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The Model型営業組織の作り方|4部門の役割と連携設計5ステップ

The Model型営業組織の作り方|4部門の役割と連携設計5ステップ

▼ この記事の内容

The Model型営業組織の本質は、4部門分業そのものではなく、部門間ハンドオフとKPI連動の設計にあります。マーケ・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの役割をBOFUから逆算し、3ヶ月パイロットで運用の穴を埋めます。これにより、売上向上と属人化解消が同時に実現します。

近年はインサイドセールスを専業部門として置く企業が増え、The Model型の分業設計を検討する場面も広がっています。The Model型の分業モデルは、もはや一部の先進企業だけの施策ではなく、営業組織の標準装備になりつつあります。

ただ、いざ自社に導入しようとすると、分業で効率化できるという期待が「読まない・追わない・引き継げない」の3症状で裏切られるケースは少なくありません。放置すれば、部門を分けたぶんだけ連携コストが膨らみ、以前の一人営業より数字が落ちる事態にもつながります。

The Modelの成否を分けるのは、部門を4つに切り分ける形ではなく、部門間をつなぐ設計です。4部門の役割とBOFU逆算のKPI、5ステップの作り方、3症状の回避策、副作用を突破する改善ループまでを、営業マネージャーの実装粒度で解説します。

読み終えた後は、自社の顧客タイプ、部門責任、引き継ぎ条件を照合し、最初の3ヶ月で検証する項目を決められます。

参考:インサイドセールス完全ガイド|HubSpot Japan


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The Model型営業組織とは

The Model型営業組織とは、顧客の検討から契約後までを4つの部門で分業し、各部門がバトンをつなぐ形で売上を伸ばす仕組みを指します。分業そのものが目的ではなく、部門間の連携設計を含めて初めて機能するモデルです。

The Modelの定義と4部門分業

The ModelはSalesforceが体系化した営業プロセスのフレームワークで、顧客接点を4部門に分け、数値の引き継ぎで売上をつくる仕組みです。日本では関連書籍やSaaS企業の営業分業を通じて広がりました。

分業する4部門は、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの順に並びます。各部門は前工程から受け取ったリードや商談を次工程へ渡し、引き継ぎ条件と数値責任を明確にするのが特徴になります。

たとえばSaaS企業では、マーケがリードを創出し、インサイドセールスが精査して商談化します。フィールドセールスが成約を担い、カスタマーサクセスが活用を支援すると、工程ごとの改善点を特定しやすくなります。

Salesforce由来の運用として広く紹介されている点も、日本企業で採用が進む理由の一つです。ただし「4部門を置けば勝てる」という短絡的な理解で導入すると、部門間の待ち時間や情報欠落が増えます。

注目される背景と市場変化

The Modelが日本で広がった背景には、BtoBの購買行動が複雑化した変化があります。従来の「一人の営業担当が最初から最後まで面倒を見る」スタイルでは、情報収集、比較検討、社内合意を一人で担いにくくなりました。

加えて、リモート商談の定着も追い風になりました。電話やオンライン会議で接触できる範囲が広がり、インサイドセールスという専業部門を置く合理性が高まっています。

もう一つの要因は、各工程に必要なスキルの専門性が高まっている点です。広告運用、リード精査、提案、導入後支援を分けると、担当者ごとの学習テーマとレビュー観点を絞れます。

つまりThe Modelの普及は、単なる流行ではなく、BtoB市場の構造変化への合理的な適応として起きています。ただし合理性があるからといって、分業さえすれば結果が出るわけではありません。続く項で、この誤解の危うさを解きほぐしていきます。

分業だけでは成果につながらない理由

The Modelを導入しても、「分業すれば効率化できる」という期待だけでは成果につながりません。部門を分けた後に連携条件を決めないと、むしろ確認や待ち時間が増えます。

分業は、連携設計とセットで初めて効果が出る仕組みです。どの情報を、どのタイミングで、どの基準で渡すかを決めないと、現場は自分の担当範囲だけを見るようになります。

たとえばリードを渡しても、スコアリング基準と優先順位ルールが曖昧だと、インサイドセールスは扱いやすい案件だけを拾いがちです。対応基準と期限を決めると、同じリードでも次工程へ進める判断がそろいます。

だからこそBtoB売上向上の全体設計の中で、The Modelは分業フレームとしてだけでなく、連携設計まで一体で理解する必要があります。次章からは、各部門の役割とKPIのつなぎ方を確認します。

4部門の役割とKPI設計

The Model型営業組織の4部門は、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの順に並び、それぞれが独立したKPIを持ちながらも受注から逆算して連動します。部門単独のKPIでは組織が分断されやすく、BOFU起点の逆算設計が連携を成立させる条件になります。

マーケティングの役割と数値責任

マーケティングの役割は、見込み顧客の需要を掘り起こし、営業に渡せるリードを数値責任で生み出すことです。広告運用・SEO・セミナー・ホワイトペーパーなど複数チャネルを組み合わせ、月次のリード獲得数と獲得単価を追いかけます。

たとえばSaaS企業では、MQLの件数だけでなく、業種、役職、企業規模、検討段階をそろえて渡す設計が必要です。単純な獲得数だけを追うと、インサイドセールス側が接続できる質になりません。

よく起きるのは、マーケ側が「リード数」だけを追いかけ、質の低い資料請求まで全てISに流してしまうケースです。結果としてIS側の架電効率が落ち、商談化率が1割を切る事態が起きます。マーケKPIに「MQL→商談化率」を先行指標として織り込んでおくのが有効です。

つまりマーケの責任は数ではなく、次工程が接続できる数と質の両立にあります。ISへのハンドオフ条件を事前に合意しておくことが、その後の連携を滑らかにします。

インサイドセールスの育成と商談化

インサイドセールス(IS)は、マーケが獲得したリードに電話やメールで接触し、商談に値する案件だけをフィールドセールスへ引き渡す中継部門です。日本ではコロナ禍以降に専業部門として一気に定着しました。

ISの主要KPIは、架電数、有効接触数、商談化件数、商談化率です。規模や商材によって目安は変わるため、まずは接触後に次工程へ進んだ理由と進まなかった理由を分けて見ます。

ここで重要なのは、FSに渡す情報の質です。単に「興味あり」だけで渡すと、FS側が毎回ゼロから要件整理し直すことになります。課題・導入時期・意思決定者・予算感の4点を埋めた上で渡すと、商談の初回からクロージングに近い議論ができます。

ある製造業では、IS側の商談化数が伸びた一方で、FSの初回商談満足度が下がる現象が起きました。原因は商談化数を優先し、課題ヒアリングを省いていた点にあります。件数と質の両方をKPIに置かないと、橋渡しの役は機能しません。

フィールドセールスの成約責任

フィールドセールス(FS)は、ISから引き継いだ商談をクロージングし、契約後の初期オンボーディングまでを担う実戦部隊です。対面・オンラインを問わず、提案・見積・価格交渉・契約の意思決定支援を一気通貫で担当します。

KPIは商談数、成約率、受注単価、受注金額、平均リードタイムが基本です。目安を固定せず、自社の商材単価、検討期間、決裁者数に合わせて基準を置く必要があります。

FSの落とし穴は、引き継いだ商談を「自分の案件」として抱え込みすぎる点にあります。契約後の定着支援まで全て自分でやろうとすると、次の商談に時間が割けなくなり、全体の商談処理量が落ちます。

このため、FSにはCSへのハンドオフ品質もKPIに組み込むのが有効です。「引き継ぎ書の記入完了率」「CS側の初回ミーティング実施率」といった運用指標を置くと、担当範囲の切り替えが滑らかになります。

カスタマーサクセスの継続支援

カスタマーサクセス(CS)は、契約後の顧客が製品を使いこなし、成果を出し、継続利用とアップセルに至るまでを支援する部門です。「売って終わり」の時代の営業アフターケアとは異なり、能動的に顧客の活用状況を観察し、先回りで課題解決する役割を担います。

CSの主要KPIは、更新率、NRR、解約率、アップセル額、ヘルススコアです。売り切り商材か継続課金商材かで見るべき指標が変わるため、契約後の収益構造に合わせて設計します。

ここで誤解されやすいのは、アップセルの責任がCSかFSかという線引きです。実務では「既存契約内のプラン変更=CS」「新規ライセンスや別プロダクト=FS」と分ける組織が多いですが、中小規模では両者をCSが兼務する例もあります。役割の線引きを明文化しておかないと、既存顧客への重複アプローチや機会損失が発生します。

導入後3ヶ月のヘルススコアを毎週CSが確認し、スコア低下の顧客に自動でアラートが飛ぶ設計を組んでおくと、解約予兆を早期に察知できます。CSは単なるサポート部門ではなく、継続収益を能動的に伸ばす収益部門として位置づけるのが本来の姿です。

4部門KPIを連動させる考え方

4部門のKPIは、最終成果である受注から逆算して設計するのが原則です。BOFU(受注目標)を起点に、TOFU(リード獲得)までを歩留まりで遡ることで、部門単独の数字ではなく全体が連動する設計になります。

売上目標と受注単価が決まれば、各工程がどの成果を次へ渡すかを逆算できます。BOFU逆算では、商談化、案件化、受注までの流れを部門別の責任へ分けます。

段階数値歩留まり責任部門
受注20件/年–FS
商談40件/年成約率50%FS
案件化200件/年商談化20%IS
見込み獲得(MQL)1,000件/年案件化20%IS
リード(生)10,000件/年MQL化10%マーケ

このテーブルから読み取れるのは、どこか一つの歩留まりが崩れると下流の数字が全て狂うという事実です。マーケが1万リードを達成しても、ISの案件化率が10%に落ちれば、最終受注は半減します。逆算設計は、部門間の責任接続を数字で見える化する役割を果たします。

運用上は、月次の部門横断レビューで各段階の歩留まりを可視化し、ボトルネックを一つに絞り込むのが定石です。複数部門が同時に改善施策を走らせると、効果の切り分けができず意思決定が遅れます。次章では、この逆算したKPIを現場運用に落とし込む5ステップを見ていきます。

4部門のKPI連動を自社で設計する際、どこから手をつければよいか迷う方は多いと思います。以下の資料では、BOFU逆算の具体テンプレートと、部門間ハンドオフ条件の雛形をまとめています。


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The Model型営業組織の作り方5ステップ

The Model型営業組織は、顧客タイプ分類・部門設計・CRM整備・3ヶ月パイロット・PDCA定着の5ステップで立ち上げられます。いきなり全社展開ではなく、小さく始めて運用を固めてから広げるのが失敗しないコツです。

ステップ1|顧客タイプを見極める

最初のステップは、自社がアカウント型営業とプロダクト型営業のどちらに近いかを見極めることです。この分類を飛ばしてThe Modelを導入すると、特にアカウント型の企業で「分業が合わない」という失敗が起きます。

軸アカウント型プロダクト型
顧客単価高単価(1,000万円〜)中低単価(〜500万円)
商談期間長期(6ヶ月〜)短期(1〜3ヶ月)
意思決定関与者複数部門・役員層担当者〜部長

この表から分かるとおり、プロダクト型はThe Modelの標準形にそのまま当てはめやすく、アカウント型は4部門分業のままでは回しにくい特徴があります。アカウント型の場合、FSが顧客ごとに専任で張り付き、ISやCSが伴走するハイブリッド構造へカスタマイズするのが現実解です。詳しくは後の失敗回避章で解説します。

ステップ2|部門とKPIを設計する

ステップ2では、4部門の人員配置・各部門のKPI・部門間ハンドオフ条件を机上で設計します。いきなり人を採用するのではなく、既存メンバーの役割再定義から始めるのが小規模組織の定石です。

ハンドオフ条件の設計では、マーケからIS、ISからFS、FSからCSへ渡す情報を分けて明文化します。判定基準、課題ヒアリング項目、契約後の初期要望が書けていない場合は、運用開始後に情報欠落が起きます。

役員層向けに「どのKPIをどの部門で持つか」を1枚図で示せる状態にするのがステップ2のゴールになります。あわせてBtoB売上向上の全体設計と接続させ、営業組織単独ではなく事業全体の視点で合意を取ると、役員承認が早く進みます。

ステップ3|CRMとSFAを整備する

ステップ3は、4部門の情報を一元化するCRM/SFAツールの選定と整備です。分業する以上、部門をまたいで顧客情報がリアルタイムに見える状態でないと、引き継ぎのたびに情報が欠落します。

ツール選定では、Salesforce、HubSpot、kintone、Zoho CRMなどが候補になります。費用だけで比べず、4部門全員が日次で入力し、次工程が迷わず読める運用を続けられるかを見ます。

導入コストが重く感じる組織ほど、スプレッドシート併用のハイブリッドから始める例が多く見られます。いきなり高額ツールを入れるより、Excel台帳で運用ルールを固め、安定してからCRM移行する方が定着率は高くなります。

ステップ4|3ヶ月パイロットで検証する

ステップ4では、一部の製品ラインや一部の顧客セグメントに絞って、3ヶ月のパイロット運用を実施します。全社一斉ではなく小さく始めるのは、設計上の穴を早期に発見し、修正コストを抑えるためです。

パイロットで測るのは、各段階の歩留まりと、部門間ハンドオフの通過率です。ISからFS、FSからCSへ渡った後に、担当者が期限内に着手したかを見れば、設計側のルールや人員配置の問題を判断できます。

3ヶ月経った時点で、歩留まり数値・ハンドオフ通過率・部門メンバーの定性的な手応えの3つをレビューし、全社展開するか、設計を修正してパイロットを延長するかを判断します。いきなり本番運用に踏み込まない勇気が、中長期の成功確率を大きく変えます。

ステップ5|PDCAとレビューを定着させる

ステップ5は、パイロットで固めた運用を全社に展開し、月次の部門横断レビュー会議として定着させるフェーズです。ここで止まってしまうと「導入したけど数字が変わらない」状態に陥ります。

BtoB専門商材の会社では、経営者だけで変革を進めようとした時期に、現場抵抗が残っていました。小さな成果が見えた後にメンバーの発言が変わり、PDCAサイクルを止めない合意が生まれました。

レビュー会議は月1回・2時間を目安に、4部門のマネージャーと営業責任者が参加する形が標準です。議題はKPI達成状況の確認ではなく、「歩留まり低下のボトルネックをどう解消するか」の議論に時間を割くのが有効です。単なる数字報告会で終わると、会議体自体が風化します。

よくある失敗と回避策

The Model型導入でよく起きる失敗は、「読まない・追わない・引き継げない」の3症状に集約されます。いずれも設計段階で予防できる問題であり、アカウント型営業の企業でもカスタマイズ適用すれば機能します。

マーケ情報が読まれない問題

「読まない」問題とは、マーケが収集したリード情報をISが実質的に読まず、機械的な架電リストとしてしか扱わない状態を指します。引き継ぎ条件が曖昧だと、どのリードに何分の時間を投下すべきかISが判断できません。

回避策は、MQL判定基準とスコアリングの明文化です。業種、役職、企業規模、流入経路などを基準にし、優先対応、育成、保留の区分を決めます。

設計ルールを作るだけでは形骸化します。マーケとISの月次ミーティングで、優先リードが失注した理由を共有し、運用で学習ループを回します。

引き継いだリードを追わない問題

「追わない」問題は、ISがFSに渡した商談が放置される現象です。FS側から見ると、引き継がれた商談の質にばらつきがあり、確度の高い案件だけを選んで追いかける傾向が出ます。

回避策は、FSの着手SLAを設定することです。ISから引き継いだ商談への初回接触期限と、商談設定までの期限を決め、違反件数を月次で可視化します。

あわせて、FSの評価指標に「IS引き継ぎ商談の着手率」を組み込むと行動変容が起きやすくなります。成約率だけで評価する設計だと、扱いやすい案件だけが追われ、難しい案件が放置される偏りが生まれます。

CSへ引き継げない問題

「引き継げない」問題は、契約後の顧客情報がFSからCSへ十分に渡らず、CSが受け取っても動けない状態です。結果として、FSが既存顧客対応を抱え込み続け、新規商談に割く時間が減ります。

回避策は、引き継ぎ書のテンプレート化と、CSの初回ミーティングにFSが同席するルール化です。契約条件、導入目的、キーパーソン、初期要望、認識済みリスクを埋めると、情報欠落が減ります。

CS側の技術不足が原因の場合は、契約後3ヶ月間はFSとCSが共同担当する移行期間を設けるのも有効です。実務の背中を見せて技術を移転する期間がないと、分業は単なる責任のたらい回しに変わってしまいます。

アカウント型営業との相性

アカウント型営業の企業から「うちは高単価の長期案件だから、The Modelは合わない」という声をよく聞きます。標準形のままでは合わないため、FS主導でISとCSが伴走するハイブリッド構造へ調整します。

組織パターンカスタマイズ方針主な責任
大手アカウント中心FSを顧客専任化・IS/CSが伴走FS主導のチーム営業
中堅アカウント+プロダクト混在セグメント別に2本立てで運用営業部長が両方を統括
プロダクト中心に一部アカウント標準形+大口専任チームを別置通常FSと大口FSを分離

アカウント型では、FSが顧客ごとに深く入り込み、ISが関係者マッピングを支援し、CSが契約後の拡販起点を作ります。The Modelの本質は、形式ではなく役割接続の思想にあります。

一人依存からチーム営業化した事例

法人向け給食とケータリングを扱うフードサービス企業では、エリアマネージャー一人に重要商談が集中していました。分業を進める過程で、最大の障課題は「何を引き継げばよいか分からない」という暗黙知でした。

訪問先で一度だけ現場を見る行動が、次の質問を変える暗黙知になっていました。チェックリスト化だけでは動かず、本人がロープレに付き合ってから、若手の同行が見学ではなく実践に変わりました。

この事例は、The Modelの分業そのものではなく、一人に集中した暗黙知を組織が共有できる形に変えるプロセスが成果につながることを示します。以下の資料では、ハンドオフ条件とSLA設計の雛形をまとめています。


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分業の副作用を防ぐ改善ループ設計

4部門のKPIを正しく連動させても、分業そのものが持つ副作用は残ります。部門別KPIに加えて、商談品質を横串で測るメトリクス設計を加えることで、分業組織は再び噛み合います。

部門KPIだけでは組織が動かない理由

部門ごとのKPIを完璧に設計しても、それだけでは組織は動き切りません。「ISは商談数」「FSは成約率」といった縦割りの指標は、部門内の最適化には機能しますが、商談の質が部門をまたいで劣化する現象には手が届かないからです。

商談の品質を横串で測るメトリクスを置きます。たとえば引き継ぎ精度、初回商談での課題ヒアリング深度、失注理由の分類と再発率は、複数部門で共同管理しやすい指標です。

このように、量を追うKPIと質を測るメトリクスを二層で持つのが、分業の副作用を抑える設計の基本形になります。量だけを追う組織は早晩セクショナリズムに陥ります。

商談レビューと勝ち筋を連動させる

改善ループを定着させるには、商談レビュー・架電品質チェック・勝ち筋の横展開を月次のサイクルで回します。そこから、商談件数だけでなく課題ヒアリングの深さをレビューする運用に変えました。

あるIT/SaaS企業では、件数至上主義のKPI設計がチームを弱くしていた事実が、月次レビューで浮き彫りになりました。架電品質の録音レビューや失注商談の再分析を続けると、勝ち筋の再現性が組織内に蓄積されます。

運用の入り口としては、まず失注理由の分類タグを5〜7種類に絞り、月次レビューで最も多いタグを1つだけ集中的に潰すのが取り組みやすい形です。分業組織の副作用を突破する条件は、営業の属人化を仕組みで解消するアプローチと同じ原理で、個人の経験を組織の資産へ変換する点にあります。

件数重視から商談品質重視へ切り替えた事例

あるIT/SaaS企業では、ヒアリングファーストの徹底により、商談件数よりも商談品質を優先する方針へ切り替えました。件数を追うよりも、顧客課題の深さをレビューする方が成果につながると分かりました。

この組織では、月次レビューで商談件数の減少に不安が出ました。ただ、成約につながる案件の質を見直したことで、KPIの議論は件数から成約の質へ移りました。

この逆転を再現するには、商談品質を組織的に測る改善ループが必要です。営業組織の支援では、属人的な勝ち筋をレビュー項目へ変える設計を重視しています。

関連論点まで合わせて整理すると、次の判断に移りやすくなります。 データドリブン 組織 作り方も参考になります。

営業AI・営業DX データドリブン組織の作り方|営業会議でKPIを行動につなげる運用ひな型

関連論点まで合わせて整理すると、次の判断に移りやすくなります。 業績 向上 仕組み 作り方も参考になります。

メトリクスマネジメント 営業の仕組みを作るには?完了条件・記録・週次レビューを運用ひな型にする手順

よくある質問

The Modelは中小企業でも機能しますか?

機能します。ただし専任4部門を最初から置くのではなく、兼務で役割と受け渡し条件を分けます。小さな範囲で検証し、詰まった工程から人員やツールを足すと無理なく進められます。

The Model型組織の導入期間は?

まず顧客タイプ、KPI、ハンドオフ条件を決め、限定チームでパイロットを回します。初期成果より、設計の穴を見つける期間として扱い、全社展開前に修正項目を固めます。

CROを置かないと運用できませんか?

必須ではありません。重要なのは、マーケ、IS、FS、CSの部分最適を横断して見られる責任者を置くことです。部門別KPIの衝突を調整できれば、既存の営業責任者でも運用できます。

まとめ|成功させる5つのポイント

The Model型営業組織の本質は、分業そのものではなく連携設計にあります。4部門の役割分担・BOFU逆算のKPI設計・5ステップの導入手順・3症状の回避策・改善ループの横串メトリクスという5点セットがそろって初めて、売上向上と属人化解消が同時に実現します。

失敗の多くは、分業の導入自体を目的化してしまう点にあります。自社がアカウント型かプロダクト型かを見極め、3ヶ月パイロットで運用の穴を発見し、PDCAで定着させる手順を踏むことが、回り道に見えて最短です。

そして、部門別KPIだけでは分業の副作用は解消しません。商談品質を横串で測るメトリクスを加えることで、件数至上主義の落とし穴を避け、勝ち筋を組織の資産へ変換できます。営業組織の支援では、このアプローチが業種をまたいで機能することを確認してきました。

自社のThe Model型組織設計に着手するにあたり、4部門の役割定義・KPIテンプレート・ハンドオフ条件の雛形を一枚図でまとめた資料を用意しています。


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※具体的な数値は導入企業の許可を得た範囲で一部加工しています

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この記事を書いた人
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谷本潤哉
元電通、2016年創業。株式会社FAZOM代表取締役。自らの組織崩壊を原点に、営業プロセスを数字で再現する独自メソッド「メトリクスマネジメント」を体系化。累計200社超の営業組織を支援し、売上向上・新人の早期戦力化など成果を創出。