追いやすくなります。

営業プロセスの不備は研修前に整える

営業プロセスが曖昧なままでは、研修で学ぶ行動を現場へ戻しにくくなります。どの商談段階で、どの行動を使うのかが決まっていないと、受講者は研修内容を自分の仕事へ当てはめにくくなります。

たとえば、初回商談、課題整理、提案、クロージングの境目が曖昧なチームでは、研修で学んだ質問をどこで使うかが分かれます。結果として、受講者ごとに解釈が変わり、レビューもばらつきます。

プロセス理解の不足なら研修で扱えますが、プロセス自体が未定義なら運用課題として先に整えます。研修会社へ相談する前に、自社の商談段階と各段階で求める行動を簡単に書き出しておくと、企画の精度が上がります。

評価制度のズレは研修外の課題として扱う

評価される行動と研修で求める行動がずれていると、受講者は元の行動に戻りやすくなります。研修で顧客理解を求めても、評価が商談件数だけに偏っていれば、深いヒアリングは後回しになりやすくなります。

現場担当者は「研修では丁寧に聞けと言われたが、月末は件数を追われる」と感じることがあります。この反論は受講者のやる気の問題ではなく、評価と行動の接続が弱いサインです。

評価制度そのものを変えることは、研修の範囲を越える場合があります。ただし評価者研修として、どの行動をレビューし、どの基準でフィードバックするかをそろえる範囲は研修で扱えます。

課題診断に使う情報源と確認手順

診断では、商談メモ、ロープレ記録、同行時の観察、管理者のレビューを同じ営業場面で照合します。自己申告だけで原因を決めず、記録から分かることと追加確認が必要なことを分けます。

課題名と具体的な商談記録を照合する

「ヒアリング力を上げたい」「提案力を強化したい」といった課題名だけでは、現場不一致や評価制度のズレを見落としやすくなります。課題名は入口であり、研修テーマを決める根拠としてはまだ粗い状態です。

実際に、ヒアリング力の研修を繰り返しても改善しない場合、原因は質問の知識不足ではないことがあります。顧客情報を聞く時間が商談設計にない、上司が質問内容をレビューしていない、聞いた情報が提案に使われていないといった別の原因が残ります。

法令、商品知識、社内ルールのように範囲が明確な研修では、課題名から設計できる場合もあります。営業行動を変える研修では、課題名の裏にある場面、行動、レビュー、評価を確認します。

自己申告と観察記録の違いを確認する

受講者アンケートからは、研修内容への感想や受講者自身の認識を確認できます。一方、実商談での行動まで判断する場合は、商談メモや同行時の観察など、対象場面を確認できる記録も併せて見ます。

受講者は「分かりやすかった」と答えていても、商談では顧客の反論に対して次の質問を返せない場合があります。アンケートだけを見ると研修体験の良さが目立ち、行動に移らない原因を見逃します。

アンケートは受講テーマの候補出しには役立ちます。課題を確定する時は、商談メモ、ロープレ記録、同行者のコメント、マネージャーのレビューと組み合わせて確認します。

人材開発の専門団体CIPDの学習ニーズ分析の解説では、組織に必要な能力と現在のスキル・知識を照合し、研修コースを既定の解決策にしないよう勧めています。営業研修の企画でも、受講者の希望だけでテーマを決めず、業務で求める行動と現在の記録を対応させて検討します。

参考:Learning needs analysis|CIPD

管理者と診断結果をすり合わせる

研修後の管理者作業を決めることで、学習内容が商談レビューと次回行動へつながります。誰が、いつ、どの行動を見るかが決まっていない研修は、受講者任せで終わりやすくなります。

研修後に管理者が見る項目は、多くなくて構いません。初回商談なら「顧客課題を聞けたか」、提案段階なら「課題と提案理由がつながっているか」のように、1つの行動へ絞ると確認しやすくなります。

管理者負荷が高すぎる場合は、対象者や確認頻度を絞ります。全員の全商談を見るよりも、次回研修テーマに直結する場面だけを見た方が、レビューを続けやすくなります。

研修テーマの優先順位を決める方法

研修テーマは、発生頻度、商談への影響、研修で扱える範囲、現場レビューで追えるかの順に絞ります。課題が多いほど、最初から全部を研修へ入れず、研修企画で扱う範囲を決めることが判断条件になります。

受講者に共通する課題から選ぶ

最初の研修テーマは、個別の弱点よりも対象者全体に共通する行動課題を優先します。共通課題から始めると、研修後のレビュー項目をそろえやすくなります。

たとえば、若手の半数以上が初回商談で決裁者や比較候補を聞けていないなら、ヒアリング項目を研修テーマにできます。一方で、特定の1名だけが提案書作成でつまずいているなら、個別指導の方が向いている場合があります。

特定チームだけの緊急課題なら、対象を絞った研修にします。全社研修に広げる前に、対象者、商談場面、確認する行動が共通しているかを見ます。

商談への影響が大きい場面を優先する

研修テーマは、課題の多さではなく、商談停滞や提案品質に影響する場面から優先します。影響の大きい場面を選ぶと、研修後に確認する行動も具体化しやすくなります。

よくあるケースとして、話し方や資料説明の改善案が多く出ても、実際には初回商談で顧客課題を聞けていないことがあります。この場合、提案資料の見せ方よりも、初回の質問設計を先に扱う方が現場に効きやすくなります。

短期成果や売上改善率を研修だけの効果として断定するのは避けます。商談への影響を見る時は、次回アポイントが取れたか、顧客課題が記録されたか、提案理由が明確になったかなど、研修内容に近い行動を確認します。

優先順位を判断できる記録があるか確認する

候補テーマの優先順位は、対象者、営業場面、確認したい行動、観察できる記録をそろえて比べます。具体的な場面や記録がないテーマは、すぐに研修へ組み込まず、先に聞き取りや商談記録の確認を行います。

優先順位を判断するために並べる情報は、次の4つです。対象者の経験差、つまずく商談場面、研修で扱いたい行動、研修後に管理者が確認できる記録を並べます。

  • 対象者: 新人、若手、中堅、マネージャーのどこを対象にするか
  • 営業場面: 初回商談、課題整理、提案、反論対応のどこで困っているか
  • 確認したい行動: 質問、要約、提案理由、次回合意など何を見るか
  • 確認記録: 研修後の行動を確かめるために、商談メモ、レビュー記録、次の練習テーマのどれを残すか

課題を整理した後に研修会社や内容の違いを見たい場合は、研修会社を選ぶ前に見る比較軸へ進むと判断しやすくなります。先に自社の課題を言語化しておくと、比較する項目がぶれにくくなります。

営業AI・営業DX 営業研修おすすめ比較|研修会社の選び方と判断基準

研修で扱う課題を決めた後は、対象者、営業場面、求める行動、社内の担当を書き出し、研修会社へ渡す条件に抜けがないか確認します。選定ガイドも、依頼前に条件を整理する際の参考にできます。


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研修以外で改善すべき営業組織の課題

研修外の問題は、誰が何を決めるかまで整理して企画条件にします。未確定の手順や制度を、研修の受講目標へ混ぜないようにします。

営業プロセスと判断権限を明確にする

商談段階ごとに必要な顧客情報、次の段階へ進める条件、判断する責任者を確認します。担当者ごとに異なる手順なら、営業企画と現場管理者が共通部分を決めます。

標準手順があるのに理解されていない場合は、手順の共有や演習を研修で扱えます。標準手順そのものがない場合は、その設計を先に行います。

例外の多い商材では全工程の統一を急がず、対象とする商談場面に必要な条件を決めます。研修で扱わない例外も依頼時に伝えます。

評価と管理者の確認作業をそろえる

顧客理解を求める一方で件数だけを評価していないか、管理者が行動を確認する時間を確保できるかを点検します。制度変更が必要なら、人事や営業責任者の判断事項として残します。

管理者には、見る行動、確認する記録、フィードバックの担当を事前に割り当てます。継続確認が難しい場合は、対象者や研修テーマを絞ります。

研修で評価者の説明やフィードバックを練習することと、評価制度自体を変更することは別の作業です。受講範囲を決めるときに責任者も区別します。

研修会社へ相談する前のチェック項目

相談時は、対象者と課題分類に加え、根拠となる記録と研修外の改善事項を渡します。提案内容が自社の診断結果に対応しているかを判断する材料になります。

対象者と変えたい行動を共有できるか

対象者の担当業務、経験、つまずく営業場面を整理します。「営業力を上げたい」ではなく、どの場面で何をできるようにしたいかを説明します。

受講前の確認方法と、研修内で確かめたい行動も伝えます。商品知識の確認なのか、質問や提案の演習なのかを分けると、実施内容を比較できます。

根拠資料と未確定事項を分けられているか

商談メモや評価記録を外部へ渡す場合は、顧客情報の扱いと共有範囲を確認します。共有できない資料は匿名化や要約の方法を検討し、架空の実績で補いません。

プロセスや制度の未確定事項は、研修会社への確認リストに残します。研修で決めてもらう事項と自社で決める事項を明確にします。

実施条件と予算の判断担当が決まっているか

練習を確認する管理者、準備する教材、実施時期、対象人数の条件をそろえます。提案された内容に現場の担当者が対応できるかを確認してから、実施範囲を決めます。

予算の説明には、研修で扱う課題と必要な準備を対応づけます。売上改善を約束するための試算ではなく、何を依頼し、何を社内で担うかを整理します。

一方で、研修費用や実施判断を説明する時は、満足度だけでは足りない場面があります。費用の見方や研修の投資判断を分けて考えたい場合は、営業研修の費用を検討する時の確認項目も併せて整理すると、社内説明がしやすくなります。

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まとめ

営業研修の企画前には、課題を知識、スキル、行動、営業プロセス、評価制度に分け、記録で確認します。原因を決めつけず、研修で扱う範囲と組織で直す範囲を整理することが出発点です。

対象者、営業場面、求める行動、確認記録、改善担当を診断票にまとめます。未確定の条件を残したまま研修メニューを選ばず、研修会社へ相談する前の確認事項として共有します。

自社の課題分類と依頼範囲を整理できたら、選定ガイドを参考に、各研修会社の提案が同じ対象者、営業場面、確認方法に対応しているかを比較してください。


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この記事を書いた人
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谷本潤哉
元電通、2016年創業。株式会社FAZOM代表取締役。自らの組織崩壊を原点に、営業プロセスを数字で再現する独自メソッド「メトリクスマネジメント」を体系化。累計200社超の営業組織を支援し、売上向上・新人の早期戦力化など成果を創出。