▼ この記事の内容
物流営業を強くするには、値決めから抜け出す新しいチャネル、御用聞きから提案型への切り替え、引き合い・提案・受注をつなぐ3層のKPI、この3つを同時に回します。打ち手をバラバラに並べず、現状を見える化→型化→改善ループの順に組み合わせると再現しやすくなります。
2024年4月に時間外労働の上限ルール(ドライバー年960時間)が施行されてから、運賃をめぐる交渉の数は増え続けています。既存の荷主との条件直しだけでは売上を守り切れず、物流会社は値段以外のどこで選ばれるかを問われているのが実情です。
上位の荷主3社で全体の売上の半分を占める会社は珍しくなく、1社が抜けただけで経営がふらつくもろさを抱えがちです。御用聞きの配車調整に時間をとられていると、新規の開拓も提案型への切り替えも後ろに回ります。
ここからは、物流営業を強くするための「打ち手の選び方」ではなく「打ち手を回す順番」を整理していきます。5つの具体策と、KPIの作り方、よくあるつまずき、3ヶ月の進め方を1枚の設計図として示します。
読み終えたときには、自社の物流営業で何をやめて何から始めるかがはっきりし、3ヶ月で動かすリストが手元に残るはずです。
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物流営業が強くしにくい3つの理由
物流営業がなかなか伸びないのは、値段をめぐる競争と特定荷主への依存、御用聞きに偏った文化、2024年以降の業界の変化、という3つの構造が重なるためです。打ち手を選ぶ前に、どの制約をはずせば売上が動くかを先に見ていきます。
物流営業とはどんな仕事か
物流営業は、荷主に対してはこびやしまい、流通加工などのサービスを提案し、契約の中身を合意していく仕事です。ほかのBtoB営業と違うのは、売るものに形がなく、日々の配車や倉庫での動きそのものが提案の価値になる点にあります。
そのため、主な仕事は新しい荷主との契約獲得だけではありません。既存の荷主との条件の見直し、値上げの話し合い、コンペで出す条件の設計までが一続きの業務になっています。
この特性があるため、営業と現場調整の境目があいまいになりがちです。3PLで50名以下の規模では営業専任を置けず、配車の担当が営業もかねる会社も多く、専任の営業リソースを置きづらいのが実情でしょう。
他業界のBtoB営業とは、提案が配車や倉庫の計画と直接つながっているところが大きく違います。まずはこの特性を前提にしたうえで、強くしにくい理由を1つずつ見ていきます。
値段をめぐる競争と特定荷主依存のわるい循環
物流営業を強くしにくい1つめの理由は、値段の競争と特定荷主への依存がたがいを強め合っている点にあります。主要な荷主の条件直しに時間をとられるほど、新しい荷主を開く余力が減り、値下げでしか勝てない営業が固定化していくのです。
中小や中堅の物流会社では、売上の上位3社で全体の5割以上を占めるところが珍しくありません。1社がぬけたり便を減らしたりするだけで売上が大きく揺れるため、現場はまず既存の荷主を守るほうに動かざるを得なくなります。
結果として、新しい提案に回せる営業時間は限られ、勝ちパターンを積み上げる経験もたまりにくい状態がつづきます。値段以外の提案力が育つ前に、次の値引き交渉がやってくるのです。
この悪循環を1人の努力で抜けるのは難しく、組織として順番に解いていく必要があります。以降の2つの要因もあわせて押さえておくと、打ち手の優先順位が見えてきます。
御用聞き営業と受け身型の文化が残る背景
もう1つの理由は、現場調整の延長として営業が置かれてきた歴史にあります。配車や荷さばきの相談に応じる姿勢が評価される組織では、荷主からの依頼に答える御用聞き型が自然と強くなっていくのです。
御用聞き型そのものが悪いわけではありません。日々の信頼はこの姿勢から生まれ、値段の交渉でも優先的に声がかかる土台になります。一方で、相手の依頼がないと動かない仕組みなので、新規の開拓や提案型への切り替えは遅れがちになります。
「提案したいのに話すネタがない」という声のうらには、この受け身の行動習慣があるのが一般的です。中堅運送会社では既存荷主の定期訪問が月20件超を占めるケースも多く見られます。ネタ不足ではなく、荷主の経営の論点にまで踏み込む動きが組織にまだないだけ、ということが多いのです。
御用聞きを全部やめる必要はなく、提案型の動きを別の層として足していく発想が現実的です。あとの打ち手では、この足し方を順番に示していきます。
2024年問題以降の運賃転嫁と人手不足
2024年4月に時間外労働の上限ルール(ドライバー年960時間)が適用されてからは、稼働制約と運賃の転嫁交渉が営業の日常に入ってきました。国土交通省も、標準的な運賃の公表や多重下請けの是正を政策のテーマにしています。
こうした環境では、既存の条件のまま荷主を守る営業より、稼働の制約を前提に料金の中身を組み直せる営業のほうが成果を出しやすい状況です。制約が共通の言葉になったことで、値段以外の論点を荷主と共有するチャンスは広がりました。
一方で、現場ではドライバーや倉庫作業者の人手不足がつづき、既存案件の品質をたもつのにリソースをとられがちです。物流分野の有効求人倍率は2倍前後の水準がつづいており、営業の打ち手に余力を生むには、仕組み化していくしかありません。
つまり、2024年以降の物流営業は、値段の交渉ではなく、働き方と料金の再設計を一体で語れる組織が強くなる流れにあります。弊社が支援した医療機器メーカーでは、面談の中身を可視化し、商品説明を経営課題の対話に変えた結果、育成期間が6ヶ月から2ヶ月に縮まりました。
物流営業でも同じ構造があてはまります。対話の深さが、条件設計の自由度を広げてくれるのです。
参考:トラック運送業における標準的な運賃について|国土交通省
物流営業を強くする5つの具体策
物流営業の強化には、同時に組むと効きやすい5つの打ち手があります。提案型への切り替え、新規開拓のチャネル設計、インバウンドの土台、営業の型化、ヒアリングの深掘り、この5つです。1つに絞らず、組み合わせで使うのがコツといえるでしょう。
提案型営業への切り替えで荷主の課題に踏み込む
最初の打ち手は、御用聞きから提案型への切り替えになります。荷主の物流の担当だけでなく、経営やざいこ、生産の論点まで踏まえたうえで提案を組み立てると、値引き以外の軸で勝負できるようになっていくでしょう。
物流業界の営業が一般のBtoB営業と違うのは、提案が日々の配車計画と直に結びついているところでしょう。荷主の生産ピークや在庫の回転条件まで深掘りすると、配車の設計や倉庫のレイアウト、流通加工まで提案の余地が広がっていきます。
提案型への切り替えは、個人の気合ではなく設計で進めるのがコツです。荷主のどの役職と何を話すかの設計、ヒアリング項目の標準化、提案テンプレの準備、この3点をそろえると、個人の成功体験が組織の行動に置き換わっていきます。
切り替えの実感がつかめるのは、早くても2〜3ヶ月ほどです。ここで力むと御用聞きの動きが消えてしまうため、既存の信頼関係を崩さない範囲で徐々に提案型の動きを足していく進め方が無難でしょう。
新規荷主開拓のチャネル設計
2つめの打ち手は、新規開拓のチャネル設計です。物流会社の新規開拓は1つのチャネルに寄りがちで、飛び込みや紹介頼みで空振りが続く組織も少なくありません。4つのチャネルを判断軸と合わせて組み合わせます。
| チャネル | 向く荷主 | 営業人員の目安 | 立ち上がり期間 |
|---|---|---|---|
| アウトバウンド(訪問・電話) | 中堅〜大手の既知ターゲット | 専任2名以上 | 3〜6ヶ月 |
| インバウンド(HP・記事) | 自走検討の中小〜中堅 | マーケ兼任1名可 | 6〜12ヶ月 |
| 紹介・パートナー | 既存荷主に近い業種 | 営業責任者が兼任 | 2〜4ヶ月 |
| 展示会・オウンド発信 | 指名の認知を狙う層 | 広報兼任 | 6〜18ヶ月 |
どれか1つに寄せるのではなく、荷主の規模と営業人員の数から最適な組み合わせを選んでいきます。営業人員が3名以下の組織では、紹介とインバウンドの土台づくりを先に進め、アウトバウンドは対象をしぼって後から足すのが堅い順番です。
インバウンドとアウトバウンドの二者択一で悩む必要はありません。荷主の検討段階によって効くチャネルが違うので、段階ごとに組み合わせるのが現実的な回答でしょう。
チャネルごとに、KPIを分けて追うと運用が軽くなります。どのチャネルがどのくらいの商談を作っているかが見えると、投資の配分も議論しやすくなっていくはずです。
インバウンド営業の土台づくり
3つめは、インバウンド営業の土台づくりです。物流業界の荷主も、検討の初期にはWebでまず情報を集めます。自社のHPとオウンドメディアが検討材料として使える水準にあるかが、成約率の前提を決めていくのです。
整える順番は4段階です。HP(サービス紹介と実績)、オウンドメディア(業種別の課題の解き方)、ホワイトペーパー(比較資料・チェックリスト)、MA(リードの育成)の順に進めます。いきなりMAを入れず、情報の受け皿から固めるのが安全でしょう。
コンテンツは、配車の効率化、倉庫の運用、共同配送、再配達の削減など、荷主の経営の論点に寄せたテーマで作ります。自社の機能を並べるパンフレット型のHPでは、検討材料として弱いままで止まってしまうのです。
記事は月に2〜4本のペースで1年ほど続けると、流入が積み上がってきます。営業人員3名以下の組織では月2本に絞ると月間工数10時間ほどで回る計算です。短期での成果を求めず、情報の資産として育てる気持ちで運用すると定着しやすいでしょう。
営業の型化で属人化をほどく
4つめは、営業の型化です。物流営業はベテランの荷主関係や現場の知識で回っている組織が多く、特定の人が抜けると引き継ぎに苦労するもろさを抱えています。型化はこの属人化をほどく打ち手です。
弊社が支援する物流会社では、型化を物流営業4層型化モデルとしてとらえ直しています。4つの層は、荷主をまず知る層、提案を組む層、役割を分ける層、改善をまわす層、の順に並べていくのが特徴です。
このモデルが既存のフレームと違うのは、提案設計と配車設計を同じ型のなかでつなぐところです。営業だけが型をもっていても、現場との接続が切れると提案は実装できません。4層をとおすと、商談から現場のオペレーションまでが1つの流れで設計できるようになります。
注意点として、型化は営業人員5名以上でないと運用の負荷を回収しづらくなります。小規模の組織では、4層のうち荷主理解層と改善ループ層の2層から始めるのが現実的な落とし所でしょう。
ヒアリングで荷主の経営の論点にふみこむ
5つめの打ち手は、ヒアリングの深さを変えていくことです。値段と条件だけを聞く御用聞き型のヒアリングから、経営の課題、生産計画、在庫の方針まで踏み込んでいく設計に切り替えます。
弊社が支援した建設・設備工事の企業では、現場の調査と事前ヒアリングの時間を1案件あたり18分ふやす運用に切り替えました。見積りを出すスピードは0.6営業日おくれましたが、相見積もりでの受注率は6pt改善し、案件あたりの粗利率も1.4pt上がっています。
物流営業でも構造は同じと考えられます。配車や倉庫の前提になる生産ピークと在庫方針を深く聞くほど、値引きに頼らず勝てる提案の幅は広がっていくはずです。短期の商談スピードを落としても、条件設計から主導権をとる営業は、中期の粗利でむくわれやすいでしょう。
ヒアリングの設計は、項目リストをいじるだけでは動きません。誰とどの順番で話すかの組み立てまで設計して、初めて現場に落ちるはずです。次の章では、この打ち手を数字でまわすKPIの話に進みます。
物流営業で作るKPIと改善ループ
打ち手を動かし初めたら、数字でまわせる状態にそろえていきます。物流営業のKPIは、引き合いの獲得、提案への転換、受注の3層で作り、週ごと・月ごとの改善ループで回していくのが実務的に効きやすい形です。
BtoB物流営業のおもなKPI一覧
物流営業のKPIは、引き合いの獲得層、提案転換層、受注層の3つで組むのが基本でしょう。層ごとに入口・中間・出口の指標をもたせると、どの段階で詰まっているかが見えやすくなっていきます。
| 階層 | おもな指標 | 用途 |
|---|---|---|
| 引き合い獲得層 | リード獲得数、問い合わせ件数、指名の流入率 | マーケと営業のつながりの確認 |
| 提案転換層 | 有効商談数、提案数、提案率、提案単価 | ヒアリング品質の把握 |
| 受注層 | 受注数、受注率、平均単価、粗利率 | 提案の質と条件設計力の評価 |
3つの層をとおしてみると、リードが足りないのか、提案への転換が弱いのか、受注で値引きに負けているのかが切り分けられるようになります。層ごとの弱点が見えて、初めて打ち手の優先順位も決めやすくなるはずです。
多くの物流会社では、引き合いは足りているのに提案率が低いかたちで詰まっています。KPIをいきなり10個も並べず、まずは各層に1つずつ、計3つの主要な指標にしぼって運用を始めるのが実務のコツでしょう。
KPIと売上の連動を作る具体的な手順は、営業マネジメントと売上の連動の実務論で4階層のKPI運用として整理しています。
営業戦略・KPI設計 営業マネジメントと売上の連動設計|KPI 4階層と日次運用の実務論
3層の指標を自社の物流営業に当てはめる際、週次運用の粒度をどう設計するか判断に迷う方は、以下から関連資料もご確認いただけます。
商談数を13件→28件に変えた、売上目標を因数分解し「見るべき数字」を特定する手順を穴埋め式ワークシートで解説!
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改善ループ(週ごと・月ごと)のまわし方
KPIは作っただけでは動きません。改善ループを週ごとと月ごとの2層で回すことで、指標が現場の行動を変える道具として機能しはじめます。
週ごとの運用では、引き合いの数と有効商談の数など入口のKPIを見て、1件ごとの商談レビューで「次回までにやること」を合意します。ここで大事なのは、結果の指標ではなく行動の指標にしぼり、翌週までに動ける粒度に落とすことでしょう。
月ごとの運用では、提案率・受注率・粗利率などの結果指標をレビューし、四半期の単位でチャネルの採算やターゲットを見直します。週は行動、月は戦術の調整、四半期は戦略の調整、という役割分担がくずれると会議だけが増えていくのです。
改善ループの原型はどの物流会社でも似た形になりますが、違いが出るのは会議の粒度と、指標を見る順番の設計のところでしょう。
初めて回すなら、既存の営業会議に15分足して商談レビューの形で導入するのがおすすめでしょう。
KPIの見える化で現場が変わる仕組み
KPIを見える化すると、行動の量をふやす方向に組織が動きやすいと思われがちです。しかし、実際に効くのは行動の量ではなく、商談の質を見える化したときでしょう。
累計200社をこえる支援実績から見えた盲点は、行動の量を管理したチームより、商談の質を管理したチームのほうが成約率が高いという逆転の構造でした。件数を追うほど提案は薄くなり、単価が下がっていく組織をいくつも見てきました。
通説では「まず量を積めば質が上がる」と言われがちです。ただし、物流営業のように荷主の情報がかたよりやすい業界では、先に質の設計をそろえてから量をふやすほうが、粗利率の改善までつながりやすくなります。
行動の量のKPIをゼロにせよ、という話ではありません。立ち上げの初期は量が先行してもかまわない段階もあるはずです。ただし、量が質をおしながすラインを早めに見きり、商談レビューや提案テンプレの改善に投資をふり変えるのが実務のコツでしょう。
質の管理を先に置くと、若手が迷いから早く抜けやすくなるケースです。
物流営業でよくある失敗パターンとかわし方
物流営業の強化では、同じような形で詰まる組織をよく見ます。ターゲティング不足、特定荷主依存の温存、ツールの先行、この3つが代表的なつまずきでしょう。
ターゲティング不足で空打ちが続く
1つめは、ターゲティングが足りないまま飛び込みやテレアポを続けるつまずきです。物流会社の営業では、業種・規模・既存の物流構造の3軸で絞り込まないと、反応率が上がらず営業時間だけが消えていきます。
かわし方は、既存荷主の成功案件を逆引きしていくやり方でしょう。どの業種のどの規模で、どの物流構造の課題を解いて勝てたのかを整理すると、次にねらう荷主像が具体化してきます。
闇雲に量を打つ前に、ターゲット像の仮説と検証のサイクルを先に置くほうが、結果的に立ち上がりは早くなるはずです。
仮説はメモ1枚で十分です。どの業種のどんな物流構造の会社を、なぜ狙うのか、の3つを書き出し、毎週の商談でアップデートしていくと仮説の精度が上がっていくでしょう。
特定荷主依存からぬけられない心理の壁
2つめは、特定荷主依存からぬけられない組織の心理の問題です。既存荷主が離れるリスクが頭にちらつくため、新規の開拓に割くリソースを後回しにしてしまう動きが起きやすくなります。
かわし方は、売上の依存度の目標値を先に決め、段階的に新規の比率を上げていくロードマップを社内で合意することでしょう。「特定荷主の売上比率を3年で50%から35%へ」のように数字を先に置くと、リソース配分の議論は具体化していきます。
属人化と売上の依存は地つづきの論点です。売上の属人化をほどく段階的な進め方では、依存のかたちのはずし方を型の順番として整理しています。
営業戦略・KPI設計 売上の属人化を脱却する方法|段階的に進めて成果を落とさない順序
営業代行やツールに頼りすぎて型が残らない
3つめは、営業代行やSFA・MAなどのツール導入を先に進めてしまい、社内に型が残らないつまずきでしょう。外注やツールは拡張の道具であり、土台の型化が弱いまま入れてしまうと、契約が終わった瞬間にノウハウがゼロに戻ってしまいます。
かわし方は、型化→運用→拡張の順番を守ることです。営業代行を使う場合でも、ヒアリング項目と提案テンプレを自社で先に作り、代行側の成果を自社の型に取り込む運用を前提にしていきます。
営業代行の判断軸とつまずきの要因は、営業代行で失敗する原因とかわし方の判断基準の記事で10のパターンに分けて整理しています。
営業戦略・KPI設計 営業代行で失敗する10原因と防ぐ判断軸|導入前に潰す発注側チェック
ツールについても同じ考え方です。SFAやMAの選定より先に、自社で回したい商談の流れを言葉にしておくと、どの機能を入れるかの判断がぶれにくくなるでしょう。
物流営業を強くする3ヶ月の進め方
打ち手とKPIをそろえたら、3ヶ月のロードマップに落としていきます。現状の見える化、提案型営業の型化、改善ループの定着という3つのフェーズを、1ヶ月ごとに回すのが現実的でしょう。
Phase1 現状の見える化(1ヶ月目)
最初の1ヶ月は、強化策を動かす前に現状の見える化に使います。引き合い数、提案数、受注率、売上の依存度、営業工数の配分、この5つを棚卸しし、どの指標が弱いのかを社内で合意していくのです。
見える化のねらいは数字を並べることではなく、「何が弱いから売上が伸びないのか」の仮説を1つにしぼることです。仮説が散ったまま改善に進むと、打ち手も薄くちらばっていくでしょう。
仮説は社内の3〜5人で共有し、月末に1度すり合わせる場を設けるとよいでしょう。1人の頭の中だけに置くと、打ち手の実行段階で迷いが出やすくなります。
以下の営業組織の診断チェックリストでは、物流営業をふくむBtoB営業の現状を見える化する項目を30問で構成しています。ダウンロードして自社の状態を診断できる内容です。
営業組織の仕組み化レベルを10の質問で可視化。レベル別の「明日からの1手」まで分かる診断ツールを公開中!
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Phase2 提案型営業の型化(2ヶ月目)
2ヶ月目は、提案型営業の型化に取り組みます。荷主の理解、提案の設計、役割の分担、この3つの層で型を作り、営業1〜2名でパイロットの運用に入っていくのです。
型化を一気に全員へ展開すると定着しにくくなります。パイロットでの失敗と修正を先に回し、型を改善してから横に広げるほうが、最終的な定着率は高くなるでしょう。
営業組織の変え方は、診断を先行させる5ステップとして診断を先行させる営業組織改革の順番で整理しています。物流営業の型化にもそのまま当てはめられるでしょう。
営業戦略・KPI設計 営業組織改革の進め方|診断先行の5ステップと失敗回避の順序
パイロットで走らせる1〜2名は、荷主との関係づくりが得意なメンバーを選ぶのがおすすめです。新しい型を受け入れる柔軟さと、現場で試す姿勢がある人のほうが、定着までの距離が短くなります。
Phase3 改善ループの定着(3ヶ月目)
3ヶ月目は、KPIと会議体の定着に入っていきます。週ごとの商談レビュー、月ごとのKPIレビュー、四半期のチャネル見直し、この3層の会議体を回し、型が運用にとけ込む状態を作るのです。
定着のコツは、会議をふやさず役割を変えることでしょう。既存の営業会議を、行動指標の合意と商談レビューの場に置き変えると、追加の負荷なしで改善ループが回りはじめます。
3ヶ月で完成させようとせず、3ヶ月で回りはじめる状態を目標にしていくのがおすすめです。定着は4〜6ヶ月目にゆるやかに進むため、初めの3ヶ月は土台づくりと割り切るのが無理のない進め方でしょう。
3つの視点での役割分担を意識すると定着はさらに早まります。現場担当は商談レビューで気づきを言語化する役割、管理職は週の会議体を回しKPIを読み解く役割です。経営層は四半期のチャネル採算と投資方針を決める役割を担うと、3層がきれいに切り分かるでしょう。
弊社が支援したコンサル・士業の企業では、提案後の前進率を13pt改善した運用の中心に、四半期ごとの型レビューを置いていました。物流営業でも、半年に1度は型を手入れする想定で運用してみてください。
よくある質問
物流業界の営業は何が特殊ですか?
物流営業の特殊さは、提案が配車や倉庫の運用に直に結びつく点にあります。売るものが形のないサービス品質であり、荷主の生産や在庫、販売計画まで踏み込んで、初めて差別化ができるのが他業界との違いでしょう。
物流営業のKPIはどう作ればよいですか?
物流営業のKPIは、引き合い獲得、提案転換、受注の3層で作るのが基本です。週ごとは行動指標、月ごとは結果指標、四半期は戦略指標の役割分担で改善ループを回すと、現場の動きが変わりやすいでしょう。
営業組織が小さい物流会社でも強化できますか?
営業の人員が3名ほどの物流会社でも、進め方の順番を変えれば成果は出せるはずです。型化は荷主を知る層と、改善をまわす層の2つにしぼり、新規の開拓は紹介とインバウンドの土台を先に整えるのが無理のない選び方でしょう。
まとめ
物流営業の強化は、打ち手を単発で入れるのではなく、現状の見える化から型化と改善ループへつなぐ順番で進めるのが最短ルートでしょう。値段の競争と特定荷主依存の構造を直視し、提案型への切り替え、新規開拓チャネルの設計、3層のKPIの運用を同時に回していきます。
打ち手とつまずき、3ヶ月のロードマップをそろえても、荷主との条件設計で勝ちきるには組織の型が要ります。営業マネジメントを売上につなぐ全体像は、親記事のBtoB売上向上の施策と順番で整理していますので、あわせてご覧ください。
営業戦略・KPI設計 BtoB売上向上の施策と順序|200社超の逆転事例から学ぶ進め方
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※具体的な数値は導入企業の許可を得た範囲で一部加工しています