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営業戦略・KPI設計

営業部門の立て直しガイド|崩れた組織を再生する初動と5ステップ

▼ この記事の内容

営業部門の立て直しは、診断→優先課題の絞り込み→役割とKPIの再設計→行動レビューの型化→定着の仕組み化の5ステップで進めます。SFAや研修の先行よりも、まず現状診断で崩れ方のパターンをつかんでから打ち手を選ぶのが、再生の近道になります。

国の統計によれば、日本で働く人のおよそ7割は中小企業に雇われており、なかでもサービス業や卸売・小売の比率が高いとされています。人手が足りないなか、数字が崩れはじめた営業部門の立て直しを託される管理職が増えました。

一方で、立て直しの手順を知っていても、崩れた状態での初動の選び方や、各ステップに必要な期間の目安まで踏み込んで整理できている営業組織は多くありません。結果として、SFAや研修を先に入れても数字が戻らず、離職だけが進んでしまいます。

本稿では、崩れ方を4つの象限で切り分けるフレームと、診断から定着までの5ステップ、30日・90日・180日のマイルストーンをひとつながりで示していきます。あわせて、立て直しが頓挫する5つの典型パターンも整理しました。

読み終えたころには、自分の部門で「最初の3日」に手を付けるべき診断と、「最初の3か月」で取り戻すべき指標が見えてくるはずです。経営層への説明と、現場との合意の取り方まで、進める材料がそろいます。


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営業部門の立て直しとは|崩れた組織を再生する全体像

営業部門の立て直しは、崩れた組織を再生するために、診断から定着までをつなげて設計し直す取り組みです。既存の強みを残しつつ、弱い部分だけを入れ替えていくのが特徴になります。

営業部門の立て直しの定義

営業部門の立て直しとは、崩れた組織を再生するために、診断から定着までをひとつながりに組み直す運用設計です。既存の強みは残しつつ、弱った部分だけを新しい仕組みで置き換えていく点が、改革や立ち上げと違うところになります。

立て直しという言葉は、単なる「数字の回復」ではありません。数字・行動・属人・意欲の4つの崩れを、同時に直す再設計として使います。

FAZOMの支援現場でも、立て直しがうまく進んだ組織は、診断から始めて、仕組みを少しずつ差し替えていくやり方をとっています。一気に大きく変えようとした現場ほど、途中で息切れしがちです。

兆候の見分け方は、単一の数字ではなく、数字・人・案件の3面で同時に見ていくのがコツになります。次の見出しでは、立て直しを判断するための3つの兆候を、具体的な観点でそろえていきましょう。

立て直しが必要になる3つの状態兆候

立て直しが要るかどうかは、達成率の低下だけでは決めきれません。判断の目安は、達成率の悪化・離職率の上昇・属人度の固定化の3つの兆候が、同時に出ているかどうかになります。

達成率だけが下がっているなら、短期的な市場変動や案件サイクルの問題で済む場合もあります。ただし、離職率の上昇や、主要案件の特定メンバーへの集中が並行して進んでいるなら、構造側の問題が根にあると見たほうが無難です。

3兆候のうち2つ以上が同時に出ている場合、SFA導入や研修だけでは解消しにくくなります。立て直しとして、診断から組み直す判断を早めにおくのが妥当です。

見分けがつきにくいときは、直近3か月の定例で出た話題が、個別の失注ばかりか、構造の話に広がっているかを振り返ると、判断が早まります。兆候が2つ出ている時点で、改革か再生かの選び分けが必要になってくる段階といえるでしょう。

立て直しと改革・再生・立ち上げの違い

立て直しは、既存組織を対象にした再設計であり、ゼロベースの立ち上げや全社横断の改革とは、目的と制約が違います。違いを踏まえずに進めると、打ち手の粒度がずれて空まわりしやすくなります。

立ち上げは、組織がまだ形をなす前の段階で、メンバーや役割の構成から組み立てる段階になります。改革のほうは、会社全体のビジネスモデルや評価制度まで踏み込む、大きな再設計といえるでしょう。

立て直しは、その中間に位置する粒度です。既存のメンバー・評価制度・商材を前提にしつつ、営業のプロセスと運用だけを入れ替えていくかたちがベースになります。

組織改革と合わせて進めたい場合の順序や方針は、営業組織を改革する進め方と5ステップに詳しくまとめています。立て直しと並走させるか、一段ずつ進めるかで、合意形成の組み立て方が変わってきます。

営業戦略・KPI設計 営業組織改革の進め方|診断先行の5ステップと失敗回避の順序

立て直しの初動|最初の3日〜1週間でやること

立て直しの初動では、最初の3日〜1週間で、数字・行動・属人・意欲の4つの診断を並行で回します。この順序を踏むと、崩れ方の全体像が1週間でほぼ見えてきます。

3日以内に着手する4つの診断作業

初動の3日以内に、数字・行動・属人・意欲の4つの診断を同時に走らせます。達成率の推移、商談数と活動量、主要案件の担当分布、1on1や定例での感触、という4つの角度から見ると、崩れ方の全体像がつかみやすくなります。

診断の順は、数字→行動→属人→意欲の順で積み上げるのが基本です。数字だけ見ると短期視点に寄りすぎ、意欲だけ見ると具体の打ち手に落ちていきません。

3日目あたりで、仮説をA4一枚に整理しておくと、経営や現場との対話で共通言語として使えます。1週間目には、仮説の精度を上げるために、主要メンバーへの短い個別ヒアリングも重ねましょう。

初動で詰め切れなかった論点は、後段の「優先課題の絞り込み」で必ず扱うので、この段階では網羅性を優先して構いません。抜けている観点があると気づいた時点で、仮説メモに色を変えて残しておくと、2週目以降の議論に引き継げます。

数字・行動・属人・意欲の4象限で切り分ける

崩れ方は単一の原因ではなく、数字・行動・属人・意欲の4象限に同時に現れる前提で切り分けます。本稿ではこの4軸を「崩れ方4象限マップ」と呼び、打ち手の優先順位を決める共通のモノサシとして使っていきましょう。単一原因と決めつけると、打ち手が1領域に偏ってしまい、効きが出にくくなります。

数字の象限では、達成率・商談化率・成約率のどこで落ちているかを分解しましょう。行動の象限では、活動量・案件レビューの粒度・週次運用のすすみ具合を確認します。

属人の象限は、主要案件の担当分布・ナレッジの言語化度・引き継ぎの可否を点検します。意欲の象限では、1on1の内容・離職傾向・評価と報酬の整合を見ていきましょう。

4象限のどれが一番崩れているかで、後段の5ステップの重み付けも変わります。戦略のずれや市場変動が主因のときだけは、この内部診断の前に、ターゲットの妥当性を先に確かめるのが安全です。

経営・現場・本人の3者合意を取り直す

合意の形成を省いたまま施策を走らせると、立て直しは現場の反発で止まります。経営・現場・本人の3者で、崩れ方の認識と優先順位を1枚にそろえ直しましょう。

経営との合意は、立て直しの期間と投資の枠を握り直すのが目的になります。現場との合意は、いまの運用を丸ごと否定しない姿勢を、対話で示すための場です。

本人との合意は、評価と役割の変更に対する納得を作る段階になります。この3者の合意が抜けたまま施策を積むと、KPIや役割の変更が押し付けに見えてしまいます。

3者合意の場は、長い会議にせず、1時間以内に収める設計が有効でしょう。論点を絞るほうが、後工程の実行速度も上がります。

営業部門を立て直す5つのステップ

立て直しは、一気の大改革で挽回するイメージで語られがちですが、実際には1〜2課題に絞ったほうが90日以内に数字の兆しが出る例が多いとされています。順序を守り、段階的に仕上げていくやり方のほうが、定着の確度を高めていきます。

営業部門の立て直しは、診断→絞り込み→役割とKPIの再設計→レビューの型化→定着、の5ステップで進みます。段階を飛ばさず、ひとつずつ仕上げながら進めていくのが、定着の近道になります。

ステップ1|現状診断と課題の可視化

ステップ1では、定量と定性の両面で現状を見える化します。達成率・活動量・離職率などの数字と、1on1の質・ナレッジ共有の度合いといった運用面を、同時に棚卸しするのが要点です。

定量だけを追うと、数字の山谷に振りまわされて打ち手がぶれます。定性だけだと雰囲気論に寄ってしまい、経営の合意が取りづらくなるでしょう。

この段階では、A3一枚かスプレッドシートに、数字と定性を並べて整理しておくと、優先順位の議論が早くなります。最初は粒度が粗くても、後段で精度を上げれば十分でしょう。

可視化が済んだら、次のステップで、扱う課題を1〜2つに絞り込んでいきます。現状のスプレッドシートを絞り込みの材料として残しておくと、後段のKPI再設計の根拠づくりでも使い回しがききます。

ステップ2|優先課題を1〜2つに絞り込む

ステップ2では、診断で浮かんだ課題を1〜2つに絞り込みます。すべてを直そうとすると、打ち手が分散してしまい、どれも中途半端になりがちです。

絞り込みの基準は、数字へのインパクト・現場の負担・定着までの期間、の3軸が目安になります。短期で効くものと、中期で効くものを1つずつ組めると、90日以内に成果の兆しが見えてきます。

たとえばBtoB専門商材のある支援先では、社長が抜本改革を先行させた時期に、チームの平均売上が倍近くまで伸びるのに、半年以上かかったとされています。

慎重派のマネージャーが最初の賛同者に変わるまで、現場の説得に時間がかかりました。課題を1〜2つに絞り込み、合意を積み上げる順序の重みが、支援現場で浮かび上がってきます。

3つ以上の課題を並行で走らせると、合意と運用変更が同時に動いて、現場が疲れてしまいます。1〜2つに絞り、定着を見届けてから次を開ける順序のほうが、うまく進みます。

ステップ3|役割とKPIを再設計する

ステップ3では、役割分担とKPI階層を同時にほどき直します。役割だけ先に変えてKPIが旧設計のままだと、動きが重なって現場が疲れがちです。

営業部門の役割は、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの4機能に分けるのが基本形になります。マーケが案件の入り口を作り、ISが初期商談、FSがクロージング、CSが継続と追加提案を担います。

4機能のつなぎ目では、どのKPIを持って次の工程へ引き渡すかを明らかにしておきましょう。KPIの粒度の置き方は、営業マネジメントを5ステップで進める方法にまとめています。

営業戦略・KPI設計 営業マネジメントの方法|4つの管理領域と実装5ステップ

役割とKPIが合意できたら、次のステップで、日次や週次のレビューの型に落としていきましょう。型を決めるときは、KPIの見方とコメントの粒度も同じ場でそろえておくと、運用開始後の手戻りが減ります。

ステップ4|行動の見える化とレビューの型を作る

ステップ4は、行動の見える化と、レビューの型を作る段階になります。SFAやダッシュボードを入れても、レビューの型が弱いままだと、数字の意味が現場に届きません。

週次の案件レビューでは、案件単体の状況と、パイプライン全体の健全性を、同じ時間で両方見ていきます。案件だけだと短期視点に、パイプラインだけだと具体性不足に振れがちです。

1on1は、評価やアドバイスの場ではなく、意思決定を一緒に整えるための場として使いましょう。本人が主語で語る時間を、半分以上確保するのが目安となります。

レビューの型がそろうと、ダッシュボードの指標を少しずつ増やしても、現場が混乱しにくくなります。型が固まる前に指標を増やすと、議論が拡散するので、型の定着を先にそろえる順序を守りましょう。

ステップ5|定着の仕組みと改善ループを回す

ステップ5は、立て直しを組織の習慣に落とし込んでいく段階です。90日で1サイクルとする改善ループを、2〜3回まわすと、手順が現場の動きとして残っていきます。

改善ループでは、前のサイクルの振り返りを、次のサイクルの目標とレビューに、必ず反映させましょう。やりっぱなしの反省会だと、同じ失敗が2周目、3周目でも繰り返されます。

定着の度合いは、マネージャーの介入がなくても運用が回るかどうかで測れます。毎週テコ入れしないと止まる状態は、まだ仕組みになっていません。

5ステップの全体が回りはじめたら、次の章で、崩れ方のパターン別に打ち手を見直していきましょう。KPI階層の組み立て方を自社の状況に当てはめて判断したい方は、以下から関連資料もご確認いただけます。


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崩れ方別の立て直しパターン

崩れ方は、離職・属人化型、プロセス崩壊型、モチベーション崩壊型、戦略ずれ型の4つに整理できます。どれが主因かで、5ステップの重み付けも変わってきます。

離職・属人化型|ナレッジ可視化と育成設計の先行

離職・属人化型は、主要メンバーの離職と、残ったメンバーへの負荷集中が、同時に起きている状態になります。打ち手は、ナレッジの見える化と、育成設計の先行が最優先です。

ナレッジの見える化は、提案書・議事録・勝ちパターンの3点セットを、まず3か月分だけ切り出すところから始められます。全部を一度にやると、記録が目的化して、現場が疲れがちでしょう。

育成の側は、独り立ちまでの期間を先に決めるのが出発点になります。FAZOMの支援現場でも、業界を問わず、独り立ちの期間を半分ほどに縮める設計が機能する例が積み上がってきました。

この型では、SFAの導入より先に、案件の勝ちパターンと育成ステップの言語化を終えておくと、運用の定着が早まります。たとえば中堅規模のBtoB SaaS企業では、先輩1人が新人4人を抱えている状態もあります。そこで先に育成マップを整えるだけで、離職前に引き継ぎが回り出した例もあるとされています。

プロセス崩壊型|営業プロセスの再定義が先

プロセス崩壊型は、営業の各段階の定義があいまいなまま、SFAだけが先に入っている状態で起きがちです。打ち手は、プロセスの再定義→運用→ツール、の順に整えていくのが効きます。

営業のプロセスは、リード獲得・初回商談・深掘り・提案・クロージング・継続の6段階が基本の分け方になります。各段階の定義と、次の段階へ渡すときの条件を、言葉で書ききるのが出発点です。

プロセスが言語化できてから、SFAの項目を設計し直しましょう。プロセスがあいまいなままSFA画面を直しても、現場の入力負荷だけが増えて、定着が進みません。

プロセスの再定義は、週次レビューの型と同じ言葉でそろえておくと、運用の摩擦が減ります。たとえば製造系商社で営業5人×案件30本ほどの規模なら、6段階の定義と引き渡し条件をA4一枚に落とし込む手がとれます。その整理だけで、SFAの入力負荷が半分近くまで下がった例もあるとされています。

モチベーション崩壊型|1on1と評価・報酬の整合

モチベーション崩壊型は、目標と評価・報酬のずれが放置されて、行動施策が走り切らない状態です。打ち手は、1on1の運用と評価・報酬の再設計を同時に動かすことになります。

1on1は、アドバイスの場ではなく、本人の意思決定を一緒に整えるための場として使いましょう。週30分の1on1を2〜3回続けると、マネージャーへの前向きさは上がりやすくなります。

評価・報酬の側では、新しいKPIに連動しているかを点検します。旧KPIに紐づいた報酬のままで新KPIを追加すると、現場は「何を追うか」が分からなくなります。

FAZOMの支援先では、管理職の前向き度合いが7割台から8割台へ上がる動きが観察されています。1on1と評価の再設計が同時に入ると、変化が安定して積み上がる傾向があるとされています。

戦略ずれ型|ターゲット戦略の引き直し

戦略ずれ型は、市場や顧客層と、営業のターゲット戦略がずれていて、内部施策だけでは数字が戻らない状態になります。打ち手は、施策より先にターゲットセグメントの妥当性を確かめることです。

確かめ方は、直近1年の受注データを、業種・規模・課題テーマの3軸で分解し直すところから始めましょう。勝ちやすい顧客像がどう変わったかを、数字で追い切るのが第一歩になります。

戦略のずれが確認できたら、営業リストと提案トークをそろえ直していきます。この工程を飛ばして内部施策だけを積むと、打ち手が空まわりしてしまいます。

逆に、3軸分解で勝ちパターンの顧客像が変わっていないなら、主因は内部側にあると判断して、離職・プロセス・モチベーションの3型に戻る流れです。

戦略ずれの修正は、現場だけでは決められません。経営層とのターゲット合意と、マーケティング側とのリスト整合を、同じ場でそろえていきましょう。

属人化が特に強いチームで、どのステップから手を付けるか迷うときは、以下のガイドもあわせてご確認いただけます。型化のロードマップと具体的な運用例を詳しく整理しています。


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立て直しの期間とマイルストーン

立て直しの期間は、30日で見える化、90日でレビューの型化、180日で改善ループの定着、という3段階で進むのが目安になります。期間ごとに指標を置くと、頓挫の兆候にも早く気づけるでしょう。

30日・90日・180日で見るべき指標

30日の節目は、数字・行動・属人・意欲の4領域を並べたダッシュボードが動くかで判断します。90日は、週次レビューで新しい型が回り、前月比で数字の傾きが変わってきたかが節目になるでしょう。

180日では、改善ループが2周目に入り、マネージャーの介入なしでも運用が回りはじめているかで見ます。ここまで進むと、次の崩れの兆候にも、早めに気づけるようになっていくはずです。

期間の設計では、途中のチェックポイントを細かく置きすぎないのがコツになります。30日・90日・180日の3点と、月次1on1くらいで十分に回っていきます。

立て直しが失敗する5つの典型パターン

立て直しの頓挫は「一気に大改革」「診断飛ばし」「合意なし」「定着無視」「数字だけ追う」の5つに集まります。どれも順序の問題であり、意気込みや工数の不足が原因ではありません。

「一気に大改革」は、課題の絞り込みを省いた結果、現場の疲弊で止まるパターンで、1〜2つに絞る原則を守れれば回避できます。「診断飛ばし」と「合意なし」は、外部コンサルが入った案件で起きやすい失敗でもあり、診断と3者合意の工程は、短くても必ず踏むのが予防策になるでしょう。

「定着無視」「数字だけ追う」は、90日で数字が戻りはじめた瞬間に起こりがちです。90日は途中経過であり、180日で改善ループが回るまでを1セットと捉えておきましょう。たとえば10名規模の営業部門で、90日時点の復調を「完了」と扱ってしまい、4か月目に再び達成率が落ちて、振り出しに戻ったケースも聞かれます。

SFA導入・営業代行との使い分け

SFAや営業代行は、立て直しの打ち手の一部になりうるものです。単体で立て直しを完結させる手段ではなく、5ステップのどの工程を補うかを先に決めてから採否を判断していきましょう。

SFAは、ステップ4の行動の見える化を支えるツールとして効きやすいでしょう。営業代行は、ステップ3の役割再設計で、外部に任せる工程を切り出したときに使う選択肢となります。

代行を使うときの注意点や、発注前の判断軸は、営業代行で失敗する原因と防ぐ判断軸にまとめているので、あわせてご確認ください。

営業戦略・KPI設計 営業代行で失敗する10原因と防ぐ判断軸|導入前に潰す発注側チェック

自部門の崩れ方と、30/90/180日の指標を当てはめて整理したい場合は、以下の診断チェックリストをご活用ください。現状把握と打ち手の優先順位を、短時間で書き出せる様式にしています。


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立て直しを成功させる3つの条件

立て直しが成功する組織には、トップの関与・定量データの活用・改善ループの定着、という3つの条件がそろっています。いずれかが欠けると、途中で打ち手が空まわりしがちです。

トップの関与とスポンサーシップ

立て直しは、管理職任せで進めるのは難しく、トップの関与とスポンサーシップが初期の加速を決めます。経営を巻き込めていないと、社内の反発が起きた瞬間に、施策が止まりがちになるでしょう。

BtoB専門商材の支援先では、導入の当初は社長のほかに賛同者が少なく、現場の説得に時間がかかったとされています。成果が出はじめると慎重派のマネージャーが最初の味方に変わり、そこから先は運用負荷の議論が自然と消えていきました。トップの関与がある状態で、現場の一人目の賛同者を得られるかが、初期の加速を決めていくといえます。

トップの関与は、月次レビュー会への出席と、投資枠の明示という2点で十分に効きます。細かな施策の承認に、いちいち立ち会う必要はありません。

定量データに基づく意思決定

立て直しの判断は、感覚の報告ではなく、定量データの差分をもとに進めていきましょう。共通言語としての数字があると、経営・現場・本人の3者合意も崩れにくくなります。

指標は、達成率・活動量・案件の健全性・離職傾向の4点で十分です。あれもこれもと増やしすぎると、議論が散らばって、打ち手が鈍っていきます。

指標の運用に慣れてきたら、日次の粒度まで指標を落とし込みましょう。営業マネジメントの日次運用に指標をつなぐ方法が、次の一歩の参考になります。

営業戦略・KPI設計 営業マネジメントの方法|4つの管理領域と実装5ステップ

改善ループの定着と組織学習

立て直しの最終地点は、改善ループが組織の習慣として根づいた状態になります。ここまでくれば、次の市場変化にも、短い期間で対応できるようになるでしょう。

改善ループは、月次レビュー・週次レビュー・1on1の3層で回していきます。3層が同じ言葉で連動していると、現場の学びが翌週の行動に反映されやすくなります。

改善ループが定着した組織では、マネージャー自身が次の立て直し役に育つケースも出てきます。次世代の育成まで視野に入れると、立て直しは一度きりの取り組みではなく、組織の継続的な運用力として残っていきます。

立て直しを、BtoB売上の底上げ施策として全社へ広げる場合は、BtoB売上向上の施策と進め方に、順序と全体像をまとめています。

営業戦略・KPI設計 BtoB売上向上の施策と順序|200社超の逆転事例から学ぶ進め方

よくある質問(FAQ)

営業部門の立て直しと組織改革は何が違うのか?

立て直しは、既存組織の強みを残したまま、営業のプロセスと運用だけを入れ替える粒度の再設計です。組織改革は、評価制度や事業モデルまで踏み込む大きな再設計になり、対象範囲と所要期間が大きく違います。

立て直しに必要な期間の目安は?

期間の目安は、30日で見える化、90日でレビューの型化、180日で改善ループの定着、の3段階となります。定着までの180日を1セットとして計画し、月次・週次・1on1の3層で運用を回すと、期間の管理が崩れにくくなります。

SFAが定着していない状態でも立て直しは進められるか?

SFAが未定着でも、立て直しは進められます。プロセスの再定義と週次レビューの型づくりを先に整えると、あとからSFAの項目設計を合わせやすくなり、ツール定着も早まります。順序を逆にすると、入力負荷だけが増えていきがちです。

まとめ

営業部門の立て直しは、崩れ方を4象限で切り分け、5ステップで進め、30日・90日・180日で節目を測る運用として設計できます。SFAや研修を先に入れるよりも、診断と合意を先に整えるほうが、再生の定着は早くなるでしょう。

トップの関与、定量データの活用、改善ループの定着という3条件がそろえば、立て直しは次の市場変化にも対応できる組織学習の仕組みへと変わっていきます。

中小企業庁の統計では、中小企業で働く人はおよそ70%近くを占めており、立て直しの需要は業種を問わず広がっています。最初の3日で着手できる診断から自部門の進め方をまとめる際は、以下のチェックリストとガイドをご活用ください。


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参考:2024年版 小規模企業白書 第2部 第2章 第1節|中小企業庁

※具体的な数値は導入企業の許可を得た範囲で一部加工しています

この記事を書いた人
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谷本潤哉
元電通、2016年創業。株式会社FAZOM代表取締役。自らの組織崩壊を原点に、営業プロセスを数字で再現する独自メソッド「メトリクスマネジメント」を体系化。累計200社超の営業組織を支援し、売上向上・新人の早期戦力化など成果を創出。