機能一覧 メトリクスマネジメントプログラム 利用シーン 導入事例 セミナー FAZOM営業ラボ お問い合わせ
資料ダウンロード
サービス概要資料をダウンロード
FAZOM営業ラボ > 営業戦略・KPI設計
営業戦略・KPI設計

営業の採用が難しいなら育成で勝つ|採れない時代の人材戦略5ステップ

▼ この記事の内容

営業職の有効求人倍率は2倍を超え、即戦力の中途採用だけで組織を維持するのは構造的に困難になっています。採用コストを投じても定着しない現状に対し、既存人材の育成設計を見直すことで独り立ち期間を半分に短縮し、採用難を乗り越える方法があります。

dodaの転職求人倍率レポートによると、2025年1月時点で営業職の求人倍率は3.14倍に達しています。就職白書2020の調査では中途採用1人あたりの平均コストは103.3万円であり、それでも入社後に早期離職するケースは後を絶ちません。

「即戦力が採れない」と嘆く営業マネージャーは少なくないはずです。しかし、200社超の営業組織を支援してきた経験から言えることがあります。採用できないのは一時的な市場環境の問題ではなく、営業人材が構造的に不足する時代に入ったということです。

この構造を前提にすると、打ち手は「もっと採用にお金をかける」ではなく「今いる人材を短期間で戦力にする仕組みを持つ」方向に変わります。実際に、育成設計を見直した企業では新人の独り立ち期間が6ヶ月から3ヶ月に短縮された実績もあります。

営業の採用が難しい構造的な理由を整理したうえで、育成に軸足を移して成果を出すための5ステップと、陥りやすい落とし穴の回避策を具体的にまとめています。読み終えたあとには、自社の営業組織で何から手をつけるべきかが明確になっているはずです。


営業組織の仕組み化レベルを10の質問で可視化。レベル別の「明日からの1手」まで分かる診断ツールを公開中!
>>無料で『営業組織の現在地がわかる組織診断チェックリスト』をダウンロードする

営業の採用が難しい構造的な3つの理由

営業の採用が難しい原因は、求人を出しても人が来ないという表面的な問題ではありません。有効求人倍率・採用コスト・離職率という3つの構造が重なり、従来型の「採って補う」モデルが機能しなくなっています。

有効求人倍率2倍超が示す「取り合い」の実態

dodaの2025年1月データでは、営業職の転職求人倍率は3.14倍に達しています。転職市場全体の2.74倍を上回る水準であり、営業経験者の獲得競争は激しさを増しています。

この数字の背景には少子高齢化による労働人口減少だけでなく、営業職に対するネガティブなイメージの定着があります。「ノルマがきつい」「長時間労働」といった印象が求職者の間に根強く残っており、応募母集団そのものが縮小しています。

ある人材派遣会社の営業部長は「年間20人を採用しても15人が辞めてしまいます。もう採用だけで組織を維持するのは限界です」と語っていました。これは極端な例ではなく、離職を採用で補い続ける企業に共通する構造的な行き詰まりです。

求人倍率が高いということは、同時に自社から他社へ流出するリスクも高いことを意味します。採用と離職が相殺され、組織の実力が積み上がらない状態が続くのがこの構造の本質です。

参考:転職求人倍率レポート(データ)|doda

即戦力信仰がもたらす採用コストの膨張

就職白書2020によると、2019年度の中途採用1人あたりの平均採用コストは103.3万円です。求人媒体費・紹介手数料・選考工数が重なるほど採用単価は上がり、採用活動が長引くほど上昇します。

多くの企業が「即戦力がほしい」と考えますが、この条件を満たす候補者は市場全体でごく一部しかいません。結果として年収条件の引き上げ競争に巻き込まれ、採用単価はさらに膨らみます。

一方で、入社後に「期待どおりの即戦力ではなかった」と判明するケースは珍しくありません。前職での成功体験が自社の商材や顧客層に転用できず、再び採用活動をやり直す企業もあります。

即戦力を外から調達するモデルは、うまくいったときのリターンは大きいものの、外れたときの損失も大きい「ハイリスク型の人材戦略」と言えます。この構造に気づいた企業から、育成型の人材戦略に切り替え始めています。

参考:採用コストの平均とは?新卒・中途の一人当たりの金額と削減方法を紹介|リクルートエージェント

採用しても辞める構造が変わらない限り問題は続く

営業職の離職が続く組織では、評価基準の不透明さや成長実感の不足が、退職検討の一因になっている場合があります。成果が数字だけで測られ、プロセスや成長が評価されない環境では、転職を検討する動きが出やすくなります。

営業担当者が成長実感を得にくい環境では、離職リスクが高まりやすくなります。個人のモチベーションの問題ではなく、育成の仕組みが不足していることが根本的な原因です。

人材紹介業界のトップ営業の中には、「採用ニーズではなく離職の痛みから会話を始める」人がいます。「最近、御社から退職された方がうちに登録されました」と切り出すのです。それだけ離職は日常的に起きており、企業側の痛みも深いということです。

採用と離職が同時に発生するサイクルを断ち切らない限り、いくら採用予算を積んでも組織力は横ばいのままです。この構造課題への回答が「育成」にあたります。

「採れない」から「育てる」へ転換する判断軸

「どうすれば採れるか」から「どうすれば育つか」へ、前提となる問い自体を切り替えることが出発点です。育成シフトの意思決定にはコスト比較の裏付けが欠かせません。

採用コスト vs 育成コストの損益分岐を見極める

社内育成は外部採用費を抑えられる可能性がありますが、マネージャー工数と戦力化までの期間を含めて比較する必要があります。中途採用1人あたりの平均コストが103万円である一方、育成投資の回収速度は設計次第で大きく変わります。

育成にはマネージャーの時間コストが上乗せされます。OJTを担当する先輩社員の商談時間が減り、短期的にはチーム全体の売上が下がるリスクも考慮すべきです。

弊社が支援した企業では、新人の独り立ち期間が6ヶ月から3ヶ月に短縮された事例があります。短縮の背景には、先輩が技術指導を抱え続ける体制から、成長目標の設計と進捗確認を定期的に行う体制へ切り替えたことがあります。

損益分岐の判断軸は「育成に何ヶ月かかるか」に集約されます。育成期間を短縮する仕組みがあるかどうかが、採用と育成のどちらに投資すべきかを分けるポイントです。

「FAZOM式営業育成設計」で普通の人材を短期間で戦力化する

即戦力の中途採用に頼らず、未経験者やポテンシャル人材を短期間で戦力化する方法は存在します。その起点になるのは「何を教えるか」ではなく「何を観察し、何を見せるか」への設計転換です。

200社超の支援実績から、育成が速い企業ほど「観察すべき指標」を絞っていることがわかっています。この知見を体系化し、行動の型化・ゴール数値化・週次進捗確認を一体運用する設計を「FAZOM式営業育成設計」と呼びます。

FAZOM式営業育成設計では「教える量を減らし、見る指標を絞る」ことで独り立ちを加速させます。精密部品メーカーでは、この設計に切り替えた結果、新人の独り立ちが8ヶ月から4ヶ月に短縮されました。

ハイパフォーマーの行動を型化し、新人の進捗を数値で可視化する仕組みに変えることで、マネージャーは「教える」から「データで確認する」に移行できます。属人的なOJTと違い、誰の下に配属されても同じスピードで戦力化できるのが仕組み化の強みです。

「普通の人材」を戦力にするとは、特別な才能に依存しないということです。再現可能な育成の仕組みがあれば、採用の条件を「即戦力」から「ポテンシャル人材」に広げても組織として成果を出せます。

育成で採用難を乗り越える5ステップ

採用から育成に軸足を移すと決めても、やみくもに研修を増やしても成果は出ません。成果を出している企業に共通する進め方を5つのステップに分解して示します。

ステップ1 ハイパフォーマーの行動を分解し型化する

最初にやるべきは、自社のトップ営業が「なぜ売れているか」を言語化することです。本人に聞いても「なんとなく」としか答えないケースが多いため、商談データや行動記録から共通点を抽出します。

抽出した行動パターンを「型」としてドキュメント化し、新人が真似できるレベルまで具体化します。ここで「気合い」や「センス」に依存する要素を排除することが欠かせません。

型化の精度が高いほど、配属先のマネージャーが誰であっても育成のばらつきが小さくなります。最初から完璧な型を目指す必要はなく、まず上位3名の共通行動を抽出するところから始めるのが現実的です。

ハイパフォーマーの成果行動を型化する具体的な手順は、この最初のステップの設計で参考になります。

営業戦略・KPI設計 ハイパフォーマー再現方法|成果行動を型化する6手順

ステップ2 育成ゴールを数値で定義する

「一人前になったら」は育成ゴールとして機能しません。独り立ちの定義を、商談数・成約率・顧客対応品質など3〜5項目の数値で明確にします。

数値化の意義は、育成の進捗をマネージャーと本人の両方が客観的に把握できることにあります。「まだ足りない」「もう大丈夫」の判断が感覚ではなくデータに基づくようになります。

ゴールの基準値は、前述のハイパフォーマー分析から導きます。トップ営業の数値の70〜80%を到達目標に設定すると、現実的でありながら成果の再現性が担保されます。

育成ゴール見る数値未達時の確認ポイント
商談量週次商談数行動量が足りないのか案件化率が低いのかを分ける
商談品質次回化率ヒアリング項目が抜けていないかを見る
受注再現性成約率ハイパフォーマーの型との差分を見る
定着行動週次振り返り実施率1on1で数値を確認できているかを見る

ステップ3 OJTと仕組みを併走させて運用する

OJTだけに頼ると育成速度が教える側の力量に依存します。型化した行動パターンを軸に、OJTで「実践する場」と、仕組みで「振り返る場」を分けて設計します。

具体的には、商談前後と週次1on1の3つのタイミングで行動を確認するサイクルを回します。チェック項目を最小限に絞ることで、マネージャーの負荷を抑えながら育成の精度を保てます。

  1. 商談前に使う型を1つ決める
  2. 商談後に実行できた行動を記録する
  3. 週次1on1で未達項目だけを確認する

OJTの目的を助言ではなく行動確認に絞ると、教え方がマネージャーごとにばらつく問題も解消しやすくなります。「今日の商談で型のどこを使えたか」を確認する習慣が定着すれば、育成の精度は教える側の力量に依存しなくなります。

ステップ4 1on1で進捗を可視化し軌道修正する

育成の途中経過を確認する場として、週1回の1on1は有効な手段です。ただし「困っていることはある?」のような漠然とした問いかけでは、課題の特定にたどり着けません。

育成ゴールに定めた数値を1on1のアジェンダにするのが効果的です。「先週の商談数は目標に対して何%か」「成約率が伸びないのはどの段階で止まっているか」と具体的に掘り下げます。

1on1の頻度を上げても、1回あたりの時間が15〜20分に収まるのであれば、マネージャーの負荷は許容範囲です。データに基づく会話は、感覚に基づく会話よりも短時間で終わる傾向があります。

ステップ5 成果データで育成プログラムを改善し続ける

育成プログラムは一度作って終わりではありません。新人の戦力化データを蓄積し、「どのステップで停滞する人が多いか」を分析して改善を続けます。

弊社が支援したアパレル企業では、1商談あたりの時間が30分から50分に延びる代償がありました。それでも月の商談数は13件から28件に増え、6ヶ月でチーム全体の売上は130%に向上しています。導入当初は全員が抵抗していましたが、数字の改善が現場の姿勢を変えました。

育成プログラムの改善サイクルが回り始めると、新人だけでなく既存メンバーのスキルも底上げされます。結果として、採用しなくても組織の戦力が増える仕組みが完成します。

育成シフトで陥りやすい3つの落とし穴

育成に軸足を移すことは正しい方向ですが、設計を誤ると別の問題が生まれます。よく見かける3つの落とし穴と、それぞれの回避策を示します。

マネージャーの育成負荷が増えて本業が止まる

育成を「マネージャーが教える」と定義すると、育てる人数が増えるたびにマネージャーの商談時間が削られます。育成に時間を取られた結果、チーム全体の売上が下がる本末転倒が起きます。

回避策は、マネージャーの役割を「教える人」から「データを見る人」に転換することです。弊社が支援した企業のエリアマネージャーは、以前は同行しないと部下の商談品質を把握できませんでしたが、AIによる商談分析を導入した結果、ダッシュボードで成長状況を確認する運用に変わっています。

育成の仕組みが整えば、マネージャーの負荷は「教える時間」ではなく「確認する時間」に変わります。確認だけで済む状態をつくることが、育成と本業を両立させる条件です。

「教える」と「育つ」を混同して属人OJTに戻る

研修や勉強会を増やしても、現場での行動が変わらなければ育成にはなりません。「教えたから育つはず」という思い込みは、属人的なOJTに逆戻りする原因の一つです。

育成の本質は「教えること」ではなく「行動が変わること」にあります。行動変容を数値で追跡し、変わらない部分に対して介入する設計が欠かせません。

「研修をやったのに成果が出ない」と感じる場合、教えた内容が現場行動に転写されているかを確認する仕組みが抜けている可能性があります。育成のゴールは「知識を持つこと」ではなく「行動が変わること」に設定するのが基本です。

営業組織の人材不足を構造的に解消するための考え方は、育成設計の前提として押さえておくと手戻りが減ります。

営業戦略・KPI設計 営業の人材不足対策|採れない・辞める・育たないの原因別に解く

短期離職が続き育成投資が回収できない

育成に投資しても、育てた人材が半年で辞めてしまえば投資は回収できません。育成と定着は切り離せない関係にあり、育成設計と同時に離職防止の施策を組み込む必要があります。

離職の原因で見落とされやすいのが「成長実感の欠如」です。評価が売上の数字だけに集中すると、まだ売上に貢献できない若手は「自分はこの組織で成長できているのか」がわからなくなります。

育成ゴールの数値を本人にも開示し、「先月より商談の進め方がこう変わった」とプロセスの成長を可視化することが、定着率を上げる具体的な対策になります。数字で「伸びている実感」を持てる仕組みがあると、若手が成長を確認しやすくなり、定着支援の打ち手として機能します。

採用難の組織が育成で成果を出した事例

採用が困難な状況で育成に切り替えた企業は、実際に成果を出しています。独り立ち期間を半分に短縮した製造業の事例と、育成設計の精度を高めるための組織診断の考え方が、その具体的な裏付けになります。

製造業が独り立ち期間を半分に短縮した事例

ある精密部品メーカーでは、新人営業の独り立ちまでに8ヶ月かかっていました。ベテランの暗黙知に頼るOJTが中心で、教える側の負荷も非常に大きい状態でした。

育成設計を見直し、ベテランの行動データを分析して型化したうえで、目標のモニタリングとスキルトレーニングの進捗確認を定期的に実施する体制に移行しました。先輩やメンターの役割がメンタルケアに絞られ、技術指導の属人化が解消されたのです。

結果として、新人の独り立ち期間は8ヶ月から4ヶ月に短縮されました。採用が難しい製造業において、育成の仕組みが人材確保の代替手段として機能した事例です。

育成設計の精度を高めるための組織診断

育成の仕組みを導入するとき、最初に把握すべきは「自社の育成のどこにボトルネックがあるか」です。型化の手前で止まっているのか、型はあるが定着しないのか、そもそも育成ゴールが設定されていないのかで打ち手は異なります。

ボトルネックの所在によって、取るべきアクションはまったく変わります。育成の仕組みがない段階で研修を増やしても効果は薄く、逆に型はあるのに使われていない場合は運用設計の見直しが先です。

営業組織全体の課題を構造的に整理するために、営業マネジメントの4つの管理領域と実装手順も合わせて確認すると、育成だけでなく組織運営全体の見直しにつながります。

営業戦略・KPI設計 営業マネジメントの方法|4つの管理領域と実装5ステップ

自社の営業組織の現状を把握し、育成設計の優先順位を明確にするところから始めるのが、採用難を乗り越える最初の一歩です。診断の結果から「型化が先か、運用定着が先か」を判断し、限られたリソースを正しい順番で投下することが成果につながります。

よくある質問

営業の採用と育成はどちらを優先すべきですか

どちらか一方ではなく、採用基準を「即戦力」から「ポテンシャル人材」に広げたうえで、入社後の育成設計を整備するのが現実的です。育成の仕組みが先にあるほうが、組織全体の戦力化は早まります。

未経験者を営業として育成するのは現実的ですか

ハイパフォーマーの行動を型化し、育成ゴールを数値で定義した企業では、未経験者でも3〜4ヶ月で独り立ちしているケースがあります。「経験者でないと売れない」という前提は、育成の仕組みがない組織に限った話です。

育成にかかる期間の目安はどのくらいですか

属人的なOJT中心の組織では6〜8ヶ月が一般的ですが、育成設計を見直した企業では3〜4ヶ月に短縮されています。期間そのものより「何を基準に独り立ちと判定するか」を先に定義することが成果につながります。

まとめ

営業の採用が難しい状況は一時的な市場変動ではなく、構造的な変化です。有効求人倍率2倍超、中途採用コスト100万円超、離職率の高さという3つの構造が重なり、「採って補う」モデルだけでは組織を維持できなくなっています。この前提に立つと、打ち手は採用の強化ではなく、育成設計の見直しに移ります。

ハイパフォーマーの行動を型化し、育成ゴールを数値で定義し、OJTと仕組みを併走させて運用します。この5ステップを回せば、「普通の人材」を3〜4ヶ月で戦力にすることは十分に可能です。自社の育成のボトルネックがどこにあるかを把握し、採用難を構造的に乗り越える第一歩を決めることが次のアクションになります。

育成設計の出発点として、自社の営業KPIがどの階層で止まっているかを整理するガイドを用意しています。育成ゴールの数値定義にそのまま活用できます。


商談数を13件→28件に変えた、売上目標を因数分解し「見るべき数字」を特定する手順を穴埋め式ワークシートで解説!
>>無料で『売上を最短で動かすための営業KPI設計ガイド』をダウンロードする

※具体的な数値は導入企業の許可を得た範囲で一部加工しています

この記事を書いた人
アバター画像
谷本潤哉
元電通、2016年創業。株式会社FAZOM代表取締役。自らの組織崩壊を原点に、営業プロセスを数字で再現する独自メソッド「メトリクスマネジメント」を体系化。累計200社超の営業組織を支援し、売上向上・新人の早期戦力化など成果を創出。