▼ この記事の内容
新人が定着しない職場を見直す際は、教え方・相談先・期待する行動・仕事の負担・採用時の説明との違いを確認します。起きた事実と本人の説明を分け、対応・担当・対応期限・次回確認日を決めます。対応後は在籍状況・習熟度・新人と指導者の負担を別々に確かめます。
新人営業が続かず、教え方を変えるべきか、仕事の負担を見直すべきか迷うことがあります。最初に確かめたいのは、新人が実際に困った仕事と、そのとき職場でどのような対応があったかです。
新人が定着しない職場を見直す際は、教え方・相談先・期待する行動・仕事の負担・採用時の説明との違いを確認します。担当者が決まっていても、困ったときに相談できたか、必要な返答が届いたかまで確かめます。
営業マネージャーが最初の対応を決められるよう、職場の特徴と確認する場面、対応を記録する確認表を示します。起きた事実と本人の説明を分け、対応・担当・対応期限・次回確認日を決めたうえで、在籍状況・習熟度・仕事の負担を別々に確かめます。
新人が定着しにくい職場に共通する特徴
営業マネージャーは、新人が実際に困った仕事を起点に、どの指示や相談対応、勤務条件を確かめるかを選びます。下の表で確認する領域と場面を整理し、本人の説明と業務記録を照らし合わせて、職場で対応することを決めます。当てはまる項目の数だけで離職を予測しません。
| 確認する領域 | 見直したい職場の特徴 | 営業現場で確認する場面 |
|---|---|---|
| 教え方 | 手本や仕事の順序を示さず、最初から任せています。 | 商談準備や顧客への連絡について、手本を示したか確認します。 |
| 相談先 | 質問する相手が決まっていないか、不在時に相談できません。 | 最近困ったときに、誰へ相談し、どんな返答があったか確認します。 |
| 期待する行動 | 新人に求める仕事の範囲や確認基準を伝えていません。 | 本人が任されていると理解した仕事と、指導者の説明を照らし合わせます。 |
| 仕事の負担 | 業務量や勤務時間を確認せず、仕事を追加しています。 | 担当業務、勤務記録、本人が負担を感じた場面を確認します。 |
| 採用時の説明 | 入社前に伝えた仕事内容や勤務条件と、実際の仕事に違いがあります。 | 採用時の資料や説明記録と、配属後の業務を比較します。 |
この表は、自社で確かめる項目を整理するための案です。すべてを同時に変える必要はありませんが、本人の説明だけで原因を決めず、指示や勤務の記録も確認してから対応を選びます。
教え方や新人に求める行動が曖昧になっている
新人が定着しない職場を見直すときは、何をどこまで任せるか、困ったときに誰へ相談できるかを具体的に確認します。先輩の指示と本人の受け止め方を照らし合わせ、教え方や期待する行動の曖昧さを確かめます。
確認したいのは、仕事を任せる前に手本と順序を示したかです。商談準備なら、集める情報、準備する資料、上司に確認する箇所まで伝えたかを確認します。完成した資料だけを渡しても、新人が途中の判断まで理解したかは別に確かめる必要があります。
労働政策研究・研修機構の2016年調査では、最初の正社員勤務先の離職者に、採用直後の指示が曖昧だった人や、当初から先輩と同等の仕事を任された人が多く見られました。[1]対象は2007〜2013年に学校を離れ、正社員経験がある当時21〜33歳の人で、営業職だけの調査ではありません。2017年公開の調査シリーズNo.164の結果の要約であり、指導不足が離職の原因だったと断定せず、自社の指導内容を確かめる参考にします。
マネージャーは、本人が次の仕事で何をするつもりかを聞き、伝えた指示と一致しているか確かめます。説明が異なる場合は、本人の理解不足と決める前に、指示する人によって内容が変わっていないか、任せる範囲を伝え忘れていないかを確認します。
参考:調査シリーズNo.164 若年者の離職状況と離職後のキャリア形成|労働政策研究・研修機構
相談先が決まらず質問を抱え込んでいる
相談担当が名簿に載っていることと、新人が困ったときに相談できていることは別です。担当者の名前だけで判断せず、最近質問した場面と、その後に仕事を進められたかを確認します。
担当者が外出していた場合は、代わりに誰へ聞いたか、その相手が質問を受けたかまで確かめます。質問先を紹介されても、紹介された相手が対応を引き受けていなければ、新人は同じ説明を繰り返すことになります。
質問が少ない理由は、仕事を理解しているためかもしれませんし、聞く相手や方法が分からないためかもしれません。発言の少なさだけで本人の内心を推測せず、困った仕事と、相談しようとしたときのやり取りを聞きます。
業務上の質問と、相談担当との関係について話す相談は、同じ相手では話しにくい場合があります。本人が何について困っているかを確かめ、必要に応じて別の相談先を案内します。教え方や相談先を確認した後は、仕事の量や採用時の説明にも目を向けます。
仕事の負担が採用時の説明を上回っている
仕事の負担を確認するときは、業務量・勤務時間・任せた仕事と、採用時に伝えた内容を比較します。本人が大変だと話した理由を、経験の浅さだけで説明せず、実際に担当している仕事から確かめます。
採用時の説明は、求人票や面接時の記録など、確認できる資料を使います。配属後については、勤務記録と担当業務を確認し、本人がどの場面で違いを感じたかを聞きます。資料に残っていない口頭説明は、確認済みの内容と分けて扱います。
労働政策研究・研修機構の2016年調査では、最初の正社員勤務先の離職者に、勤続者より長時間労働や採用時の説明と異なる労働条件を経験した人が多く見られました。[2]対象は2007〜2013年に学校を離れ、正社員経験がある当時21〜33歳の人です。調査シリーズNo.164の結果の要約であり、現在の新人営業の離職率や個別の離職原因を示すものではないため、自社では採用時の説明記録と配属後の事実を比較します。
勤務条件や採用時の説明に違いがある場合は、教え方の改善とは別に、人事などの担当者と確認します。研修を追加しても、担当業務や勤務時間の違いへの対応は済みません。まず何が確認でき、何が未確認かを残すことが、最初の対応を決める出発点になります。
参考:調査シリーズNo.164 若年者の離職状況と離職後のキャリア形成|労働政策研究・研修機構
営業現場で新人に何が起きているか確認する
自社で対応を決めるには、職場の特徴を具体的な出来事に置き換えて確認します。起きた事実、本人の説明、まだ確かめていない原因を分けて残し、誰が何を変えるかまで決めます。
起きた事実と本人の説明を分けて記録する
最初に、本人が最近困った仕事と、その場面を特定します。仕事の進め方が分からず困った場面はあったか、そのとき誰に相談し、どんな返答があったかを聞くと、確認する指示や記録を絞れます。
事実の欄には、確認した日時、仕事、指示、対応を残します。本人が話した負担や受け止め方は、本人の説明として別に記録します。指導者の説明と異なる場合も、どちらかをすぐに誤りとせず、説明が異なる箇所を残して追加確認します。
確認の進め方を示す架空の場面として、担当者の不在中に新人の資料作成が止まった場合を考えます。担当者の不在と提出の遅れを記録で確認できても、新人が質問をためらった理由まで分かるとは限りません。相談先を知らなかったのか、別の仕事を優先したのかは、本人に確かめます。
勤務記録や指導記録は、今回の出来事に必要な範囲を確認します。記録がない場合は、問題がなかったことにせず未確認と残します。性格や世代を原因にする前に、確認できた事実から対応を考えます。
確認表で対応内容と担当者、期限を決める
確認表には、出来事の説明だけでなく、対応・担当・対応期限・次回確認日も残します。対応期限は作業を終える日、次回確認日は実施後の仕事や負担を確かめる日として、別々に決めます。
| 起きた事実 | 本人の説明 | 未確認の原因 | 対応 | 担当 | 対応期限 | 次回確認日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 確認した場面と日時を記入します。 | 本人の言葉を要約して記入します。 | 追加確認が必要なことを記入します。 | 最初に変えることを記入します。 | 実際の担当者を記入します。 | 実際の日付を記入します。 | 実際の日付を記入します。 |
記入する際は、本人が示した安全や仕事の負担の問題を人事と先に確認し、必要な対応を決めます。教え方については、確認済みの事実から対応を選びます。手本が示されていなければ、担当者が仕事の進め方を見せる対応を検討します。採用説明との違いがあれば、説明内容を確認する担当者を決めます。
対応の欄には、教育を充実させるといった大きな方針だけでなく、誰が何をするか分かる作業を書きます。架空の記入例なら、マネージャーが資料作成の順序を示し、新人と任せる範囲を確認すると書きます。担当者名と日付は、自社で実際に決めた内容を入れます。
原因が未確認でも、すでに確認できた指示不足への対応は検討できます。未確認の原因を推測で埋めず、追加確認する人を決めて残します。表の項目を点数化して離職を予測するのではなく、次の確認で対応を選び直すために使います。
マネージャーと人事の対応範囲を決める
マネージャーは、手本の示し方、任せる仕事、日常の相談先など、現場で変えることを整理します。採用時の説明や勤務条件に関する確認は、人事など自社の担当者と進め、現場の指導だけで解決した扱いにしません。
担当を決める際は、部署名だけで終わらせず、実際に確認する人と、確認結果を受け取る人を決めます。人事に確認を依頼した後も、マネージャーが引き続き対応する仕事の配分や相談先は、確認表に残します。
共有する情報は、担当者が対応を判断するために必要な内容に限ります。本人が話した私生活の事情など、今回の対応に不要な情報まで広く共有しません。本人には、何を確かめるために、誰へどの内容を伝えるかを説明します。
担当が決まらない項目は、誰かが対応するだろうと考えず、担当を決めるために確認する相手を明記します。現場で変える作業と人事へ確認する事項を分けたうえで、新人への教え方と、質問を受ける体制を整えます。
営業マネージャーが整える新人への教え方と相談先
教え方や相談先に不足が確認できた場合は、新しい研修を増やす前に、日々の仕事を任せる手順を見直します。手本を示す人、任せる範囲、質問への返答、不在時の担当者を具体的に決めます。
手本を示し、任せる仕事を段階的に広げる
仕事を任せる手順は、手本を見る、担当者と一緒に試す、本人に任せる範囲を確認する順に整理できます。新人の経験と担当業務に合わせて進め方を調整し、入社からの期間だけで任せる範囲を決めません。
手本を見せる際は、完成した資料や話し方だけでなく、途中で何を確認し、なぜその順序で進めたかも説明します。架空の商談準備の場面なら、担当者が確認する顧客情報と、上司へ相談する条件を示し、新人が同じ資料を使って準備を試します。
- 担当者が仕事の手本を示し、確認する箇所と進める順序を説明します。
- 新人が担当者と一緒に試し、判断に迷った箇所を確認します。
- 本人に任せる仕事と、実行前に担当者へ確認する仕事を決めます。
一緒に試した後は、何を本人だけで進め、どこから相談するかを言葉にします。できた仕事と判断に迷った仕事を分けて確認し、同じ新人でも仕事ごとに任せる範囲を調整します。
独り立ちまでの期間を一律に固定すると、経験のある仕事と初めての仕事を同じ条件で扱ってしまいます。仕事の実行を確認してから範囲を広げ、できなかった箇所は手本や説明を見直します。任せられる仕事が増えた後も、本人が仕事や相談先に困っていないかを確認します。
任せる範囲を決めても、どの行動まで確認するかが曖昧なら、指導者同士で説明をそろえる必要があります。育成全体の順序と到達基準を整理する際は、新人営業の育成カリキュラムと到達基準も確認できます。
営業育成・研修 営業新卒育成カリキュラムの作り方|配属後90日の設計
良かった行動と改善する行動を具体的に伝える
仕事を試した後は、本人が実際に行った行動をもとに、続けることと改善することを伝えます。良かった、もっと積極的にといった評価だけで終わらせず、次の仕事で何をするかまで確認します。
架空の場面として、新人が商談前に顧客の要望を確認したものの、社内への相談が遅れた場合を考えます。指導者は、要望を事前に確認した行動を認めたうえで、どの情報が分かった時点で相談するかを本人と確認します。性格の評価へ広げず、仕事の進め方を話題にします。
改善する行動を決める前に、本人がどのように判断したかも聞きます。相談が必要な条件を知らなかったのか、相談先が不在だったのかで、指導者が変えることも異なります。本人の説明を聞かずに、相談の回数だけ増やす対応は避けます。
次に試す仕事では、前回決めた行動をどの場面で使うかを伝え、実行した後に確認します。できたかだけでなく、指示が分かったか、相談先が対応したかも確かめます。返答を具体化すると同時に、担当者が不在でも質問を受ける相手を決めます。
相談担当と不在時の代わりの担当者を決める
教える先輩が忙しい場合は、新人に遠慮せず聞くよう伝えるだけでなく、質問を受ける担当と不在時の代わりの担当者を決めます。誰へ、どの方法で相談し、すぐに回答できない場合はどう連絡するかまで共有します。
相談の方法は、自社の仕事に合わせて決めます。業務を進める前に判断が必要な質問と、振り返りで確認する質問を区別し、顧客対応の途中で困った場合の連絡先を新人に伝えます。回答を待つ間に進めてよい仕事も、任せる範囲とあわせて確認します。
代わりの担当者には、名前を知らせる前に役割を確認します。すべての質問に答えられない場合は、誰へ確認して回答するかを決めます。新人を別の相手へ案内するだけで終わらず、質問が引き継がれたか、必要な返答が届いたかを確かめます。
相談先を増やした結果、教える側の仕事が進まなくなっていないかも確認します。負担が増えた場合は、担当業務や指導の分担を見直します。人間関係や業務量の問題を研修の追加だけで扱わず、新人と指導者の双方について、対応後の負担を確かめます。
対応後の仕事の負担と在籍状況を分けて確かめる
対応を実施した後は、在籍が続いているか、任せた仕事を実行できたか、仕事の負担がどう変わったかを別々に確認します。教え方を変えた事実だけで対応が十分だったと判断せず、本人と指導者の説明、実際の仕事を確かめます。
在籍状況・習熟度・仕事の負担を分けて記録する
在籍が続いていることと、営業の仕事を身につけたことは別です。本人が在籍していても仕事に困っている場合があり、仕事を実行できても負担を感じている場合があります。確認する内容を分けて記録します。
| 記録する内容 | 確かめること | 残す情報 |
|---|---|---|
| 在籍状況 | 対象とした新人の在籍状況を確認します。 | 対象者、入社時期、確認した日付と在籍状況を残します。 |
| 習熟度 | 任せた仕事で、確認した行動を実行したか確かめます。 | 仕事、実行した行動、必要だった支援、確認日を残します。 |
| 仕事の負担 | 新人と指導者の業務量や困った場面を確認します。 | 担当業務、勤務記録、本人と指導者の説明、確認日を残します。 |
この記録では、同じ入社対象と確認期間を保ちます。途中で対象者や期間を変えた場合は、その変更を残します。確認できなかった人や仕事は未確認とし、問題がなかった記録に置き換えません。
習熟度は、何となく慣れたという印象だけでなく、任せた仕事で行った行動から確認します。相談しながら実行した仕事と、本人だけで実行した仕事も分けます。在籍人数の変化は在籍状況の記録に残し、技能の向上は実行した行動で確かめます。
対応後に退職者がいなくても、少人数の短い期間だけで離職防止の効果を断定しません。担当業務や人員配置など、同時に変わった条件も確認します。新人と指導者の負担が増えていれば、在籍の継続だけを理由に同じ対応を続けず、仕事の配分を見直します。
在籍とは別に、研修で学んだ行動を実際の仕事で使えたか確かめたい場合があります。その確認手順を具体化する際は、営業研修で学んだ行動を現場に定着させる設計も確認できます。
営業AI・営業DX 営業研修の定着率を上げるには?研修前後の設計と効果測定
次回の確認日に対応を続けるか見直す
次回の確認日には、決めた対応を実施したかを最初に確認します。対応を行っていない場合と、実施したものの変化をまだ確認できない場合を分け、次に確かめることを決めます。
未実施の場合は、担当者の不在、指導時間の不足、役割の未合意など、実施を妨げた条件を確認します。期限を延ばすだけで終わらせず、担当や仕事の配分を変える必要があるかを検討します。変更した内容は、確認表の対応欄と担当欄に残します。
実施済みの場合は、新人にその後の仕事の進め方と困った場面を聞き、指導者にも対応した内容を確認します。負担が増えていれば、仕事の量や相談対応の分担を見直します。変化が見られない場合も、本人の努力不足と決めず、手本や指示が届いていたかを確かめます。
対応を続ける場合は、次に任せる仕事と確認する行動を決め、見直す場合は、変更する作業・担当・期限・次回確認日を更新します。残った未確認事項も引き継ぎます。個別の対応に加えて、営業組織全体の育成段階や指導基準にも曖昧さがあれば、その範囲の確認へ進みます。
まとめ|最初に確認する職場の条件を決める
新人が定着しない職場を見直す出発点は、教え方・相談先・期待する行動・仕事の負担・採用時の説明との違いを、実際の出来事から確かめることです。新人が最近困った場面を聞き、指示や勤務の記録と照らし合わせます。確認表には、起きた事実・本人の説明・未確認の原因を分けて残します。
確認できた事実から最初の対応を選び、担当・対応期限・次回確認日を決めます。教え方や相談先は現場で見直し、採用時の説明や勤務条件との違いは人事などの担当者と確認します。手本を示す人や不在時の相談先まで具体的に決め、実施後の仕事と負担を確かめます。
対応後は、在籍状況・習熟度・新人と指導者の負担を別々に確認します。次回の確認日には、対応を実施したか、本人が仕事を進められたか、負担が増えていないかを確かめ、続ける対応と見直す対応を決めます。少人数の短い期間の変化だけで、離職防止の効果を断定しません。
新人の受け入れとあわせて、営業組織全体の育成段階や指導の基準も確認したい方は、以下の資料をご覧ください。営業組織の現在地がわかる組織診断チェックリストでは、営業組織を確認する質問を整理できます。
営業組織の仕組み化レベルを10の質問で可視化。レベル別の「明日からの1手」まで分かる診断ツールを公開中!
>>無料で『営業組織の現在地がわかる組織診断チェックリスト』をダウンロードする