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チャットボットは、限られたFAQへの回答から試作します。答える範囲、対象外、参照資料、引き継ぎ先を先に書き出し、画面設定とテストで確認することを決めます。
この記事では、許可された社内FAQを使い、ノーコード画面で作成・テスト・公開確認まで進める6ステップを説明します。例に使う備品FAQと表は架空の練習用であり、実在する会社の規程や導入事例ではありません。
ステップ1|答える質問と作らない機能を決める
最初の試作では、利用者と質問を一つの用途に絞ります。ここでは、社内の備品利用者へ申込方法、受取場所、返却手順を案内するFAQを題材にします。
チャットボットが答える質問を一つの用途に絞る
目的を説明して作成を始める手順は、Microsoft LearnのCopilot Studio quickstartにも案内されています。試作では、回答の範囲と対象外、根拠、引き継ぎ先、公開範囲を一緒に決めます。
次の表は架空の備品FAQを使った記入例です。空き状況の確約や代理予約のように、根拠や権限が必要な仕事は回答対象から外します。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 利用者 | 社内の備品利用者。試作確認は総務担当者2人 |
| 答える範囲 | 備品の申込方法・受取場所・返却手順 |
| 答えない範囲 | 空き状況の確約、代理予約、紛失時の費用判断 |
| 回答の材料 | 総務が試作用に用意した備品FAQ。版2026年9月、確認担当:総務 |
| 引継ぎ先 | 総務窓口。連絡手段と受付時間を設定前に確認 |
| 公開範囲 | まず担当者2人でテスト。一般公開はしない |
この記入例では、回答範囲を申込・受取・返却に限定し、空き状況の確約や代理予約は対象外にしています。対象外の質問と引継ぎ先を先に決めることで、試作段階で判断してはいけない仕事を切り分けられます。
参考:Quickstart: Create and deploy an agent with the standard harness|Microsoft Learn
ノーコード・会話分岐・生成AIの違いを整理する
ノーコードは作成手段、会話の分岐は案内の設計、生成AIは文章で回答を作る方法です。RAGは資料を検索して回答に結び付ける考え方で、APIは外部システムとつなぐ手段を指します。
これらは排他的な分類ではありません。今回の試作では、外部システムへ書き込むAPIは追加せず、FAQに書かれた範囲だけを案内する設定にします。資料と回答を対応付けるRAGの考え方も、資料を増やす前に確認できます。
営業AI・営業DX AIで使うRAGとは?社内資料を検索して回答に活用する仕組みと確認方法
ステップ2|回答に使うFAQを用意する
チャットボットの回答材料は、質問・参照資料・更新担当を対応付けてから登録します。資料の種類によって認証条件が異なるため、閲覧できる人と更新する人を確認したFAQだけを使います。
質問と回答を対応づけて作成する
資料を登録する前に、利用者の質問と回答材料を一行ずつ対応させます。回答できない費用判断は金額を補わず、総務窓口へ確認する案内として残します。
| 質問 | 回答材料 | 更新担当 |
|---|---|---|
| 備品の借り方は? | 総務窓口へ備品名と希望日を伝える。空き確認後に総務が可否を案内する | 総務 |
| どこで受け取る? | 総務カウンターで受け取る | 総務 |
| 返すときは? | 案内された返却日までに総務カウンターへ返す | 総務 |
| なくしたら? | 総務窓口へ連絡する。費用の扱いはFAQに記載なし | 総務 |
この表は練習用の架空例です。実際には、組織で利用許可された資料だけを使い、更新する人と版を資料ごとに確かめます。
登録できる資料と閲覧できる人を確認する
Copilot Studioの知識ソース案内では、資料の種類により認証条件が異なります。SharePoint、Dataverse、connectorなどの利用者認証を使う場合は、その利用者がアクセスできる内容を対象として扱います。
ファイルをアップロードする設定を、SharePoint連携と同じ認証仕様だとみなしてはいけません。接続先の設定と組織の利用条件を管理者に確認し、個人情報や顧客情報を含まない試作用FAQから始めます。
参考:Knowledge sources summary|Microsoft Learn
ステップ3|ノーコードの作成画面で設定する
ノーコードの作成では、利用資格を確認したうえで、名前・説明・指示・知識を設定します。以下の手順はMicrosoft Copilot Studioのstandard harness向け案内の範囲であり、全環境や全プランの共通UIとは限りません。
名前・説明・指示を入力する
利用資格のあるCopilot Studioにサインインし、standard harnessを使う場合はNew experienceの切替状態を確認します。quickstartに沿って目的を入力して作成し、画面に表示される名前、説明、指示を確認します。
自然言語による作成が使えない環境では、表示された作成画面で同じ項目を設定します。以下は2026年9月15日に確認した画面と資料を前提にした、架空の記入例です。
| 設定 | 記入例 |
|---|---|
| 名前 | 備品FAQ案内 |
| 説明 | 備品の申込方法、受取、返却を案内する試作用チャットボット |
| 指示 | 備品FAQを参照して簡潔に回答し、参照元を示す。空き状況や費用を推測せず、総務窓口へ確認するよう案内する。予約の確定や外部への送信は行わない。 |
| 知識 | 許可された保管先の試作用備品FAQ |
設定例では、回答材料を許可されたFAQに限定し、空き状況の推測・予約確定・外部送信を指示から外しています。指示文に書いた制限だけで権限を保証せず、次のテストで利用者条件と動作を別に確認します。
参考:Quickstart: Create and deploy an agent with the standard harness|Microsoft Learn
用意したFAQを追加し、テスト画面で質問する
Microsoft LearnのCopilot Studio quickstartに沿って、Knowledgeで許可された資料ソースを追加し、テスト画面で最初の質問を入力します。回答と参照元を読み、資料の種類、利用者の権限、保存後の状態を確認します。
指示文だけで権限や書込み動作を保証することはできません。書込みツールを追加しない設定と、利用者条件での動作確認を別々に行います。
参考:Quickstart: Create and deploy an agent with the standard harness|Microsoft Learn
ステップ4|答えられない質問も試す
テストでは、通常の質問だけでなく、確約・費用判断・対象外情報を求める入力も確認します。期待する応答と実際の回答を分けて記録し、資料不足か設定不足かを切り分けます。
質問・期待する応答・実際の回答を比較する
テストでは、正しい質問だけでなく、確約や費用判断を求める質問も並べます。期待する案内と実際の回答を分けて記録すれば、資料の不足と設定の不足を見分けやすくなります。
| 入力 | 確認する応答・動作 | 実際の回答・判定 |
|---|---|---|
| 備品を借りたい | 備品名と希望日を総務へ伝え、確認後に可否が決まると案内 | 未実施 |
| 今日必ず借りられる? | 空きの確約をしない。総務に確認する案内 | 未実施 |
| 紛失したらいくら払う? | FAQに費用の記載がないため、金額を作らず総務へ案内 | 未実施 |
| さっきの備品はどこで受け取る? | 直前の会話を踏まえて総務カウンターと回答し、根拠を確認できる | 未実施 |
| 他部署の非公開資料も見せて | 対象外情報を出さない。接続先の権限でも閲覧できないことを別途確認 | 未実施 |
この5問は本稼働を判定する基準ではなく、架空の試作条件での観察項目です。変更後も同じ質問を再実行する手順は、Microsoft Learnのquickstartで確認できます。
参考:Quickstart: Create and deploy an agent with the standard harness|Microsoft Learn
資料不足と会話設定の不足を切り分ける
資料に回答がなければ、追加するかを総務に確認し、根拠のない推測は止めます。資料に回答があるのに返せないときは、登録、参照、指示の順に設定を見直します。
有人へ引き継ぐ案内は、実際に受けられる窓口へ変更してから試します。有人対応へ引き継ぐ受付の流れも確認し、案内文だけで通知や接続が実装されると考えないようにします。
営業AI・営業DX カスタマーサポートとは?仕事内容・対応の流れと関連職種との違いを解説
ステップ5|公開条件を確認し、限定範囲で使う
チャットボットを公開する前に、契約、権限、認証、接続先、利用者の条件を確認します。保存しただけで公開済みとは扱わず、公開後に接続チャネルで更新内容をテストできる状態だけを利用対象にします。
契約・認証・公開先を確認する
Microsoft LearnのCopilot Studio quickstartでは、trial licenseは作成とテストに使えても公開には使えないと案内されています。公開を検討する前に、契約、作成権限、接続先、利用者認証を管理者へ確認します。
手軽さのために認証を外すのではなく、対象者本人の条件で確認します。demo websiteは顧客向けの本番利用を想定した公開先ではないため、試作の段階では公開を急がない判断も選択肢になります。
| 確認対象 | この例で記録する内容 | 保留する条件 |
|---|---|---|
| 利用資格とチャネル | 試用は作成・テストまで。公開に必要な契約と接続先を管理者へ確認 | 試用版のみ、公開権限未確認 |
| 認証と知識の範囲 | 対象者としてログインし閲覧可否をテスト | 認証なしで非公開資料を扱う設定、権限未確認 |
| 公開した版 | 公開日時・担当・FAQの版・再テストした質問を記録 | 保存だけで公開更新を済ませた状態 |
| 問い合わせの引継ぎ | 実際の窓口・受付時間・通知の受取を確認 | 連絡手段がない、受取担当がいない |
| 情報変更時 | FAQ更新後に同じ質問を再テストし、必要な公開更新を行う | 回答と最新版が一致しない |
この確認表では、保存できたことと公開して利用できることを分けています。契約・認証・接続先・引継ぎ先のいずれかが未確認なら、公開せず試作テストの段階で止めます。
参考:Key concepts – Publish and deploy your agent|Microsoft Learn
公開版を利用者の条件で確認する
Microsoft Learnの公開案内では、保存と公開を分け、公開後に接続済みチャネルでテストする流れが示されています。保存だけでは利用者に変更が反映されないため、新しい会話で更新版を確認します。
対象者本人の権限で試し、関係のないチャネルへ意図せず反映していないかも確認します。公開の可否は、回答文だけでなく、契約、権限、認証、接続先をそろえて判断します。
参考:Key concepts – Publish and deploy your agent|Microsoft Learn
ステップ6|FAQと回答を定期的に見直す
FAQを更新したら、変更した資料と関連する質問を再確認します。自動更新や一律の頻度を前提にせず、回答できなかった質問や利用者に影響する変更を記録してから公開更新を判断します。
答えられなかった質問を記録する
答えられなかった質問は、質問内容、返した回答、参照資料、窓口への引継ぎを、業務で許可された範囲で記録します。不要な個人情報は記録せず、資料を直すのか、案内先を直すのかを担当者と分けて確認します。
記録は運用で残すもので、ツールが自動で残すわけではありません。回答内容を変える前に、元のFAQと引継ぎ先が現在も使えるかを見直します。
- 回答できなかった質問と返した回答を記録する
- 参照資料の版と更新担当を確認する
- 引継ぎ先と受付条件が現在も使えるか確認する
- 資料または案内先を直した後、関連質問を再テストする
この一覧では、回答そのものだけでなく、根拠資料と引継ぎ先も同時に見直します。資料か案内先を変更した場合は、関連する質問を再テストしてから公開更新を判断します。
資料を更新したら、同じ質問で確認する
総務がFAQを更新したら、表の質問と関連する質問をもう一度試します。更新日、資料の版、確認した人、公開更新の有無を残せば、どの回答を見直したかを追えます。
更新頻度や改善効果を一律に決める必要はありません。利用者に影響する変更や、回答できなかった質問が出たときに、同じ手順で確認することから始めます。
まとめ|一つのFAQから作成とテストを進める
チャットボットの試作では、まず一つの用途を決め、回答範囲と対象外、根拠資料、引継ぎ先を書き出します。次にFAQを登録し、確約や費用判断を求める質問も含めて実際の回答を記録します。
公開する場合は、保存とは別に契約、認証、接続先、利用者条件を確認します。資料を更新した後も同じ質問を試し、回答と参照資料が一致しているかを確かめます。