成果主義の評価を育成中心に 〜営業の成功パターン構築 ― プロセス評価・1on1・営業の型化に取り組むWeb制作会社の事例
株式会社ステッチ様は、Web制作を軸に人材育成と内製化の支援を掲げる会社です。自社の営業と人材育成を強くするために、社内の評価を成果主義から育成中心へつくり直しました。プロセス評価と1on1を取り入れ、マネジメント研修と営業活動の支援を組み合わせて、人が育ち、営業の型を自社の力として内製化する取り組みを進めています。
会社概要
- 会社:株式会社ステッチ様
- 事業:Web制作を軸に、人材育成・内製化支援
- お話を伺った方:高瀬理恵さん(人事)
- 今回の取り組み:自社での利用(自社の営業・人材育成の強化が目的)
導入前の課題
きっかけは、評価制度の見直しでした。
今までは個人個人の、たとえば売上ですとか、成果に応じて評価するという考え方が中心でした。それも大事な点ではありますが、当社は人材育成を事業の柱の一つにしていますので、社内においても成果主義に偏るのではなく、人を育てていこうという考え方に変わっていきました。
高瀬さん
若手が育ちにくいことも気になっていました。
若手の成長がなかなか進まないという環境になってしまっていて。そこで、やはり育成が大事だよね、ということで、プロセス評価という考え方があることを知り、取り入れてみようかとなったのがきっかけです。
高瀬さん
あわせて、1on1も同時に取り入れたいと考えていました。
プラス、プロセスを見ていくためには、やっぱり1on1も必要だと考えました。取り組みの過程を確認できる環境づくりとして、あわせて実施したほうがいいと思ったんです。
高瀬さん
評価シートの中身にも課題がありました。
丁寧にコメントを入れるリーダーもいれば、総合評価のところにだけコメントを残して、各項目にはコメントがないリーダーもいたりして。
高瀬さん
プロセス評価とは
プロセス評価とは、売上や達成といった結果だけでなく、そこに至る行動や過程を評価するやり方です。結果が出るまでに時間のかかる若手の成長を、途中の行動で正しく見られるのが特長です。ステッチ様は、育成を軸にするために、この考え方を評価制度に取り入れました。
選んだ理由
研修会社やツール、自力での運用など、いくつかの選択肢を比べました。決め手になったのは、次の2つでした。
1つ目は、1on1の記録が続く形かどうかです。多くのツールは、話す内容やタスクを示してくれても、記録は自分で後から入力する形でした。それだと続かない、と考えていました。
1on1ツールは、基本的にみんなが目を通せそうだなと思った。これまで1on1自体をやったことがない従業員が多かったので。自分であとから入力しなきゃいけないとなると、多分みんな、あとでやろうと思って、そのままやらないだろうなと。入力しても忘れてしまったことは、簡単にしか書けなかったりするんじゃないかなと思ったので、一番合いそうだなって思ったのが始まりです。
高瀬さん
重視したのは、誰でも入力を続けられる手軽さでした。
2つ目は、研修が決まった内容ではなく、自社の課題に合わせて組み立てられる点です。
研修自体が、あらかじめ決められた内容だったり、動画コンテンツを視聴する形式だったりするものが多いんですけど、それよりも、課題に応じて研修内容を組み合わせてくれそうだなと思ったので。
高瀬さん
研修で起きた変化

手応えがあったのは、相手の個性を見て、質問の仕方を変える、というコミュニケーションの部分でした。
コミュニケーション研修に近い部分ですかね。人の個性を生かして質問する。自分の個性じゃなくて、相手の個性を見て、それに合わせて質問方法を変えるとか。あの辺に関しては、一部の従業員が仕事の中で直接取り入れてるなというのは見えていました。
高瀬さん
想定していなかった社員が、研修で学んだことを実務で活かしている場面もあったといいます。お客さんとの会話は直接は見えないぶん、周りからの評判で変化が見えたそうです。
仕事でお客さまと打ち合わせして会話しているところって、なかなか直接見られないですよね。なので、企画会議やプレゼンに参加したメンバーから、評判を聞いたりして、変化を感じていました。
高瀬さん
評価シートも、全員が一度埋めて戻す流れをつくったことで、書き方が変わってきました。
今期作り替えてから、一度すべて私のほうで回収するというプロセスを入れました。とにかく一度、全部埋めてみてって伝えたところ、みんなそれぞれ自分なりに考えて戻してくれて。以前に比べると、きちんと評価対象者のことを見ながら書いてもらえるようになってきました。
高瀬さん
営業の型をつくり、内製化する
Web制作を本業とするステッチ様にとって、自分たちの営業をどう強くするかは大きな課題でした。そこで、外部の営業支援を受けながら、メール配信のテンプレート、送り先のリスト、名簿の整理まで、営業の型を一つずつ組み立てました。特徴は、属人的なやり方に頼らず、誰でも回せる型として社内に残したことです。
最後、メール配信のテンプレートが必要だよねとか、リストを作るとか、そこまで構築できて。送るサービスごとにリストを変えたりしながら、今はそれを軸に、もう少しブラッシュアップしたほうがいいところや、足したほうがいいものを社内でも考えて進めています。
高瀬さん
いまはその型を担当の若手が引き継ぎ、サービスの案内を継続して送り出しています。動きは止まらず、打ち合わせも頻繁に生まれています。
こちらからサービスをご案内するメールは、コンスタントに送り続けています。
高瀬さん
今は、打ち合わせも結構頻繁に行っています。
高瀬さん
参考までに、これまでに送り出したサービス案内は累計145社、個社向けのレポートに対する返信は4件でした(2026年8月時点)。数字はまだこれからですが、送り先の選び方や件名・本文のつくり方を見直しながら、若手が回し続けられる状態になっています。
営業の取り組みは、自社サイトのAIO(生成AIの検索での引用対策)や、人材に関する定期発信にも広がっています。
今は、LLMOへの対応など、Web領域の施策にも取り組んでいます。それだけでなく、人材関連の情報も引き続き定期的に発信しています。もともとWeb領域は当社の本業でもあるので、改めてその部分にもしっかり力を入れています。
高瀬さん
アウトバウンドからの受注は、これから積み上げていく段階です。それでも、外から受けた営業の型を、若手が回し、発信まで自走できる状態にしたことが、ステッチ様が営業の内製化で得たものです。
これから
狙う企業の選び方や、その会社のSNSの運用状況を調べながら、自社に合う勝ちパターンをこれからつくっていく段階です。
ターゲット企業の選定や、SNSの運用状況などを分析したり、情報を集めているという状況です。
高瀬さん
評価を成果から育成へ変える取り組みは、制度をつくって終わりにすると続きません。ステッチ様は、研修で学んだことを現場で使い、営業の型を若手へ引き継ぎ、発信まで自走されています。外から受けた型を、自社の営業力として内製化し、回し続けていることが、いちばんの成果だと考えています。
まとめ
研修で人が少しずつ変わり、営業の型が現場に残り、社内で回り続けています。当社は、ツールを入れて終わりにせず、育成と営業の型が現場に根づき、自社の力として回る形をご一緒します。
よくある質問
プロセス評価は、どんな会社に向いていますか。
結果が出るまで時間のかかる若手の育成を重視する会社や、成果主義の評価を育成中心へ見直したい会社に向いています。
研修と営業支援は、別々に導入できますか。
できます。ステッチさんは、評価制度の見直しと1on1、マネジメント研修、営業支援を、課題に合わせて組み合わせています。
この記事について
- 取材先:株式会社ステッチ 高瀬理恵さん(人事)
- 取材:2026年8月/執筆・支援担当=谷本潤哉