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営業戦略・KPI設計

The Model型営業組織の作り方|4部門の役割と連携設計、失敗しない5ステップ

The Model型営業組織の作り方|4部門の役割と連携設計、失敗しない5ステップ

▼ この記事の内容

The Model型営業組織の本質は、4部門分業そのものではなく、部門間ハンドオフとKPI連動の設計にあります。マーケ・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの役割をBOFUから逆算し、3ヶ月パイロットで運用の穴を埋めます。これにより、売上向上と属人化解消が同時に実現します。

2026年現在、日本企業のインサイドセールス導入率は40.6%に達しています。The Model型の分業モデルは、もはや一部の先進企業だけの施策ではなく、営業組織の標準装備になりつつあります。

ただ、いざ自社に導入しようとすると、分業で効率化できるという期待が「読まない・追わない・引き継げない」の3症状で裏切られるケースは少なくありません。放置すれば、部門を分けたぶんだけ連携コストが膨らみ、以前の一人営業より数字が落ちる事態にもつながります。

The Modelの成否を分けるのは、部門を4つに切り分ける形ではなく、部門間をつなぐ設計です。4部門の役割とBOFU逆算のKPI、5ステップの作り方、3症状の回避策、副作用を突破する改善ループまでを、営業マネージャーの実装粒度で解説します。

読み終える頃には、自社に合わせたThe Model型組織の設計図が引ける状態になっているはずです。

参考:インサイドセールス完全ガイド|HubSpot Japan

100人規模の企業に焦点を当てた組織化の手順は、以下の記事で中堅企業ならではの設計ポイントを解説しています。

営業戦略・KPI設計 100人企業の営業組織化|属人化を脱却する5つのステップと成功事例

The Model型営業組織とは|分業で売上を伸ばす4部門連携モデル

The Model型営業組織とは、顧客の検討から契約後までを4つの部門で分業し、各部門がバトンをつなぐ形で売上を伸ばす仕組みを指します。分業そのものが目的ではなく、部門間の連携設計を含めて初めて機能するモデルです。

The Model(ザモデル)の定義|Salesforceが提唱した4部門分業プロセス

The ModelはSalesforceが体系化した営業プロセスのフレームワークで、顧客接点を4部門に分け、数値の引き継ぎで売上をつくる仕組みです。日本では元Salesforce日本法人の福田康隆氏の著書をきっかけに広まりました。

分業する4部門は、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの順に並びます。各部門は前工程から受け取ったリードや商談を次工程へ渡し、引き継ぎ条件と数値責任を明確にするのが特徴になります。

たとえば従業員50名のSaaS企業では、マーケが月300リードを創出し、インサイドセールスが電話で精査して30件の商談を作り、フィールドセールスが成約し、カスタマーサクセスが活用を支援するといった分担が典型になります。個人の属人的な営業力だけに頼らず、工程ごとに改善ポイントを特定しやすいのが設計上の利点です。

Salesforce自身が自社の急成長を支えた運用として公開しているため、モデル自体に数値的な再現性が示されている点も、日本企業で採用が進む理由の一つです。ただし「4部門を置けば勝てる」という短絡的な理解で導入すると逆効果になります。次項では、なぜいま日本でも急速に広がっているのかを見ていきます。

参考:THE MODELを成功させる要件|Magic Moment

注目される背景|BtoB購買の複雑化・リモート化・専門特化の要請

The Modelが日本で急速に広がった背景には、BtoBの購買行動そのものが複雑化したという地殻変動があります。従来の「一人の営業担当が最初から最後まで面倒を見る」スタイルでは、情報収集・比較検討・社内合意の各フェーズを一人で担いきれなくなってきました。

加えて、2020年以降に進んだリモート商談の定着も追い風になりました。電話やオンライン会議で接触できる範囲が広がり、インサイドセールスという専業部門を置く合理性が一気に高まっています。HubSpotの調査では、日本企業のインサイドセールス導入率は40.6%に達し、営業組織の標準装備になりつつあります。

もう一つの要因は、各工程に必要なスキルの専門性が高まっている点です。広告運用とコンテンツ設計、リード精査のヒアリング技術、提案と価格交渉、導入後の活用支援は、もはや一人で全てを極めるのが難しい領域と言えます。従業員100名規模のSaaS企業でも、4部門を分けた方がそれぞれの習熟が早まり、月あたり商談化率が10〜20%改善する例がよく見られます。

つまりThe Modelの普及は、単なる流行ではなく、BtoB市場の構造変化への合理的な適応として起きています。ただし合理性があるからといって、分業さえすれば結果が出るわけではありません。続く項で、この誤解の危うさを解きほぐしていきます。

参考:インサイドセールス完全ガイド|HubSpot Japan

「分業=効率化」は半分だけ正しい|連携設計がないと逆効果

The Modelを導入した企業の半数以上は、「分業すれば効率化できる」という期待を裏切られます。パーソル総合研究所の調査でも、分業型への移行が「思ったほど機能しない」「むしろ連携コストが増えた」と答える組織が多く見られます。

理由はシンプルで、分業は連携設計とセットで初めて効果が出る仕組みだからです。工程を分けた瞬間にハンドオフの責任境界が生まれ、どの情報を、どのタイミングで、どの基準で引き渡すかを定義しないと、現場は自分の担当範囲だけを見るようになります。結果として、マーケが渡したリードにインサイドセールスが反応しない、フィールドセールスが受け取った商談を追いかけないといった断絶が起きます。

たとえば月100リードを渡しても、スコアリング基準と優先順位ルールが曖昧だと、インサイドセールスは扱いやすい案件だけを拾って残りを放置しがちです。逆に、スコア70以上を24時間以内に架電すると決めておけば、同じリード数でも商談化率が2倍近くに変わるケースは珍しくありません。連携設計の有無だけで、同じ投資の成果に大きな差が出ます。

だからこそBtoB売上向上の全体設計の中で、The Modelは分業フレームとしてだけでなく、連携設計まで一体で理解する必要があります。次章からは、4部門それぞれの役割とKPIの連動設計を、具体的な数値で見ていきます。

参考:THE MODELが機能しない3症状|パーソル総合研究所

4部門の役割とKPI設計|マーケ・IS・FS・CSの責任分担図

The Model型営業組織の4部門は、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの順に並び、それぞれが独立したKPIを持ちながらも受注から逆算して連動します。部門単独のKPIでは組織が分断されやすく、BOFU起点の逆算設計が連携を成立させる鍵になります。

マーケティング|需要創出とリード獲得の数値責任

マーケティングの役割は、見込み顧客の需要を掘り起こし、営業に渡せるリードを数値責任で生み出すことです。広告運用・SEO・セミナー・ホワイトペーパーなど複数チャネルを組み合わせ、月次のリード獲得数と獲得単価を追いかけます。

たとえば従業員100名規模のSaaS企業であれば、月300件のMQL(Marketing Qualified Lead)を、平均獲得単価1万円以内で供給するといった目標が典型になります。単純な獲得数だけではなく、業種・役職・従業員規模などの属性条件をそろえて初めて、インサイドセールス側が接続できる質になります。

よく起きるのは、マーケ側が「リード数」だけを追いかけ、質の低い資料請求まで全てISに流してしまうケースです。結果としてIS側の架電効率が落ち、商談化率が1割を切る事態が起きます。マーケKPIに「MQL→商談化率」を先行指標として織り込んでおくのが有効です。

つまりマーケの責任は数ではなく、次工程が接続できる数と質の両立にあります。ISへのハンドオフ条件を事前に合意しておくことが、その後の連携を滑らかにします。

インサイドセールス|リード育成と商談化率の橋渡し役

インサイドセールス(IS)は、マーケが獲得したリードに電話やメールで接触し、商談に値する案件だけをフィールドセールスへ引き渡す中継部門です。日本ではコロナ禍以降に専業部門として一気に定着しました。

ISの主要KPIは、架電数・有効接触数・商談化件数・商談化率の4つが標準になります。従業員50〜100名のBtoB企業なら、1人あたり月300〜500件の架電、商談化率15〜20%が現実的な目安と言えます。

ここで重要なのは、FSに渡す情報の質です。単に「興味あり」だけで渡すと、FS側が毎回ゼロから要件整理し直すことになります。課題・導入時期・意思決定者・予算感の4点を埋めた上で渡すと、商談の初回からクロージングに近い議論ができます。

ある製造業(従業員80名)では、IS側の商談化率が22%まで伸びた一方で、FSの初回商談満足度が下がる現象が起きました。原因は商談化数を優先し、課題ヒアリングを省いていた点にあります。件数と質の両方をKPIに置かないと、橋渡しの役は機能しません。

フィールドセールス|商談化したリードの成約と初期オンボーディング

フィールドセールス(FS)は、ISから引き継いだ商談をクロージングし、契約後の初期オンボーディングまでを担う実戦部隊です。対面・オンラインを問わず、提案・見積・価格交渉・契約の意思決定支援を一気通貫で担当します。

KPIは商談数・成約率・受注単価・受注金額・平均リードタイムの5点が基本です。BtoBのミドルマーケット向けSaaSでは、FS1人あたり月10〜15商談、成約率30〜40%、受注単価ARR200万円前後が平均ラインになります。

FSの落とし穴は、引き継いだ商談を「自分の案件」として抱え込みすぎる点にあります。契約後の定着支援まで全て自分でやろうとすると、次の商談に時間が割けなくなり、全体の商談処理量が落ちます。CSへの引き継ぎタイミングを契約後2週間以内と決めている組織ほど、FSあたりの月次成約数が安定します。

このため、FSにはCSへのハンドオフ品質もKPIに組み込むのが有効です。「引き継ぎ書の記入完了率」「CS側の初回ミーティング実施率」といった運用指標を置くと、担当範囲の切り替えが滑らかになります。

カスタマーサクセス|更新・アップセル・チャーン防止

カスタマーサクセス(CS)は、契約後の顧客が製品を使いこなし、成果を出し、継続利用とアップセルに至るまでを支援する部門です。「売って終わり」の時代の営業アフターケアとは異なり、能動的に顧客の活用状況を観察し、先回りで課題解決する役割を担います。

CSの主要KPIは、更新率・NRR(Net Revenue Retention)・解約率・アップセル額・ヘルススコアの5つです。SaaS企業の健全ラインは、更新率95%以上・NRR110%以上・解約率月1%以下が目安になります。

ここで誤解されやすいのは、アップセルの責任がCSかFSかという線引きです。実務では「既存契約内のプラン変更=CS」「新規ライセンスや別プロダクト=FS」と分ける組織が多いですが、中小規模では両者をCSが兼務する例もあります。役割の線引きを明文化しておかないと、既存顧客への重複アプローチや機会損失が発生します。

導入後3ヶ月のヘルススコアを毎週CSが確認し、スコア低下の顧客に自動でアラートが飛ぶ設計を組んでおくと、解約予兆を早期に察知できます。CSは単なるサポート部門ではなく、継続収益を能動的に伸ばす収益部門として位置づけるのが本来の姿です。

4部門KPIの連動原則|BOFU逆算型の数値設計例

4部門のKPIは、最終成果である受注から逆算して設計するのが原則です。BOFU(受注目標)を起点に、TOFU(リード獲得)までを歩留まりで遡ることで、部門単独の数字ではなく全体が連動する設計になります。

たとえば年間売上目標が2,000万円で、受注単価が200万円なら、受注20件が必要です。そこから成約率50%・商談化率20%・案件化率20%・見込み獲得率10%と歩留まりを置くと、必要リード数は1万件に逆算されます。この数字を部門別に割り当てるのが、BOFU逆算型の基本形です。

段階数値歩留まり責任部門
受注20件/年FS
商談40件/年成約率50%FS
案件化200件/年商談化20%IS
見込み獲得(MQL)1,000件/年案件化20%IS
リード(生)10,000件/年MQL化10%マーケ

このテーブルから読み取れるのは、どこか一つの歩留まりが崩れると下流の数字が全て狂うという事実です。マーケが1万リードを達成しても、ISの案件化率が10%に落ちれば、最終受注は半減します。逆算設計は、部門間の責任接続を数字で見える化する役割を果たします。

運用上は、月次の部門横断レビューで各段階の歩留まりを可視化し、ボトルネックを一つに絞り込むのが定石です。複数部門が同時に改善施策を走らせると、効果の切り分けができず意思決定が遅れます。次章では、この逆算したKPIを現場運用に落とし込む5ステップを見ていきます。

参考:THE MODEL(ザ・モデル)とは|創業手帳

4部門のKPI連動を自社で設計する際、どこから手をつければよいか迷う方は多いと思います。自社に合った部門連携の設計を進めたい方は、以下の資料をご確認ください。


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The Model型営業組織の作り方5ステップ|ゼロから立ち上げる設計手順

The Model型営業組織は、顧客タイプ分類・部門設計・CRM整備・3ヶ月パイロット・PDCA定着の5ステップで立ち上げられます。いきなり全社展開ではなく、小さく始めて運用を固めてから広げるのが失敗しないコツです。

ステップ1|顧客タイプ分類(アカウント型 vs プロダクト型)の見極め

最初のステップは、自社がアカウント型営業とプロダクト型営業のどちらに近いかを見極めることです。この分類を飛ばしてThe Modelを導入すると、特にアカウント型の企業で「分業が合わない」という失敗が起きます。

アカウント型プロダクト型
顧客単価高単価(1,000万円〜)中低単価(〜500万円)
商談期間長期(6ヶ月〜)短期(1〜3ヶ月)
意思決定関与者複数部門・役員層担当者〜部長

この表から分かるとおり、プロダクト型はThe Modelの標準形にそのまま当てはめやすく、アカウント型は4部門分業のままでは回しにくい特徴があります。アカウント型の場合、FSが顧客ごとに専任で張り付き、ISやCSが伴走するハイブリッド構造へカスタマイズするのが現実解です。詳しくは後の失敗回避章で解説します。

ステップ2|部門配置・KPI・ハンドオフ条件の初期設計

ステップ2では、4部門の人員配置・各部門のKPI・部門間ハンドオフ条件を机上で設計します。いきなり人を採用するのではなく、既存メンバーの役割再定義から始めるのが小規模組織の定石です。

ハンドオフ条件の設計では、マーケ→ISは「MQL判定基準(業種・役職・従業員規模など)」、IS→FSは「BANT(予算・決裁権・ニーズ・時期)+課題ヒアリング項目」、FS→CSは「契約金額・初期要望・キーパーソン情報」を必須項目として明文化します。この条件を言葉で書き切れていない組織は、運用開始後に必ず連携事故を起こします。

役員層向けに「どのKPIをどの部門で持つか」を1枚図で示せる状態にするのがステップ2のゴールになります。あわせてBtoB売上向上の全体設計と接続させ、営業組織単独ではなく事業全体の視点で合意を取ると、役員承認が早く進みます。

ステップ3|CRM/SFA整備と情報連携インフラの構築

ステップ3は、4部門の情報を一元化するCRM/SFAツールの選定と整備です。分業する以上、部門をまたいで顧客情報がリアルタイムに見える状態でないと、引き継ぎのたびに情報が欠落します。

ツール選定では、Salesforce・HubSpot・kintone・Zoho CRMなどが代表的ですが、従業員100名以下の組織ではHubSpotの無料枠から始める選択肢も有効です。月あたり費用で見ると、SalesforceはFS1人あたり1〜2万円、HubSpotは5,000〜1.5万円が目安になります。予算よりも大事なのは「4部門全員が日次で触れる運用を続けられるか」の見立てです。

導入コストが重く感じる組織ほど、スプレッドシート併用のハイブリッドから始める例が多く見られます。いきなり高額ツールを入れるより、Excel台帳で運用ルールを固め、安定してからCRM移行する方が定着率は高くなります。

ステップ4|3ヶ月パイロットでの連携検証

ステップ4では、一部の製品ラインや一部の顧客セグメントに絞って、3ヶ月のパイロット運用を実施します。全社一斉ではなく小さく始めるのは、設計上の穴を早期に発見し、修正コストを抑えるためです。

パイロットで測るのは、各段階の歩留まりと、部門間ハンドオフの通過率です。たとえば「ISが渡した商談のうちFSが着手したのは何%か」「FSが締結した契約のうちCSが初回ミーティングを実施したのは何%か」といった運用指標を追いかけます。7割を切る接続は、設計側のルールか人員配置に問題があるサインになります。

3ヶ月経った時点で、歩留まり数値・ハンドオフ通過率・部門メンバーの定性的な手応えの3つをレビューし、全社展開するか、設計を修正してパイロットを延長するかを判断します。いきなり本番運用に踏み込まない勇気が、中長期の成功確率を大きく変えます。

ステップ5|PDCAと部門間レビュー会議の定着

ステップ5は、パイロットで固めた運用を全社に展開し、月次の部門横断レビュー会議として定着させるフェーズです。ここで止まってしまうと「導入したけど数字が変わらない」状態に陥ります。

BtoB専門商材の会社では、社長ひとりで変革を進めようとした時期に「今のやり方で問題ない」という現場抵抗に悩んでいましたが、最初の成果が出た瞬間にメンバーから「これはやったほうがいい」という発言が出て、運用負荷論は論点から消えました。変革推進の本質は、成果が見える瞬間までの期間を耐え抜き、PDCAサイクルを止めない点にあります。

レビュー会議は月1回・2時間を目安に、4部門のマネージャーと営業責任者が参加する形が標準です。議題はKPI達成状況の確認ではなく、「歩留まり低下のボトルネックをどう解消するか」の議論に時間を割くのが有効です。単なる数字報告会で終わると、会議体自体が風化します。

よくある失敗と回避策|「読まない・追わない・引き継げない」を防ぐ

The Model型導入でよく起きる失敗は、「読まない・追わない・引き継げない」の3症状に集約されます。いずれも設計段階で予防できる問題であり、アカウント型営業の企業でもカスタマイズ適用すれば機能します。

「読まない」問題|マーケ情報がISに届かない設計ミス

「読まない」問題とは、マーケが収集したリード情報をISが実質的に読まず、機械的な架電リストとしてしか扱わない状態を指します。引き継ぎ条件が曖昧だと、どのリードに何分の時間を投下すべきかISが判断できません。

回避策は、MQL判定基準とスコアリングの明文化です。業種・役職・従業員規模・流入経路の4軸でスコアを加点し、例えば70点以上は24時間以内に架電、50〜70点は週2回のメール育成、50点未満は月1回のナーチャリングと、対応ルールを数値で区切ります。ある従業員120名のSaaS企業では、このスコアリング導入で商談化率が8%から18%へ改善しました。

設計ルールを作るだけでは形骸化するため、マーケとISの月次ミーティングで「スコア70以上のリードで失注したケースの共有」を続けることが有効です。運用で学習ループを回せる仕組みが、読まない問題の根本的な予防策になります。

「追わない」問題|FSが引き継いだリードを放置する構造

「追わない」問題は、ISがFSに渡した商談が放置される現象です。FS側から見ると、引き継がれた商談の質にばらつきがあり、確度の高い案件だけを選んで追いかける傾向が出ます。

回避策は、FSの着手SLA(Service Level Agreement)を設定することです。ISから引き継いだ商談は48時間以内に初回コンタクトし、1週間以内に商談設定を完了するといったルールを運用ベースで置きます。違反件数を月次で可視化すると、FS側にも「渡された案件は追う」という文化が根付きます。

あわせて、FSの評価指標に「IS引き継ぎ商談の着手率」を組み込むと行動変容が起きやすくなります。成約率だけで評価する設計だと、扱いやすい案件だけが追われ、難しい案件が放置される偏りが生まれます。

「引き継げない」問題|CSがFSから手放せない技術不足

「引き継げない」問題は、契約後の顧客情報がFSからCSへ十分に渡らず、CSが受け取っても動けない状態です。結果として、FSが既存顧客対応を抱え込み続け、新規商談に割く時間が減ります。

回避策は、引き継ぎ書のテンプレート化と、CSの初回ミーティングにFSが同席するルール化です。「契約金額」「導入目的」「キーパーソン」「初期要望リスト」「FSが認識しているリスク」の5項目を埋めた引き継ぎ書を必須とし、契約締結から2週間以内にCSが初回ミーティングを実施する運用にすると、情報欠落が減ります。

CS側の技術不足が原因の場合は、契約後3ヶ月間はFSとCSが共同担当する移行期間を設けるのも有効です。実務の背中を見せて技術を移転する期間がないと、分業は単なる責任のたらい回しに変わってしまいます。

アカウント型営業にThe Modelは合わないのか

アカウント型営業の企業から「うちは高単価の長期案件だから、The Modelは合わない」という声をよく聞きます。結論を先に言うと、標準形のままでは合わず、ハイブリッド構造へのカスタマイズが必要です。

組織パターンカスタマイズ方針主な責任
大手アカウント中心FSを顧客専任化・IS/CSが伴走FS主導のチーム営業
中堅アカウント+プロダクト混在セグメント別に2本立てで運用営業部長が両方を統括
プロダクト中心に一部アカウント標準形+大口専任チームを別置通常FSと大口FSを分離

アカウント型では、FSが顧客ごとに深く入り込み、ISが社内キーパーソン発掘や関係者マッピングを支援、CSが契約後の拡販起点を作るといった伴走型の役割分担が機能しやすくなります。The Modelの本質は4部門分業の形式ではなく、数値で役割を接続する思想にあるため、形を変えても原則は活かせると言えます。

参考:THE MODELの落とし穴|ITmedia ビジネスオンライン

参考:THE MODEL 分業組織の3ポイント|リブ・コンサルティング

一人依存からチーム営業化した事例|フードサービス(R5)

法人向け給食とケータリングを扱うフードサービス企業では、エリアマネージャー一人が重要商談をほぼ抱え込み、その人が休んだ月にはチーム全体の数字が目に見えて落ちる状態が続いていました。The Model型の発想を取り入れて分業を進める過程で、最大の障壁は「何を引き継げばよいか分からない」という暗黙知の存在でした。

中村さん(仮名)は訪問先で話しながら、一度だけ厨房の方を見ていた。長く見るわけではない。でも、そのあとに出てくる質問が違った。「いま一番、現場で詰まりやすいのってどこですか」。あとで、なぜ厨房を見るのか聞いた。少し黙ってから、中村さんは言った。「え? みんな見ないんですか?」

この「厨房を一度だけ見る視線」は、本人にとって意識化されていない暗黙知でした。チェックリスト化しただけでは動かず、中村さん自身が週1回ロープレに付き合うようになってから、若手の同行が「見学」ではなくなったと言います。結果としてBランクからAランクの80%水準まで、パフォーマンスが42%改善しました。

この事例は、The Modelの分業そのものが成果を出したのではなく、一人に集中した暗黙知を組織が共有できる形にほどくプロセスが重要だったことを示します。営業マネジメントの領域では、分業の設計と並行して属人化した知恵の言語化を進める必要があります。営業マネジメントの全体像もあわせてご確認ください。

3症状の回避設計とアカウント型カスタマイズまで理解できたら、次は自社に落とし込む優先順位を整理する段階です。部門間の接続点をどう設計するか迷っている方は、以下の資料をご確認ください。


エースの暗黙知は「教えてもらう」では取り出せない。チーム営業力を42%改善した「データで発見する」手順をロードマップで解説!
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分業の副作用を突破する改善ループ設計|商談品質メトリクスの横串

4部門のKPIを正しく連動させても、分業そのものが持つ副作用は残ります。部門別KPIに加えて、商談品質を横串で測るメトリクス設計を加えることで、分業組織は再び噛み合います。

部門KPIだけでは組織は動かない|商談品質メトリクスの横串

部門ごとのKPIを完璧に設計しても、それだけでは組織は動き切りません。「ISは商談数」「FSは成約率」といった縦割りの指標は、部門内の最適化には機能しますが、商談の質が部門をまたいで劣化する現象には手が届かないからです。

必要なのは、商談の品質を横串で測るメトリクスです。具体的には「IS→FSの引き継ぎ精度」「FSの初回商談での課題ヒアリング深度」「失注理由の分類と再発率」といった、複数部門が共同で責任を持つ指標を置きます。たとえばFS1人あたりの月次成約数を7件から10件へ伸ばすより、失注理由の重複パターンを発見して1つ潰す方が、全体の成約率への影響が大きいケースは珍しくありません。

このように、量を追うKPIと質を測るメトリクスを二層で持つのが、分業の副作用を抑える設計の基本形になります。量だけを追う組織は早晩セクショナリズムに陥ります。

改善ループの設計|商談レビュー・架電品質・勝ち筋の連動

改善ループを定着させるには、商談レビュー・架電品質チェック・勝ち筋の横展開を月次のサイクルで回します。部門単独では見えない改善点が、複数部門で同じ商談を振り返ると浮かび上がります。

後日の営業会議で、一番厳しいマネージャーが言った。「数が減って焦ったんで、残った案件に今までより時間を使うようになったんです。提案書を作る時間が減ったぶん、ヒアリングに時間をかけられた。……結局、自分が数を追えって言ってたことが、チームの成約率を下げてたんですね」

あるIT/SaaS企業では、件数至上主義のKPI設計がチームを弱くしていた事実が、3ヶ月目の月次レビューで初めて浮き彫りになりました。商談数を減らしても成約率が2.7倍に伸びるという逆転現象は、改善ループを回して初めて検知できるタイプの学びです。架電品質の録音レビューや、失注商談の再分析を月1回のペースで続けると、勝ち筋の再現性が組織内に蓄積されます。

運用の入り口としては、まず失注理由の分類タグを5〜7種類に絞り、月次レビューで最も多いタグを1つだけ集中的に潰すのが取り組みやすい形です。分業組織の副作用を突破する鍵は、営業の属人化を仕組みで解消するアプローチと同じ原理で、個人の経験を組織の資産へ変換する点にあります。

件数減→成約率2.7倍で売上226%|IT/SaaS(R1)の逆転事例

あるIT/SaaS企業では、ヒアリングファーストの徹底により商談数がもともとの80%に減りましたが、成約率が2.7倍に向上し、売上は6ヶ月で226%まで伸びました。件数減を質の向上が大幅に上回った逆転事例です。

この組織では、導入2ヶ月目の月次レビューで商談数が102件から81件に落ちた時点で、経営会議での説明を持つマネージャーが強い不安を口にしました。ただ、3ヶ月目に成約数が逆に増えていることが判明し、営業部長がノートPCを閉じた瞬間から、KPIの議論は件数から成約数中心へと移っていきました。件数至上主義がチームを弱くしていたという事実は、改善ループで初めて可視化されたものです。

この逆転がなぜ再現しうるかについては、弊社では200社を超える営業組織の支援実績を積み重ねてきました。同じ改善ループの発想で商談品質を組織的に測る試みが、業種をまたいで効いている観察結果になります。

まとめ|The Model型営業組織を成功させる5つの鍵

The Model型営業組織の本質は、分業そのものではなく連携設計にあります。4部門の役割分担・BOFU逆算のKPI設計・5ステップの導入手順・3症状の回避策・改善ループの横串メトリクスという5点セットがそろって初めて、売上向上と属人化解消が同時に実現します。

失敗の多くは、分業の導入自体を目的化してしまう点にあります。自社がアカウント型かプロダクト型かを見極め、3ヶ月パイロットで運用の穴を発見し、PDCAで定着させる手順を踏むことが、回り道に見えて最短です。

そして、部門別KPIだけでは分業の副作用は解消しません。商談品質を横串で測るメトリクスを加えることで、件数至上主義の落とし穴を避け、勝ち筋を組織の資産へ変換できます。FAZOMは200社を超える営業組織の支援を通じて、このアプローチが業種をまたいで機能することを確認してきました。

自社のThe Model型組織設計に着手するにあたり、まずは現状の営業プロセスを棚卸しして分業の出発点を見極めることが重要です。組織全体の設計を俯瞰したい方は、以下の資料もお役立てください。


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※具体的な数値は導入企業の許可を得た範囲で一部加工しています

この記事を書いた人
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谷本潤哉
元電通、2016年創業。株式会社FAZOM代表取締役。自らの組織崩壊を原点に、営業プロセスを数字で再現する独自メソッド「メトリクスマネジメント」を体系化。累計200社超の営業組織を支援し、売上向上・新人の早期戦力化など成果を創出。