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営業戦略・KPI設計

営業組織の立ち上げ方|顧客確認から役割分担、KPI設計、運用開始まで

営業組織の立ち上げ方|顧客確認から役割分担、KPI設計、運用開始まで

▼ この記事の内容

営業組織の立ち上げで提案するのは、顧客と販売経路の確認を起点に、業務と役割、人数と予算、採用・育成、管理指標、運用と見直しの順で設計する進め方です。各段階で残す資料と次へ進む条件をそろえ、自社で不足する情報を確認しながら体制を調整します。

営業組織の立ち上げを、顧客の確認から運用の見直しまで6段階に整理します。各段階で決めることと、次へ進む条件を対応させる進め方です。

営業組織の立ち上げを任された営業責任者にとって、体制・採用・育成・指標のどれから決めるかは悩みどころです。まず顧客の購買過程と販売経路を確かめ、必要な仕事を並べると、担当する役割や人数を検討する前提を整理できます。

本文で示すのは、役割表や業務量の見積表、採用・育成の確認表などを使って、運用開始までに用意する情報です。自社の販売方法や予算に合わせて調整しながら、準備で不足する項目と、その情報を誰に確認するかを整理できます。

営業組織の立ち上げは顧客・商流・目標の確認から始める

顧客の購買過程と販売経路を確認する

営業組織の立ち上げでは、対象顧客の困りごと、購入判断に関わる相手、販売経路、受注後に必要な対応を先に確認します。商流とは、誰を通じて商品やサービスを販売し、契約に至るかという取引の流れです。

まず、自社にある顧客からの相談記録や商談記録、事業計画を使い、誰のどのような仕事上の問題を解決するのかを整理します。購入判断に関わる相手については、利用する人、比較検討する人、購入を決める人を確認し、分かっている範囲で購買過程に沿って記録します。

次に確かめるのは、顧客へ直接販売するのか、代理店などを通じて販売するのかという点です。提案や契約の担当だけでなく、受注後の導入説明や問い合わせを誰が受けるかまで確認すると、営業組織が担う仕事と他部門へ引き継ぐ仕事を整理できます。

既存の説明や記録がない項目は、未確認として残します。想定する顧客像を確認済みの事実として埋めず、何が分かっていないか、誰に確かめるかを記録しておくのがお勧めです。確認済みの情報と不足情報を分けたうえで、各段階で何を決めれば次へ進めるかをそろえます。

設計の順序と各段階の完了条件をそろえる

営業組織は、顧客・商流・目標、業務と役割、人数と予算、採用・育成、管理指標、運用と見直しの6段階で設計する進め方を勧めます。各段階で残す資料と次へ進む条件を決め、未達の項目があれば前段を見直す進め方です。

段階 入力情報 決めること 残す資料 次へ進む条件
顧客・商流・目標 顧客の課題、購買過程、販売経路、対象期間 誰の何を解決し、どの経路で売るかを決めます。 顧客と商流の確認欄 必要情報と未確認事項を区別できています。
業務・役割・権限 顧客と商流の確認欄 決めるのは、実行担当、判断する人、引き継ぎ先です。 役割表 必要業務に担当と判断権限が定まっています。
人数・兼務・予算 役割表、想定件数、所要時間、予算 人数を見積もる前提と兼務範囲を決めます。 業務量の見積表 稼働時間と予算の不足を特定できている状態です。
採用・育成 役割表、兼務範囲、育成時間 採用時に求める条件と仕事を任せる条件を決めます。 採用条件と育成の確認表 育成担当と確認方法が定まっています。
指標・記録 目標、業務の流れ、記録可能な情報 決めるのは、件数や率の定義、記録方法、確認担当です。 指標の定義表 同じ対象・期間で集計できます。
試行・開始・見直し 前段の資料、試行で得た記録 開始可否、見直す日、設計に戻る条件を決めます。 開始確認表と見直し表 担当・権限・記録・引き継ぎを試せている状態です。

リクルートマネジメントソリューションズさんの「営業組織の立ち上げ」では、外販への転換を扱う中で、目指す姿や施策の順序を定め、関係部門の合意を得て実行する進め方を説明しています。[1]上の表は、自社の準備を確認するために弊社が提案する整理方法です。同資料がこの6段階や効果を検証したという意味ではありません。

表を使い始める際は、売上などの目標がいつからいつまでを対象とし、誰が達成状況を確認するのかを明記します。期間と責任者を先にそろえ、その期間に必要な業務量、使える予算、育成に充てる時間を後続の資料へ引き継ぎます。

6段階は、後戻りせずに進むための固定手順ではありません。業務量を見積もって担当者の時間が足りないと分かった場合は、役割と兼務範囲へ戻り、未確認事項が次の判断に影響する場合は、その情報を確認してから進めます。顧客と商流の確認欄を出発点に、次は必要な業務ごとの担当と判断権限を具体化します。

参考:営業組織の立ち上げ|リクルートマネジメントソリューションズさん

必要業務を洗い出して役割分担と判断権限を決める

顧客対応の流れに沿って必要な業務を並べる

必要な業務を整理する順序は、顧客との接点づくり、課題確認、提案、契約、受注後支援です。前段で確認した販売経路に照らし、自社が担う仕事と、代理店や他部門に任せる仕事を具体化する進め方を勧めます。

接点づくりで書き出すのは、誰に連絡するかを決める仕事と、実際に連絡して状況を確かめる仕事です。商談前の確認範囲に迷う場合は、商談前の顧客対応を担うインサイドセールスの役割と業務を確認し、自社に必要な仕事を選びます。

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課題確認から契約までに分けて整理するのは、顧客の要望を聞く、提案内容を作る、見積もりを出す、契約条件を確かめる、といった作業です。代理店を通じて販売する場合は、顧客へ説明する人と、自社で提案内容を確認する人をそれぞれ記録します。

受注後に整理するのは、導入説明、利用状況の確認、問い合わせへの対応を誰が担うかです。継続利用への支援が必要な商材では、受注後の導入や活用を支えるカスタマーサクセスの役割を踏まえ、営業から渡す情報と支援の範囲を検討します。

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業務を分けて書いても、それぞれに専任部署を新設する必要はありません。既存部門が担う仕事や兼務の候補を残し、担当者の時間が足りるかは業務量と予算を見積もる段階で確かめます。まず区別するのは、各業務について実行する人と判断する人です。

担当者・決裁者・引き継ぎ条件を記録する

役割分担では、仕事を実行する担当者と、提案や条件変更を判断する人を分けて記録します。引き継ぎについても、渡す情報、受け取る相手、次の対応を始めるために必要な条件まで定めることを勧めます。

下の役割表は、自社の分担を記入するための整理例です。実行担当・判断する人・引き継ぎ先には自社で確認した担当名を入れ、情報と受け取り条件の例は自社の商流に合わせて調整します。未決定の欄に残すのは、未定であることと、誰が担当を決めるかです。

業務 実行担当 判断する人 渡す情報 引き継ぎ先 受け取り条件
接点づくり 記入するのは、自社の担当名です。 接触対象と次の対応を判断する人を記入します。 接点を持った経緯、顧客の関心、確認済みの課題を渡します。 記入するのは、課題確認を担う人です。 次に顧客へ何を確認するか、担当者が把握できています。
課題確認・提案 自社の担当名を記入します。 記入するのは、提案内容や変更の可否を判断する人です。 顧客の課題、提案内容、合意した内容、未確認事項を渡します。 契約条件の確認を担う人を記入します。 合意済みの内容と、契約前に確認する内容を区別できている状態です。
契約 自社の担当名を記入します。 価格や契約条件を承認する人を記入します。 渡すのは、確定した契約内容、提供範囲、顧客と合意した対応です。 受注後の支援を担う人を記入します。 受け手が提供範囲と、支援開始時に行う対応を確認できています。
受注後支援 記入するのは、自社の担当名です。 支援内容の変更や追加対応を判断する人を記入します。 支援の進捗、顧客の要望、残る対応を渡します。 記入するのは、次の支援や問い合わせを担う人です。 継続する対応と、判断を仰ぐ必要がある内容を把握できています。

担当名が埋まっていても、値引きや提案変更を誰が決めるか不明なら、判断権限の確認が残っています。自社の決裁ルールと照合して役割表に追記するのは、担当者が判断できる範囲と、上司などへ承認を求める条件です。承認が必要な提案は、顧客へ伝える前に確認する手順まで決めます。

同じ人が商談前の対応と提案を兼ねる場合も、確認した課題や次に行うことは記録します。担当が替わる場合は、資料を送るだけで終えず、受け手が必要な情報を確認したことをもって引き継ぎ完了とする進め方がお勧めです。不足情報があるときは、誰が追加確認を行うかまで決めておきます。

必要な業務に実行担当と判断権限が定まり、引き継ぎ先と受け取り条件を関係者で確認できたら、人数の見積もりへ進みます。担当不在や権限未定の業務が残る場合、先に確認するのはその割り当てです。役割表がそろった後に、対応件数と所要時間から、予定した兼務を無理なく担えるかを検討します。

業務量と予算を踏まえて必要人数と兼務範囲を見積もる

対応件数と所要時間から業務量を見積もる

必要人数は、役割表に並べた業務ごとに、対象期間の想定件数と所要時間を見積もってから検討します。各業務の「想定件数×1件あたりの所要時間」を合計し、担当者が同じ期間に使える時間と照合する進め方がお勧めです。

件数を数える前に、何を1件とするかを決めます。提案業務なら、商談だけを数えるか、提案書の作成や修正も別の作業として数えるかをそろえます。準備や記録の時間を所要時間に含めた場合は、別の業務として重ねて加算しないことが必要です。

下の見積表は、自社の情報を記入するための整理例です。件数と所要時間には根拠を添え、実測値と仮定を区別して記録します。確認できない数値は未確認と残し、対象期間と時間の単位をそろえてから業務量を計算します。

業務 対象期間 想定件数 所要時間 根拠と未確認事項 稼働可能時間 兼務 育成・管理時間 予算
接点づくり 記入するのは、集計する開始日と終了日です。 連絡など、対象とする作業の件数を記入します。 1件あたりの対応時間と、準備・記録を含む範囲を記入します。 記入するのは、件数・時間それぞれの根拠、実測か仮定か、未確認事項です。 担当候補者がこの業務に使える時間を記入します。 兼ねる業務と担当候補者を記入します。 記入するのは、連絡内容の練習や確認に必要な時間です。 関係する人件費・採用費・教育費の確認先を記入します。
課題確認・提案 ほかの業務と同じ対象期間を記入します。 商談、提案書作成、修正などの件数を分けて記入する欄です。 作業ごとの所要時間を記入します。 件数・時間それぞれの根拠、実測か仮定か、未確認事項を記入します。 記入するのは、商談と準備に割り当てられる時間です。 ほかの顧客対応と重なる時間帯を記入します。 商談への同席や提案内容の確認に必要な時間を記入します。 確認するのは、担当者と育成担当者に関係する費用です。
契約 ほかの業務と同じ対象期間を記入します。 契約条件の確認など、対象作業の件数を記入します。 記入するのは、条件確認や社内調整に使う作業時間です。 件数・時間それぞれの根拠、実測か仮定か、未確認事項を記入します。 担当者が契約対応に使える時間を記入します。 記入するのは、商談や受注後支援との重なりです。 上司などが内容を確認する時間を記入します。 ほかの業務で計上済みの人件費と重複しないか確認します。
受注後支援 記入するのは、ほかの業務と同じ対象期間です。 導入説明や問い合わせなど、対応別の件数を記入します。 対応別の所要時間と、記録を含む範囲を記入します。 記入するのは、件数・時間それぞれの根拠、実測か仮定か、未確認事項です。 担当候補者が支援に使える時間を記入します。 新規顧客への対応と両立させる条件を記入します。 記入するのは、引き継ぎや対応内容の確認に必要な時間です。 支援に関係する人件費と教育費を確認します。

実績がない段階では、仮定を置いた項目を試行で確かめて見積表を更新する進め方です。想定件数や所要時間が変わった場合に、どの担当者の時間が不足するかまで確認します。業務量の合計だけで人数を決めず、次に育成・管理の負担と兼務できる時間帯を照合します。

育成・管理にかかる時間も踏まえて兼務を判断する

兼務を判断する基準は、顧客対応の業務量に加え、採用・育成・管理に必要な時間を確保できるかです。担当候補者ごとに既存業務と予定を確認し、新しい営業活動へ実際に割り当てられる時間を見積もります。

営業責任者が商談と新人育成を兼ねるなら、面接、商談への同席、提案内容の確認なども予定に含めます。育成時間を別に確保した後の残りを営業活動に使える時間とした場合は、比較する業務量へ同じ育成時間を重ねて加えません。見積表では、どの時間を差し引いたかも残します。

合計時間が足りていても、同じ時間帯に必要な対応が重なれば、予定どおりには兼務できません。商談中にも受注後の問い合わせ対応が必要になる場合は、対応期限と代わりに対応する人を確認します。代替担当を確保できない場合は、業務の割り当てや対応予定を見直します。

人数を増やす案で予算と照合するのは、人件費・採用費・教育費と、利用する場合のツール費・外注費を含めた、同じ計画期間の費用です。既存社員の兼務案でも、使える時間が無制限に増えるわけではありません。費用の内訳と必要な時間を並べ、予算に収まるか、既存業務との両立に無理がないかを確認します。

受注率が未確認なら、売上目標から逆算した商談数だけで採用人数を確定しません。人数の前提、兼務する範囲、時間と予算の不足、追加で確かめる項目を見積表に残します。不足への対応方針が決まったら、任せる役割に合わせて採用条件と育成基準を定めます。

役割に応じて採用条件と育成基準を定める

任せる業務に必要な採用条件を具体化する

採用条件として分けて定めるのは、役割表にある仕事を出発点とした、採用時に必要な経験・行動と、入社後に学ぶ内容です。役職名や経験年数だけで決めず、担当する業務で何を行える必要があるかまで具体化する進め方を勧めます。

まず、採用する人へ任せる業務と、既存社員が引き続き担う業務を役割表で確認します。課題確認から提案まで任せる場合と、商談前の顧客対応を任せる場合では、採用時に確かめる行動も別です。兼務を予定しているなら、兼ねる仕事も採用条件を検討する対象に含めます。

提案を担う人の条件を整理するなら、顧客が話した困りごとを整理し、提案内容へ反映した経験を確認項目にする方法があります。経験年数に加えて確かめるのは、本人が担当した範囲、行った対応、その判断に使った情報です。売上実績だけから、必要な業務をすべて経験していると判断しないようにします。

自社商品の説明、価格の承認手順、案件記録の方法などは、入社後に学ぶ内容として整理します。その際に前段の見積表と照合するのは、教える人と確認に使える時間です。育成担当が確保できない内容を入社後の学習へ回す場合は、担当や業務範囲を見直してから採用条件を確定します。

採用条件をまとめる際は、各条件が役割表のどの仕事に必要かを対応付けます。採用時に確認することと、入社後の育成で確かめることが分かれたら、次に決めるのは仕事を任せるための条件です。経験者を採用する場合も、自社での対応手順や判断権限を確認する機会を設けます。

実務を任せる条件と確認する担当者を決める

実務を任せる条件は、仕事ごとに確認する行動と、その行動を確かめる担当者を決めて整理します。知識の理解、練習での対応、支援を受けながら行う実務を順に確認し、任せられる範囲を判断する進め方がお勧めです。

下の表は、採用条件と入社後の育成をつなぐための記入例です。採用時の条件や確認する行動は、自社の役割表に合わせて調整します。確認担当には実際の担当名を入れ、教える人と任せる範囲を決める人が異なる場合は、両者の役割も明記します。

任せる仕事 採用時に求める条件 入社後に学ぶ内容 確認する行動 確認担当 任せる範囲
任せる仕事は、顧客の課題の確認です。 相手の話を整理し、確認済みの内容と不明点を分ける行動など、採用時に求める条件を記入します。 対象顧客の業務、自社で確認する項目、商談記録の方法を学びます。 知識では質問の目的を説明し、練習では回答に応じて追加確認を行うことが確認対象です。実務では同席者が会話と記録を照合します。 知識・練習・実務を確認する担当名と、任せる範囲を判断する人を記入します。 記入するのは、単独で確認する項目と、同席者の支援を受ける項目です。
提案を作成し、説明します。 顧客の課題に対応する提案を組み立てた経験など、採用時に求める条件を記入します。 学ぶ内容は、自社商品の提供範囲、提案資料、社内で承認を受ける手順です。 知識では提供できる範囲を説明し、練習では課題と提案の対応を示します。実務では顧客へ提示する前に内容を確認します。 記入するのは、説明内容を確認する担当名と、提案の提示を判断する人です。 本人が作成・説明する範囲と、事前確認が必要な内容を記入します。
案件情報を次の担当者へ引き継ぎます。 記入するのは、合意事項と残る対応を記録し、相手へ伝える行動など、採用時に求める条件です。 案件記録の項目、引き継ぎ先、受け取り条件を学びます。 知識では必要な情報を説明し、練習では記録から引き継ぎを行います。実務で確認するのは、受け手が次の対応を判断できるかです。 記録を確認する担当名と、引き継ぎの完了を確認する人を記入します。 本人が引き継ぐ案件と、上司などの確認を受けてから渡す案件を記入します。

確認結果を反映する先は、仕事ごとに任せる範囲です。課題の確認は単独で担えても、提案内容の判断がまだ難しい場合は、提案だけを事前確認の対象に残します。確認できていない仕事は支援を続け、次に確かめる行動を具体化します。入社からの日数だけで、すべての仕事を任せる判断はしません。

育成の進め方まで詳しく決める段階では、知識を教える機会と実務で行動を確かめる機会を予定に組み込みます。新人が仕事を担えるまでを支える営業オンボーディングの設計では、到達基準や配属後の振り返りを扱っています。採用条件と育成の確認表を用意した後に、具体的な支援方法を検討するための補足です。

商談・営業スキル オンボーディングとは?ビジネスでの意味|OJTとの違いと営業での設計手順

育成担当と確認方法が定まったら、同席や提案確認に必要な時間を見積表へ反映します。予定した人数では支援が足りない場合は、任せる業務や兼務範囲へ戻って調整します。誰がどの仕事を担うかが具体化した後に設計するのは、売上目標と日々の営業活動を結び付ける管理指標です。

売上目標に結び付けてKPI・管理指標を設計する

成果・案件の進捗・行動を対応付ける

KPIとは、目標に向けた進み具合を確かめる管理指標です。営業組織の立ち上げでは、売上などの成果、案件の進み具合、担当者の行動を対応付けて設計する進め方を勧めます。

最初に、目標とする売上の対象期間と集計範囲を確認します。区別するのは、受注した金額を管理するのか、売上として計上した金額を管理するのかという点です。契約から売上計上までに時間がかかる商材では、受注の時期と売上が立つ時期を同じものとして扱わないようにします。

次に、自社の顧客対応の流れに沿って、成果に至る前の案件進捗を並べます。課題の確認、提案、契約条件の確認などについて定めるのは、何が確認できたら次へ進んだと数えるかです。提案書を送ったことと、顧客が提案内容を確認して次の検討へ進んだことは、別々に記録する方法があります。

行動の指標は、案件を次へ進めるために担当者が行う仕事から選びます。顧客への連絡や商談の実施を数える際、合わせて確かめるのは、その後に課題確認や提案へ進んだかです。件数が増えたのに案件が進まない場合は、活動量だけで判断せず、会話の記録や引き継ぎ情報を確認します。

立ち上げ時に実績がなければ、売上目標から必要件数を逆算する際の受注率などは未確認として残します。仮の率を置く場合は計画上の仮定と明記し、実績欄と分けた管理が必要です。全社共通の架電件数や商談件数を当てはめる前に、自社で何を数え、どの記録から確かめるかをそろえます。

指標の定義・取得元・確認担当をそろえる

指標ごとに、件数の数え方、率の分子・分母、集計対象と期間、取得元、確認担当を決めます。役割表で定めた担当者が同じ記録から同じ数値を集計できるように、指標の定義表へ残すのがお勧めです。

下の表は、自社の指標を整理するための記入例です。売上・案件進捗・営業活動の例を示していますが、すべてを必須指標にするものではありません。自社で確認する必要がある指標を選び、取得元には実際に使う帳票や案件記録の項目名を記入します。

成果・進捗・行動の区分 指標 件数の定義または分子・分母 集計対象と期間 取得元 確認担当 確認後の行動
成果 確認する指標は、売上金額です。 合計する金額と売上計上の基準を記入します。受注金額とは区別します。 記入するのは、対象商品・顧客の範囲と、集計する開始日・終了日です。 売上を確認する帳票名と項目名を記入します。 実績と計画の差を確認する担当名を記入します。 差がある場合に決めるのは、対象案件や計上時期を確かめる担当者です。
案件の進捗 提案へ進んだ案件数を確認します。 提案へ進んだと判断する条件を記入します。同じ案件の再提案を重ねて数えるかも、定めておく項目です。 対象案件の範囲と、進捗を数える日付・集計期間を記入します。 案件記録の進捗欄、変更日、確認内容の記録先を記入します。 記入するのは、条件を満たしたか確認する担当名です。 進んでいない案件で残る確認事項と、次に対応する人を確かめます。
案件の進捗 課題確認から提案へ進んだ割合を確認します。 分母を対象期間に課題確認を終えた案件数、分子をその中で確認日までに提案へ進んだ案件数とする例です。 課題確認を終えた日付の範囲と、提案への移行を確認する日を記入します。 同じ案件を追える識別番号と、課題確認・提案の完了記録を指定します。 記入するのは、分子と分母の対象が対応しているか確認する担当名です。 未移行の案件について、対応継続中か、見送りか、記録不足かを確認します。
行動 顧客への連絡や商談の実施件数を確認します。 連絡の試行・会話の成立・商談の実施を区別し、それぞれ何を1件と数えるかを定める欄です。 対象担当者・顧客の範囲と、活動日の集計期間を記入します。 活動履歴の記録先と、入力漏れを照合する記録を指定します。 記入するのは、記録の不足や重複を確認する担当名です。 活動後の案件進捗を確かめ、次に行う連絡や確認内容を決めます。

率を比較する際は、分子と分母が同じ対象案件に対応しているかを確認します。今月の提案件数を今月の課題確認件数で割るだけでは、前月から進んできた案件が分子に混ざる場合があるため、注意が必要です。対象案件を追って集計し、確認時点で対応が続いている案件も残します。

記録を取得できていない項目は未取得とし、確認できた結果の0件と区別します。分母が0件なら率は算出できないため、0%で埋めません。実績が不足している段階でも、取得元、記録する人、集計の確認日を定め、計画値を実績として扱わずに確認を進めます。

商談前の顧客対応を担当する部門との連携まで確認する場合は、インサイドセールスで指標と引き継ぎ条件をそろえる方法を補足として利用できます。組織全体の指標表で決めるのは、数値を確認した後に誰が何を確かめるかです。同じ対象・期間で集計できる準備が整ったら、実際に案件記録と引き継ぎを試し、運用を始める条件を確認します。

商談・営業スキル インサイドセールスの課題を分解|商談レビューと練習が繋がらない設計を直す

記録と引き継ぎを試したうえで運用を始め、体制を見直す

案件記録と引き継ぎを試し、開始条件を確かめる

運用開始前には、担当・判断権限・案件記録・引き継ぎ先をそろえ、関係者が同じ記録から次の対応を判断できるか試します。役割表や指標の定義表を使い、記入から受け取り、集計までを通して確認する進め方がお勧めです。

試行では、顧客の課題や合意事項を記録し、次の担当者がその内容を確認して、残る対応を説明します。実案件がまだなければ練習用と明示した記録を使い、実際の案件数や受注実績には含めません。練習で確認できた手順と、実務で確認が残る項目を分けます。

下の開始確認表は、自社で試行結果を記入するための整理例です。確認する人には実際の担当名を入れ、結果には確認できた内容と未確認事項を残します。残る対応の欄に記入するのは、直す内容に加えて、対応する人と再確認する日です。

開始前の確認 試行方法 確認する人 結果 残る対応
開始前に確認するのは、業務ごとの担当です。 顧客対応の流れに沿って、各作業を誰が行うか役割表と照合します。 業務の割り当てを確認する担当名を記入します。 記入するのは、担当が決まっている業務と、担当不在の業務です。 未割り当ての業務について、担当を決める人と再確認日を記入します。
開始前に確認するのは、判断権限です。 値引きや提案変更が必要な場面を想定し、誰に何を確認するかをたどります。 判断権限と承認手順を確認する担当名を記入します。 担当者が判断できる範囲と、承認が必要な条件を確認できたか記入する欄です。 判断する人や承認条件が不明な箇所と、確認先・再確認日を記入します。
開始前に確認するのは、案件記録です。 課題、合意事項、未確認事項、次の対応を記入し、別の担当者が内容を確認します。 記録内容を確認する担当名を記入します。 記入するのは、記録から把握できた内容と、追加説明が必要だった内容です。 補う情報、記入する人、再確認日を記入します。
開始前に確認するのは、引き継ぎ先と受け取り条件です。 決めた相手へ記録を渡し、受け手が次の対応と不足情報を説明できるか試します。 引き継ぎ元と受け手の担当名を記入します。 記入するのは、受け取り条件を満たしたか、誰の確認が残っているかです。 不足情報を確認する人と、再度引き継ぐ日を記入します。
開始前に確認するのは、指標を同じ定義で集計できるかです。 同じ対象・期間の記録を使い、指標の定義表に沿って集計します。 集計内容を照合する担当名を記入します。 記入するのは、件数や率の計算結果と、記録不足で集計できなかった項目です。 定義や取得元を確かめる人と、再集計する日を記入します。

担当不在、判断権限の不明点、受け手が次の対応を判断できない情報不足が残る業務は、対応を決めてから再度試します。必要な担当・権限・記録・引き継ぎを確認できた範囲を整理し、運用開始を判断するのは営業責任者です。この確認は受注成果を保証するものではないため、開始後に実務の記録を見直す日も決めておきます。

見直し日と前段の設計に戻る条件を決める

運用開始時には、営業責任者が見直す日と、予定日を待たずに対応する条件を決めます。自社の販売にかかる期間と試行で残った確認事項を踏まえ、どの記録を使って、誰が設計の変更を判断するかまで定めるのがお勧めです。

見直しでは、起きた問題と原因の仮説を分けて扱います。顧客への対応が遅れた場合も、担当が決まっていなかったのか、兼務の時間が足りなかったのか、引き継ぐ情報が不足していたのかを記録で確かめます。遅れがあったという結果だけで、採用人数や担当者の能力に原因を絞りません。

下の見直し表は、確認した問題を前段の設計へ戻して検討するための整理例です。確認担当と見直す日は自社で決め、表の対応例に当てはまるかを実際の記録と照合します。記録だけでは原因を判断できない場合は、次に確かめる情報を具体化して残します。

確認した問題 戻って見直す設計 確認担当 次に確かめる情報 見直す日
必要な業務に担当者がいません。 役割表へ戻り、実行担当と判断する人の割り当てを確認します。 記入するのは、割り当てを見直す担当名です。 担当不在の業務、対応期限、ほかの担当者が担える範囲を確認します。 担当を決める日と、対応状況を再確認する日を記入します。
予定した時間内に業務を終えられません。 業務量の見積表へ戻り、人数の前提と兼務範囲を確認します。 記入するのは、業務量と担当者の予定を確認する担当名です。 実際の件数・所要時間、育成・管理時間、同じ時間帯に重なった業務を確認します。 実測をそろえて見積もり直す日を記入します。
案件記録が不足し、指標を集計できません。 指標の定義表へ戻り、記録項目・取得元・記録する担当を確認します。 記入するのは、記録と集計方法を確認する担当名です。 不足する項目、元の記録の有無、入力する時点、対象期間を確認します。 記録方法の修正後に集計を試す日を記入します。
引き継ぎ後に次の対応を始められません。 役割表へ戻り、渡す情報と受け取り条件を確認します。 記入するのは、引き継ぎ元と受け手の担当名です。 不足情報、未合意の事項、追加確認を行う人が決まっているかを確認します。 不足を補って再度引き継ぐ日を記入します。

担当不在で顧客への対応期限に間に合わないなど、待つことで影響が広がる場合は、定例の見直し日より先に責任者への共有が必要です。共通の会議回数を増やすことより、未対応の仕事と判断する人を明確にすることを優先します。時間不足への対応案は、育成・管理に使う時間と予算も含めて検討します。

設計を変更した後に行うのは、役割表や見積表などの該当箇所の更新と、関係する担当者との変更内容の確認です。そのうえで記録・引き継ぎ・集計を再度試し、問題が解消したか、確認が残るかを見直し表へ記入します。まずは各表の未記入項目を確かめ、追加情報を誰に確認するか決めることから着手します。

まとめ

営業組織の立ち上げで勧めるのは、顧客と販売経路の確認を出発点に、業務と役割、人数と予算、採用・育成、管理指標、運用と見直しをつなげて設計する進め方です。各段階で残す資料と次へ進む条件をそろえ、自社の準備状況に合わせて前段の設計へ戻りながら調整します。

運用を始める前には、担当・判断権限・案件記録・引き継ぎ先を確かめ、関係者が次の対応を判断できるか試します。まず着手するのは、本文の各表から自社で未記入の項目を選び、追加情報の確認先を決めることです。

自社の営業組織を別の項目でも確かめたい方に向けて、以下に組織診断チェックリストをご案内しています。運用実績がない項目は、今後確認する項目として整理できます。


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この記事を書いた人
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谷本潤哉
元電通、2016年創業。株式会社FAZOM代表取締役。自らの組織崩壊を原点に、営業プロセスを数字で再現する独自メソッド「メトリクスマネジメント」を体系化。累計200社超の営業組織を支援し、売上向上・新人の早期戦力化など成果を創出。